シリーズAってなに?投資ラウンドや成長ステージごとの資金調達手法を分かりやすく解説!
皆様は「投資ラウンド」「シリーズA」などの言葉を耳にしたことはありますでしょうか?
この記事ではこれから起業される方に向けて、「投資ラウンドの意味とそれぞれの特徴」に関して解説していきます。
学生の方でも理解できるようにかみ砕いて、かつ詳しく説明しています。
よろしければ是非ご覧ください!
そもそも投資ラウンドってなに?
投資ラウンドとは、「投資家が企業に対して投資(出資)をする段階」のことを意味します。
これはもともと、投資する側の人間が投資先企業のファイナンスステージを把握しやすいように、アメリカのシリコンバレーを中心に生まれた考え方です。
企業は、事業を維持/拡大する上で“運転資金”が必要になってきます。このため、経営者は“Debt デット(お金を借りて資金を調達する方法)”、“Equity エクイティ(新株の割当と引き換えに資金を調達する方法)”、“補助金(国や自治体などから開発資金等を支援してもらう方法)”などを行うことで資金を調達します。
経営者は以下の方法で資金を調達します:
- Debt(デット): お金を借りて資金を調達する方法
- Equity(エクイティ): 新株の割当と引き換えに資金を調達する方法
- 補助金: 国や自治体から開発資金などを支援してもらう方法
特にエクイティでの資金調達の場合、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家などが資金を提供します。投資家は、投資先企業の企業ステージを把握する必要があり、「投資ラウンド」という概念が出てきます。
例えば、エクイティでの資金調達の場合、ハイリターンを狙う投資会社であるVC(ベンチャーキャピタルやCVC)や、個人投資家であるエンジェル投資家などが資金調達したい企業へ投資する際、投資先企業の企業ステージを把握する必要があります。
ここで、「投資ラウンド」という概念が出てきます。
後ほど説明しますが、投資ラウンドにはエンジェル、シード、シリーズA、B、C…などがあり、これらは企業の成長段階を意味します。
したがって、投資家サイドは投資ラウンドにより投資先企業の成長段階を端的に知ることができるのです。
投資ラウンドの種類と特徴
投資ラウンドの種類には、エンジェル、シード、シリーズA、B、C..などがありますが、それぞれシード、アーリー、ミドル、レイターの4つの事業ステージ内に属するものです。投資ラウンドには、以下のような種類があります。
- エンジェルラウンド: 個人投資家(エンジェル投資家)による初期投資
- シードラウンド: プロトタイプ開発や市場評価を行うための初期投資
- シリーズA: 一定の顧客基盤があり、事業をスケールアップするための本格的な資金調達
- シリーズB以降: さらに事業を拡大し、成長を加速させるための資金調達
シードラウンドは、スタートアップ企業が最初に受けるベンチャーキャピタルによる投資ラウンドの1つです。この段階では、スタートアップ企業は市場でまだ広く支持されていないことが多く、商品やサービスのプロトタイプが完成し、市場での評価が始まった段階です。
シリーズA ラウンドとは、すでに一定数のユーザー顧客がいるプロトタイプの事業や製品・サービスをプロダクトローンチさせようとするスタートアップ企業が追加開発や販路開拓のためにエクイティファイナンスを実施する段階であると考えられています。
この段階の投資ラウンドは、スタートアップ企業にとって最初の本格的な資金調達であり、投資家が事業の成長性や将来性をトラクションを持って判断する重要な投資フェーズとなります。
シリーズAラウンドの要件としては、PMFを達成していることが一つの目安となっており、PMFが未達の場合はプレシリーズAラウンドやポストシードラウンドという一つ手前の調達ラウンドを実施することとなります。またシリーズA以降でシリーズB未満のラウンドのことをプレシリーズBやシリーズAのエクステンションラウンドなどと呼ぶケースもあります。
そのため、シリーズAラウンドのスタートアップ企業に出資をする投資家は、人材確保や取引先の紹介、プロダクトの共同開発などを通して積極的に投資対象のスタートアップ経営に関与し、その成長を後押ししようとするといった特徴があります。(参考:スタートアップのPre-Money Valuationの 決定に関する展望)
栗島 祐介 氏が投資ラウンドごとの特徴をまとめていらっしゃいますので、是非こちらもご参照ください。
スタートアップの資金調達相場を語る(2017年~2019年版)
起業LOG/資金調達のタイミングと調達額を事例と相場を元に徹底解説!(2021年版)
また、Coral Capitalがスタートアップ企業の資金調達の相場の調査レポート「Japan Startup Deal Terms」の最新版(2020年夏)をリリースしているので、こちらもどうぞ!!
国内スタートアップの資金調達相場レポート「Japan Startup Deal Terms」2020年夏版をリリースします
これらを一括してまとめたものが以下の図(所説あり、弊社の考えるイメージを視覚化したもの)になります。上記の”調達金額の相場”の算出は、2019年~2022年におけるスタートアップ企業の資金調達情報のうち、当社が運営するSTARTUP LOGが取り扱った国内版データをもとに構築した資金調達データベースを参照したものです。
四分位数(第一四分位数と第三四分位数)を基に数値を算出しております。分析に使用した資金調達データは以下をご参照下さい。バリュエーションについて、INITIALの値を参考にしております。あくまで、上記数値については参考値ということでご了承ください。
また、バリュエーションに関して不明点がある方は、記事で取り上げていますのでぜひ読んでみてください。
投資ラウンドごとの資金調達方法とその特徴
経営者が資金調達を行うタイミングは、
・プロダクトを開発したい場合(シード期)
・自社製品が市場で顧客を獲得できるかどうか、”仮説検証”を行いたい場合(シード〜プレシリーズA)
・”仮説検証”を終えた自社製品を一気にスケールアップしたい場合(シリーズA以降)
などが挙げられます。
シード期の資金調達方法については、下記の記事で詳しく取り上げていますので、ぜひご覧ください。
シードの資金調達手法 J-KISS (日本版 Keep It Simple Security,コンバーティブルエクイティ)とは?
アーリー期の ”Product Market Fit” とは、自社製品の顧客が明確となり、資本投下した場合に利益が見込める状態です。顧客獲得コスト(CVC)を顧客生涯価値(LTV)が上回っており、”Unit Economics”(一顧客獲得した時に得られる収入が顧客獲得コストを上回っている状態)を達成している(もしくは達成する見込みが限りなく高い)状態がミドル期移行の目安となります。
また、ミドル期の段階では、ビジネスモデルも固まりつつあり、アーリー期の段階よりも事業計画の数値のブレも少なくなってきます。プロダクトの機能も拡充され、アップセルや更なる顧客獲得が投資家より求められます。
最近では、複数のVCや事業会社からの資金調達に加えて、海外VCからの調達も珍しくなくなりました。
大型調達に成功して企業価値が10億ドル(日本円にして約1,100億円)を超える ”ユニコーン企業” も登場しています。
レイタ―期になると、次の段階としてIPO(上場)が選択肢となります。
当然、上場すれば株式市場から資金調達を行える他、国内での認知度向上や従業員のモチベーションアップなどのメリットもあります。
しかしながら、上場するデメリットとして、オーナーの発言権が希薄になることや社会的責任・プレッシャーが大きくなるようなことが挙げられます。
なので、上場するかM&AでEXITするかの判断は、経営者の意向やマーケット環境に応じて投資家との間で決められることになります。
Crunchbaseのデータによると、米国におけるシリーズAへの投資は、2021年後半にピークを迎えて以来、5四半期連続で減少しています。一方日本は、資金調達総額が年々増加しているものの、スタートアップの資金調達社数は減少していることから、シリーズAのスタートアップの選別がより厳しくなっている可能性があります。
米国は景気後退局面に入っており、日本のスタートアップマーケットも注視が必要です。
シリーズAラウンドとは?
シリーズAラウンドは、スタートアップ企業が初めて本格的な資金調達を行う段階です。この段階では、企業は既に一定数のユーザーや顧客を持ち、プロダクトのローンチを目指します。シリーズAの資金は、追加開発や販路拡大、人材確保などに使われます。
シリーズAラウンドの要件としては、Product Market Fit(PMF)を達成していることが目安となります。PMFが未達の場合は、プレシリーズAラウンドやポストシードラウンドで資金調達を行うことが一般的です。
シリーズAの成功事例
シリーズAラウンドで成功したスタートアップの例として、多くの企業が資金調達に成功しています。これらの成功事例から学ぶことで、自社の資金調達戦略に役立てることができます。これらの事例から類似業種を抽出することで自社のシリーズA調達の参考になると思います。
特に、STARTUP LOGにはシリーズAで資金調達を完了したスタートアップの詳細がまとめられています。以下のリンクからアクセスし、その特徴を読み解き、自社の資金調達戦略に役立ててみてください。
より詳細なデータを希望される方は、initialのデータも参照可能ですので、お気軽にご相談ください。
シリーズAの失敗事例とリスク
シリーズAの資金調達は、スタートアップの成長にとって重要なステップですが、スタートアップの成功が保証されているものではありません。以下に、シリーズAの失敗事例とリスクについていくつかのポイントを挙げます。
評価額の不一致: 投資家とスタートアップ間で企業の評価額(バリュエーション)について合意できない場合、資金調達は失敗に終わる可能性があります。過大評価されたスタートアップは、将来的に期待されるパフォーマンスを達成できないリスクもあります。
プロダクトマーケットフィットの不達成: シリーズAの段階では、スタートアップは既にプロダクトマーケットフィット(PMF)を達成していることが期待されます。PMFが達成できていない場合、投資家は資金調達を見送る可能性があります。
ビジネスモデルの不明確さ: スタートアップが明確なビジネスモデルを持っていない、または収益化の計画が不明確な場合、投資家はリスクが高すぎると判断し、投資を見送ることがあります。
経営陣の問題: 投資家は経営陣の経験、能力、コミットメントを重視します。経営陣が不適切な行動をとったり、経験や能力が不足していると判断された場合、資金調達は失敗に終わる可能性があります。
市場環境とタイミング: 経済状況や業界のトレンド、競争状況など、スタートアップのコントロール外の要素も資金調達の成功に影響を及ぼします。不適切なタイミングや不利な市場環境は、資金調達の失敗を招く可能性があります。
これらのリスクを理解し、適切な準備と戦略を持つことで、スタートアップはシリーズAの資金調達の成功確率を高めることができます。
資金調達データ
”調達金額の相場”については、2019年~2024年におけるスタートアップの資金調達情報のうち、当社が運営するSTARTUP LOGが取り扱った国内版データがありますので、ぜひ以下をご参照下さい。
おわりに
最後までご覧いただきありがとうございました。今回は、投資ラウンドの意味とその種類、特徴などをご紹介しました。
EXPACTでは、スタートアップ企業への補助金活用や資金調達を強みとしており、実績・経験も多数ございます。資金調達成功に向けてパートナーを探している、詳しく話を聞きたいという方はぜひお問い合わせください。
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