
※STARTUPLOG からの転載(原文はこちら)
いつもご覧いただきありがとうございます。
さて、当社の運営するSTARTUPLOGでは以前よりスタートアップの資金調達情報を必要情報のみ抽出して簡易的にお届けしてきましたが、今回より「資金調達」、「スタートアップ」、「株式」、などをテーマにコラムを作成して、皆様にお届けします。
その第一回目として、「投資ラウンドの意味とそれぞれの特徴」に関して以下、解説していきます。
1. そもそも投資ラウンドってなに?
投資ラウンドとは、「投資家が企業に対して投資(出資)をする段階」のことを意味します。
これはもともと、投資する側の人間が投資先企業のファイナンスステージを把握しやすいように、アメリカのシリコンバレーを中心に生まれた考え方です。
これから起業される方に向けて、かみ砕いて説明していますので、よろしければご覧ください。
企業は、事業を維持/拡大する上で“運転資金”が必要になってきます。
このため、経営者は“debt デット(お金を借りて資金を調達する方法)”、“Equity エクイティ(新株の割当と引き換えに資金を調達する方法)”、“補助金(国や自治体などから開発資金等を支援してもらう方法)”などを行うことで資金を調達します。
例えば、エクイティでの資金調達の場合、ハイリターンを狙う投資会社であるVC(ベンチャーキャピタルやCVC)や、個人投資家であるエンジェル投資家などが資金調達したい企業へ投資する際、投資先企業の企業ステージを把握する必要があります。
ここで、“投資ラウンド”という概念が出てきます。
以降2章で説明しますが、投資ラウンドにはエンジェル、シード、シリーズA、B、C..などがあり、これらは企業の成長段階を意味します。
したがって、投資家サイドは投資ラウンドにより投資先企業の成長段階を端的に知ることができるのです。
2. 投資ラウンドの種類と特徴
投資ラウンドの種類には、エンジェル、シード、シリーズA、B、C..などがありますが、それぞれシード、アーリー、ミドル、レイタ―の4つの事業ステージ内に属するものです。
プロトスター株式会社 取締役 CCO 栗島 祐介 氏が投資ラウンドごとの特徴を網羅的に纏めていらっしゃいますので、是非こちらもご参照ください。
これらを一括してまとめたものが以下の図(所説あり、弊社の考えるイメージを視覚化したもの)になります。
経営者が資金調達を行うタイミングは、
・自社製品が市場で顧客を獲得できるかどうか、”仮説検証”を行いたい場合
・”仮説検証”を終えた自社製品を一気にスケールアップしたい場合
などが挙げられます。
アーリー期〜ミドル期の”Product Market Fit”とは、自社製品の顧客が明確となり、資本投下した場合に利益が見込める状態です。顧客獲得コスト(CVC)を顧客生涯価値(LTV)が上回っており、”Unit Economics”(一顧客獲得した時に得られる収入が顧客獲得コストを上回っている状態)を達成している(もしくは達成する見込みが限りなく高い)状態がシリーズAの目安となります。
またシリーズBの段階では、ビジネスモデルも固まりつつあり、シリーズAの段階よりも事業計画の数値のブレも少なくなってきます。プロダクトの機能も拡充され、アップセルや更なる顧客獲得が投資家より求められます。最近では、複数のVCや事業会社からの資金調達に加えて、海外VCからの調達も珍しくなくなりました。
ところで、上記の”調達金額の相場”の算出は、2019年におけるスタートアップの資金調達情報のうち、STARTUPLOGが取り扱ったデータをもとに分析したものです。四分位数(第一四分位数と第三四分位数)を基に数値を算出しております。
プレシード、シード、プレシリーズAのみを表した箱ひげ図(単位:億円)は以下の通りです。
シリーズA〜シリーズCの調達金額の箱ひげ図(単位:億円)は以下の通りです。
また、シリーズD〜シリーズEの調達金額を表した箱ひげ図は以下の通りです。N数が少ないため、あくまでもご参考程度にご覧ください。
※箱ひげ図作成に当たり、Excelの仕様上一定の条件を満たした値を外れ値認定するため、実際の相場観とは異なる可能性があります。
※ラウンドを明記しているが、調達額を明記していないものは除外しております。
※分析に使用したデータは、初めに小数点第一位に調整して使用しております。
グラフ上の数字が見にくい場合は、こちらをご確認ください。
※母数が十分でない投資ラウンドに関しても、Excel上の数値をそのまま掲載しております。
分析に使用した2019年の分析用資金調達データは以下をご参照下さい。
さて、レイタ―の次の段階はIPO(上場)となります。
当然、上場すれば株式市場から資金調達を行える他、国内での認知度向上や従業員のモチベーションアップなどのメリットもあります。
しかしながら、上場するデメリットとして、オーナーの発言権が希薄になることや社会的責任・プレッシャーが大きくなるようなことが挙げられます。
なので、上場するかM&AでExitするかの判断は、経営者の意向やマーケット環境に応じて投資家との間で決められることになります。
3. おわりに
今回は、投資ラウンドの意味とその種類、特徴などをご紹介いたしました。
今後取り扱ってほしいテーマなどがあればぜひコメント欄にてコメントいただければ幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
弊社では資金調達についてご相談を承っております。
是非お気軽にお問い合わせください。
参考記事
グロービス電子出版発行人 兼 編集長、出版局 編集長
嶋田 毅 様
創業手帳編集部 様
プロトスター株式会社 取締役 CCO
栗島 祐介 様
明治通り税理士法人
阿部 海輔 様