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【資金調達】シード期の資金調達手法 J-KISS(日本版 Keep It Simple Security)

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【資金調達】シード期の資金調達手法 J-KISS(日本版 Keep It Simple Security)

J-KISSとは

有償の転換価格調整型新株予約権

A種優先株式を割引価格で取得できる

バリュエーションをシリーズAラウンドまで先送りできる

簡単・早い・シンプルな投資契約

J-KISSは「簡単に早くシンプルに」をコンセプトに設計された資金調達手法です。有償の転換価格調整型新株予約権ですが、図解を使い分かりやすく説明できればと思います。なお、下記の記載はStartup Innovatorsの記事を参考にさせていただきました。また、Coral Capital 澤山様には不備をご指摘いただきありがとうございました。

転換価格調整型 新株予約券とは

まず新株予約権とは、発行した株式会社に権利行使することで、その株式会社の株式交付を受ける権利のことです。新株予約権証券の所有者は、新株予約権を行使して、一定の行使価格を払い込むことで、会社に新株を発行させる、または、会社自身が保有する株式を取得することができます。

具体的には、J-KISSの場合は新株予約権として登記をして、株主総会で発行する個数を決めておき、それを投資家に割り当てる形になります。例えば投資家は1,000万円投資する代わりに新株予約権を一個もらう、しかしながら出資の段階では一個の新株予約権が何株になるかは決まっていません。投資家にとって不利な条件ですが、その代わりとしてバリュエーションキャップディスカウントといった投資家保護の観点も含まれています。

J-KISS型の新株予約権は、将来シリーズAが発生した場合に、A種優先株式に転換される設計となっています。株数はシリーズAの時価総額をもとに決定します。

具体的には、スタートアップが1.5年以内に1億円以上を調達する資金調達(シリーズA)を行った場合、投資家はシリーズAのバリュエーションから20%のディスカウントを受けて株式(A種優先株式等)を取得する といった形です。

バリュエーションキャップとは、シリーズAのプレマネーバリューションがバリュエーションキャップよりも大きい場合に、J-KISS型の新株予約権の株式への転換にあたり用いる転換価額をバリュエーションキャップをベースに計算します、ということです。

具体的には、スタートアップがシリーズAを行った場合、シリーズAのプレマネーバリューションが10億円だったとします。バリュエーションキャップが1億円の場合、シリーズAのプレマネーバリューションが10億円にも関わらず、投資家にはプレマネーバリューションが1億円であるとした場合、何株割当るかを計算するものです。

仮に2,000万円J-KISSにより調達していた場合、本来10億円/1万株=10万円/株の割り当てになるところ、バリュエーションキャップによりJ-KISSで出資したVCには1億円/1万株=1万円/株で計算された株式比率で割り当てられるということです。

J-KISS

J-KISS

上記ケースですと、J-KISS型新株予約券(2000万円)に対して1株1万円として2,000株の株式が割り当てられることになります。このようにディスカウントとバリュエーションキャップによって先行者優位性が担保されています。

メリット

J-KISSは、種類株式に比べて発行に関するコストが低く、また負債にならない点で、シード期の資金調達手法として適しています。加えて、転換時にバリュエーションが決定されるため、企業価値の高まった段階で株式比率が決定されるという特徴があります。このような観点から、起業家にとっても有利となりやすい資金調達手法と言えます。

デメリット

J-KISSは、シード期の資金調達において重要なポイントとして指摘した、「シード期で多くの株式持分を第三者に付与しすぎない」、「負債でないため資本が厚くなる」といった観点からみて、望ましい資金調達手法ですが、発行コストと企業のバリュエーションについては必ずしも期待したような結果とならないケースもあるためいくつかデメリットをあげます。

①必ずしも低コストにならないケースがある
J-KISSは原理的には投資契約等をシリーズ A に連動させるため、投資契約に関する交渉やリーガルレビューに要するコストが低下します。また有償新株予約権の場合、バリュエーションも実施しないため、低コスト化が行われます。さらに運用上は、用いられる証券のデファクトスタンダードが確立し、フェアな内容になっているとともに、利用経験のあるプレイヤーが多数存在しているような場合には、非常に短時間、低コストで発行されます。実際に、たとえば米国のような先行している国では、低コストの調達手法として普及しています。

しかし、日本においてはまだ充分に普及していないため、リーガルレビューや登記実務に対応できる専門家が限定されていること、協調投資をする他の投資家や、シリーズ A 以降の投資家等と個別に検討する必要が出てくることがあり、米国ほどに低コストでの発行ができない可能性があります。

②キャップによりバリュエーションが事実上決まってしまう
転換価格におけるバリュエーションキャップ(企業価値の上限)が低く定められてしまうと、転換時により多くのディスカウントをして転換されるため、起業家にとってはメリットがなくなってしまうケースがあります。

本来は、バリュエーションを後ろ倒しにできるため、起業家がより有利な株価で資金調達ができると考えられていますが、バリュエーションキャップが付けられているために、事実上バリュエーションが固定化している手法と変わらないとも言えます。低すぎるバリュエーションキャップを付けられてしまうと、シード期の投資家に安く大きなシェアを取られてしまうので、注意してください。

まとめ

J-KISSは、実質バリュエーションキャップが上限になるとは言え、バリュエーションを先送りできシンプルかつスピーディーに資金調達できる手法としてシードラウンドのスタートアップは知っておくべき資金調達手法だと思います。

J-KISSを開発されたCoral Capitalさんや森・濱田松本法律事務所の増島雅和さんaviators司法書士事務所の司法書士 真下幸宏さんらに敬意を表しつつ、積極的に利用していきましょう。

こちらも合わせて確認しましょう!

シードファイナンス勉強会 Coral School #4「投資契約書&J-KISSの仕組み」

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