
今話題のユニコーンとは?日本のユニコーン企業事情について徹底解説!!
「ユニコーン企業」を御存知でしょうか?現在上場しているメタ(Meta Platforms)社やツイッター(Twitter)社も、日本のメルカリもかつてはユニコーン企業でした。
「日本のスタートアップのマーケットはVCファンドの投資額、資金調達額でいうと、直近5年、毎年で2倍弱ほどの倍々ゲームで成長してきています。2021年でいうと、約8000億円に達しています。
このトレンドを大きく牽引したのが、2018年に日本初のユニコーン(時価総額1000億円以上のスタートアップ)メルカリが上場したことに起因します。「メルカリを皮切りに、ユニコーン的に大きくなる企業がようやく日本のスタートアップエコシステムからも定常的に出てくるようになっています。1000億円のValuationを超えて大きくなっていく、もしくは世界で戦っていくスタートアップがようやく輩出できるような環境になりつつあります。
2020年に政府で閣議決定された「成長戦略フォローアップ」では、2025年度までに企業価値または時価総額が10億ドル以上のユニコーン企業または上場ベンチャー企業を50社創出することを目標として掲げられています。
この記事では、今大注目のユニコーン企業を紹介します。
ユニコーン企業の解説
「ユニコ―ン企業」は一般的に「創業10年以内」「評価額10億ドル以上」「未上場」「テクノロジー企業」を満たす企業と定義されています。ちなみに、この評価額というのはユニコーン企業の成長見込み(将来のキャッシュフロー等)を基に、出資を行ったベンチャーキャピタルや投資家が付けているものです。
「ユニコーン企業」という言葉は2013年にカウボーイ・ベンチャーズのリー氏が作った用語とされています。2013年当初、評価額が10億ドルを超える創設10年以下の企業はとても少なく珍しかったことから、額に一本の角が生えた伝説の生き物ユニコーン(Unicorn)になぞらえて「ユニコーン企業」と名付けました。さらにユニコーン企業の枠組みの中でも、評価額が100億ドルを超える企業を「デカコーン企業」、1,000億ドルを超える企業を「ヘクトコーン企業」と呼びます。ユニコーン企業は現在(*2022年1月時点)世界に900社以上ありますが、ヘクトコーン企業は現在世界で2社のみです。(CB insightsのデータを引用)
現在のユニコーン企業の代表格はTikTokを運営する中国のバイトダンス(Bytedance)、米国のフィンテック企業ストライプ(Stripe)、イーロン・マスク氏がCEOを務めるスペースX(SpaceX)などです。かつての代表的な企業には、中国のシャオミ(小米科技・Xiaomi)、米国のウーバー(Uber)、エアビーアンドビー(Airbnb)、 ピンタレスト(Pinterest)、ドロップボックス(Dropbox)などがありました。
日本のユニコーン企業 評価額ランキング
現在(*2022年3月時点)、日本では10社がユニコーン企業の要件を満たしています。(STARTUP DBより引用)
- 機械学習などの研究と実用化を行う株式会社Preffered Networks(3,549億円)
- ニュースアプリを運営するスマートニュース株式会社(1,981億円)
- Saas型クラウド人事労務ソフトを提供する株式会社SmartHR(1,731億円)
- 半導体システム「KAMIKAZE」を開発する株式会社TRIPLE-1(1,641億円)
- バイオ素材開発のSpiber株式会社(1,351億円)
- 紙やプラスチックの代替になる新素材「LIMEX」を開発する株式会社TBM(1,336億円)
- 新水素エネルギーの実用化研究を行う株式会社クリーンプラネット(1,299億円)
- タクシーアプリ「GO」を提供する株式会社Mobility Technologies(1,244億円)
- 電子カルテプラットフォームやCBDCプラットフォームを開発するGVE株式会社(1,117億円)
- 線虫を利用したがん検査「N-NOSE」の研究・開発・販売をする株式会社HIROTSUバイオサイエンス(1,027億円)
日本最大のユニコーン企業の代表格だった株式会社メルカリは、2018年に東証マザーズに上場したことでユニコーン企業から卒業しました。リキッドグループ株式会社は、2022年2月に公表した暗号資産取引プラットフォーム「FTX.COM」を運営するFTX TradingからのM&Aを3月に入り実行し、ユニコーン企業から卒業しました。
日本にユニコーン企業が少ない理由として、ベンチャーキャピタル(VC)の投資額が他国に比べて少ないことが挙げられます。未上場でありながら評価額が10憶ドルを超えることがユニコーン企業の条件としてありますが、未上場で評価額10億ドルを上回るためにはベンチャーキャピタルからの相当の出資が必要になります。しかし、日本のベンチャーキャピタルの投資額はアメリカや中国に比べてかなり少ないです。「 2020年1-12月のベンチャー投資動向(日本・米国・中国との比較)」によると、日本のVCの国内投資額は1,512億円と前年から△650 億円(△30.1%)減少となりました。ユニコーン企業が最も多い米国の国内投資金額は 16 兆 6,775 億円と前年の+1 兆 9,326 億円(+13.1%)増加、中国の国内投資金額は 3 兆 232 億円と前年の+5,805 億円(+23.8%)増加となっています。
また、日本ではベンチャーキャピタルからの資金調達のハードルが高いことから、資金調達を行う方法として上場を選ぶ企業も少なくありません。
日本政府の取り組み
日本政府もユニコーン企業の創出支援を強化しています。
2018年6月にグローバルに活躍するスタートアップを創出するために、「J-Startup」が立ち上げられました。実績あるベンチャーキャピタリストや大企業の新事業担当者等の外部有識者からの推薦に基づき、潜在力のある企業を選定し、政府機関と民間の「J-Startup Supporters」が集中支援を行うプログラムです。経済産業省・日本貿易振興機構(JETRO)・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事務局となり、プログラムの運営を行っています。EXPACTも公式サポーターとしてご支援をさせていただいています。
2020年に閣議決定した「成長戦略フォローアップ」では、2025年度までに企業価値または時価総額が10億ドル以上のユニコーン企業または上場ベンチャー企業を50社創出することを目標として掲げました。2019年度末時点の状況は16社だとしています。
経団連の取り組み
経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)は2022年3月11日、スタートアップ企業の育成策を提言しました。2027年までにユニコーン企業を100社に増やす目標を掲げ、法人設立手続きの簡素化や大企業によるM&A(合併・買収)の推進、海外人材の誘致などを幅広く盛り込んでいます。さらに2022年3月15日に発表された経団連の「スタートアップ躍進ビジョン」によると、デカコーン企業数を2社以上にするという目標を掲げています。
日経新聞「ユニコーン138社への壁 起業のバトンつなぐ土壌を」
まとめ
現在、海外投資家によるSaaSなどのサービスを提供する日本企業への関心が高まっています。日本は次なるユニコーン企業を生み出せるのか。その行方が注目されています。EXPACTとしても、新たなユニコーン企業の誕生に貢献していきたいと思います。
EXPACTでは、特にスタートアップ企業への資金調達を強みとしており、実績・経験も多数ございます。資金調達成功に向けて、パートナーを探している、また詳しく話を聞いてみたいという方はお問い合わせください。