Dear ChatGPT
挑戦の積み重ねを、地域の共有資産に。
地域には、まだ事業になっていない可能性があります。現場で働く人が抱える、言葉にならない違和感。若者が原体験から見つけた、まだ小さな問い。地域企業のなかで何度も提案されながら、動き出せずにいる新規事業。社会に必要とされながら、誰が費用を負担するのか定まらない取り組み。
こうした可能性は、最初から「事業」として存在しているわけではありません。誰かが違和感に気づき、問いを立て、周囲に話し、小さく試す。その過程で仲間が増え、顧客が見つかり、少しずつ事業の輪郭が現れていきます。
成功事例だけでは、挑戦は増えない。
私たちが普段目にするのは、完成された成功事例がほとんどです。資金調達に成功した。新しいサービスを発表した。実証実験を開始した。自治体や企業と連携協定を結んだ。その手前にあった迷い、衝突、失敗は、ほとんど記録されません。
けれど、次の挑戦者にとって本当に役に立つのは、華やかな結果だけではないはずです。
なぜ、その問いに取り組もうと思ったのか。
最初に、誰へ相談したのか。
社内で、どのような反対があったのか。
なぜ、最初の実証はうまくいかなかったのか。
どの時点で方針を変えたのか。
誰の言葉によって、もう一度前へ進めたのか。
完成された物語ばかりを見ていると、挑戦は特別な人だけに許されたものに見えてしまいます。優れたアイデアがなければ始められないのではないか。豊富な資金がなければ進められないのではないか。最初から経営者の理解を得なければならないのではないか。
けれど実際の新規事業や地域プロジェクトは、もっと不完全な状態から始まります。専任の担当者がいない。使える予算は50万円しかない。顧客が誰なのかも、まだわからない。社内では「本業と関係がない」と言われている。
それでも、現場で感じた違和感を放置できない人がいる。その一人が、最初の顧客に会いに行く。仮説が外れる。計画を書き直す。別の部署を巻き込む。小さな実証を行う。そこで得た学びを、次の意思決定につなげる。
挑戦とは、最初から正解を持っていることではありません。わからないまま一歩を踏み出し、現場から学び、何度も形を変えながら前へ進むことです。だから私たちは、成功した結果だけでなく、そこへ至るまでの過程を伝えていきます。
まだ市場になっていない課題を、見つける。
地域では、さまざまな変化が静かに進んでいます。
- 長年現場を支えてきた熟練者が、言葉にできない知恵を抱えたまま退職していく。
- 遠洋漁業や地域物流を支えてきた仕組みが、少しずつ限界を迎えている。
- 共創拠点をつくったものの、そこで解くべき課題や運営の担い手が定まっていない。
- 新規事業の担当者は任命されたが、予算も評価基準も用意されていない。
- 若者が地域の未来を考えていても、企業や実践者と出会う機会がない。
- 競技人生を通じて多くの力を身につけたアスリートが、引退後、その価値を生かす場所を見つけられない。
これらは、すでに誰かが困っているにもかかわらず、まだ十分な市場として認識されていない課題です。市場になっていないから、解決に取り組む企業は少ない。前例がないから、予算もつきにくい。担当部署が決まっていないから、主体となる人もいない。そのまま時間が過ぎれば、課題はより複雑になり、解決に必要な社会的コストも大きくなっていきます。
EXPACTが向き合いたいのは、すでに答えが決まっているテーマだけではありません。まだ誰も市場だと思っていない課題を見つける。当事者の声を聞く。解くべき問いへと変換する。
そして、企業、起業家、行政、金融機関、研究者、学生など、異なる立場の人たちをつなぎ、最初の実証を生み出す。
未来の産業は、いまはまだ、地域のどこかにある小さな違和感として存在しているはずです。
失敗を、次の挑戦者が使える知恵に変える。
私たちは、うまくいったことだけではなく、うまくいかなかったことも、可能な限り記録していきます。
- 現場を十分に確かめず、経営者から聞いた課題だけで実証を設計してしまった。
- マッチング件数を優先し、事業化に必要な条件を詰め切れなかった。
- 補助金の期限を守ることが目的になり、顧客との対話が後回しになった。
- 実証後の担当部署や予算を決めないまま、PoCを始めてしまった。
- 若者の荒削りな問いを、大人が「わかりやすく」まとめすぎてしまった。
失敗を公開することは、簡単ではありません。しかし、それを隠したままでは、別の地域や企業が同じ失敗を繰り返すことになります。大切なのは、誰かを責めることではありません。
なぜ、その判断をしたのか。
どの前提が間違っていたのか。
何が足りなかったのか。
次に取り組むなら、何を変えるのか。
そこまで言葉にして初めて、失敗は組織と地域の学びになります。一つの企業が経験した失敗を、次の企業が回避できる。一つの自治体で得られた学びを、別の地域が活用できる。一人の挑戦者がつまずいた場所に、次の挑戦者のための道標を残せる。
その積み重ねが、地域全体の挑戦する力を少しずつ高めていくと、私たちは考えています。
情報を発信するのではなく、地域の変化を記録する。
これからのEXPACTの発信は、自分たちの活動を紹介するためだけのものではありません。応募数、採択数、資金調達額だけでは測れない変化もあります。
- 社員が初めて、自分の事業構想を経営者に話した。
- 社長が若手社員に、小さな実証予算を預けた。
- 高校生の問いをきっかけに、地域企業が動き始めた。
- 競合だと思っていた企業同士が、一つの地域課題を前に手を組んだ。
- 失敗したプロジェクトの学びが、次の新規事業へ引き継がれた。
こうした小さな変化は、数年後に新しい事業や産業が生まれる前兆かもしれません。私たちは、その兆しを見逃さず、地域の共有資産として蓄積していきます。
問いを中心に、人が集まる場所へ。
EXPACTに持ち込まれる相談は、最初から整理されているとは限りません。「新規事業を始めたい」という言葉の奥には、既存事業への危機感があるかもしれません。「若者を集めたい」という相談の背景には、地域の未来を担う人が育っていないという不安があるかもしれません。
私たちは、その言葉をすぐにサービスやイベントへ変換するのではなく、まず問いを深く掘り下げます。
問いが明確になれば、必要な仲間が見えてきます。企業、行政、スタートアップ、金融機関、研究者、学生。立場を越えて、同じ問いを持つ人が集まる。小さく試し、結果から学び、次の行動を決める。
EXPACTは、すべての答えを持つ会社ではありません。だからこそ、問いを開きます。異なる知恵を持つ人たちが出会い、挑戦が動き始める環境をつくります。
未来が生まれる途中を記録する。
私たちはこれからも、地域企業、自治体、起業家、学生とともに、まだ答えのない課題に向き合っていきます。すべての挑戦が成功するわけではありません。途中で止まるプロジェクトもあります。
それでも、挑戦の過程で生まれた問い、出会い、失敗、学びは、必ず次の可能性につながっていきます。一つひとつの挑戦を、その当事者だけの経験で終わらせない。地域の共有資産へと変えていく。
それが、EXPACT / TOMOL PROJECT がこれから担っていきたい役割です。
未来の課題を、いま解こう。
そのために私たちは今日も、まだ名前のない問いと、挑戦のそばに立ちます。
