
ものづくり・商業・サービス⽣産性向上促進補助金(ものづくり補助⾦)
2022年に個人事業主や創業間もないスタートアップ、ベンチャーなども利用できる補助金の1つである 「ものづくり補助金(通称:もの補助)」についてご紹介します。2022年2月中旬より募集開始予定となっており、通年の募集とみられます。令和4年度は応募期間を約2ヶ月、審査期間を約1ヶ月として、6月・9月・12月・3月の四半期ごとに採択発表が行われる予定です。不採択でも、事務局に不採択理由を確認した上で複数回のリライト、再申請が可能となっておりますので、一度であきらめず採択されるまで応募にチャレンジしましょう。
中小企業等のグリーン、デジタルに資する革新的製品・サービスの開発又は生産プロセ ス等の改善に必要な設備投資等を支援するとともに、赤字など業況が厳しい中で生産性向上や賃上げ等に取り組む事業者を支援する補助金です。
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 |
通常枠 | 750万円、1,000万円、1,250万円 (※従業員規模により異なる) | 原則1/2 (※小規模事業者・再生事業者は2/3) |
回復型賃上げ・ 雇用拡大枠 | 2/3 | |
デジタル枠 | ||
グリーン枠 | 1,000万円、1,500万円、2,000万円 (※同上) |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業により、事業終了後4年以内に、以下の達成を目指します。
要件①:付加価値額 要件②:給与支給総額 要件③:事業者割合65%以上
+3 %以上/年 +1.5 %以上/年 同左の⽬標を達成している事業者割合65%以上
【成果目標】
事業終了後4年以内に、以下の達成を目指します。
・補助事業者全体の付加価値額が年率平均3%以上向上
・補助事業者全体の給与支給総額が年率平均1.5%以上向上
・付加価値額年率平均3%以上向上及び給与支給総額年率平均1.5%以上向上の目標を達成している事業者割合65%以上
・ 小規模事業者持続的発展支援事業により、事業終了後1年で、販路開拓につながった事業者の割合を80%以上とする
・ サービス等生産性向上IT導入支援事業により、事業終了後4年以内に、補助事業者全体の労働生産性の年率平均3%以上向上を目指す
・ 事業承継・引継ぎ支援事業により、令和4年度末までに約1,500の中小企業者等の円滑な事業承継・事業引継ぎを支援
※補助事業実施年度の⽣産性向上や賃上げは求めない。
補助対象経費
【一般型】
項 目 | 要 件 |
概要 | 中小企業者等が行う「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 | 100万円~1,250万円 |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | [通常枠] 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
ベンチャー、スタートアップ、中小企業が行う「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・ サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等に対して支援が受けられます。設備投資は、単価が50万円(税抜)以上が対象となり、具体的には機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、 クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費となります。
2022年(令和4年度)ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業補正予算の概要、考え方
考え方としては、岸田政権下における「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」、また「成長と分配」の観点から制度設計がされています。申請時に意識して押さえておくと採択される可能性を高めるポイントになりますので、『どういった考え方の企業に補助金がでるのか?』をまずは把握しましょう。
ーーー中小企業庁補正予算資料よりーーー
コロナ下では、これまで進んでこなかったデジタル化が急速に進むなど、社会の変化の兆しが表れており、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、積極的な温暖化対策を通じて、産業構造や社会構造の変革をもた
らし、大きな成長につなげていくことが喫緊の課題であります。こうしたデジタル、クリーンエネルギーに加え、人工知能、量子、バイオ、宇宙等の先端技術やイノベーションに関わる投資、さらには、「人」への思い切った投資を行うことにより、生産性を引き上げていくことが「成長と分配の好循環」を実現する上で必要不可欠である。
~成長戦略~
中小企業等のグリーン・デジタル分野を含めた成長を後押しすべく、売上減少要件の緩和や特別枠の設定など拡充を図ることにより、新分野展開、業態転換など思い切った事業再構築の取組や生産性向上に資する設備投資、IT導入、販路開拓等を支援する。
~分配戦略~
民間部門における分配強化に向けた強力な支援働く人への分配機能の強化のため、賃上げを行う企業への税制支援の抜本的強化を行うとともに、賃上げの機運醸成に取り組む。あわせて、最低賃金引上げを含めた賃上げの原資となる付加価値を創出する事業再構築や生産性向上に取り組む中小企業に対して、賃上げの促進を考慮して、強力な助成支援を行う。
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要点をまとめますと、グリーン化やデジタル化による生産性向上の施策、またその収益を賃上げなどで分配させる施策、こういった計画・施策に補助金を出します、ということになります。業種業態、エリアや規模感など個別の企業で事情は異なる部分はありますが、上記は申請書類作成時、また事業計画立案時に意識しておくことが望ましいと考えられます。
ものづくり補助金の見直し・拡充(令和3年度補正予算)5つのポイント
大きく5つのポイントがあります。一つ一つみていきましょう。
ポイント1.従業員規模に応じた補助上限額の設定
従来一律1,000 万円としていた通常枠の補助上限額を従業員の規模に応じて、従業員数21人以上:1,250万円、6~20人:1,000万円、5人以下:750万円に見直し。
従業員規模 | 補助上限金額 | 補助率 | |
第9回締切まで | 第10回締切以降 | ||
5人以下 | 1,000万円以内 | 750万円以内 | 【中小企業】1/2以内
【小規模事業者、再生事業者】 2/3以内 |
6人~20人 | 1,000万円以内 | ||
21人以上 | 1,250万円以内 |
ポイント2.補助対象事業者の見直し・拡充
- 補助対象事業者に、資本金10億円未満の「特定事業者」を追加する。
- 再生事業者を対象とした加点を行うとともに、補助率を2/3に引き上げて支援。※中小企業再生支援スキームに則り再生計画を策定(詳細な要件は検討中、2022年1月現在
業種 中小企業者(いずれかを満たす) 資本金額 従業員数 製造業等 3億円以下 300人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 小売業 5,000万円以下 50人以下 業種 特定事業者
(今回追加される対象者で”両方”を満たす)資本金額 従業員数 製造業等 10億円未満 500人以下 卸売業 10億円未満 400人以下 サービス業 10億円未満 300人以下 小売業 10億円未満 300人以下
特定事業者の追加とは?
令和3年8月に一部が施行された「産業競争力強化法等の一部を改正する法律」において、中小企業から中堅企業への成長途上(規模拡大パス)にある企業群の支援を目的として、中小企業等経営強化法等に新たな支援対象類型(特定事業者)が創設。これに伴い、ものづくり補助金の補助対象事業者にも資本金10億円未満の特定事業者を追加。
・再生事業者とは?
中小企業再生支援スキームに則り再生計画を策定する事業者(想定)を対象として、加点により採択。を優遇するとともに、補助率を2/3に引き上げて支援。(詳細な要件は検討中)。
ポイント3.回復型賃上げ・雇用拡大枠の新設
業況が厳しい事業者(※1)に対して、賃上げ・雇用拡大に取り組むための生産性向上を支援する申請類型を新設し、補助率を2/3に引上げ(通常枠は1/2)手厚く支援(※2)。
(※1)前年度の事業年度の課税所得がゼロである事業者(詳細な要件は検討中)、(※2)給与支給総額又は事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合に補助金額の全額返還を求め、賃上げの実効性を担保する。
【回復型賃上げ・雇用拡大枠の対象となる事業者】
通常枠の要件(①~③)に加えて、補助金への応募申請時に、前年度の事業年度の課税所得がゼロである事業者が支援対象。
【基本要件】次の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること。
①事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること ②給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること ③事業場内最低賃金 (事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること 【追加要件】(詳細な要件は検討中) ④補助金への応募申請時に、前年度の事業年度の課税所得がゼロであること。 【補助金の返還要件】 上記の②給与支給総額、又は、③事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合には、補助金額の全額返還を求めることで、賃上げ・雇用拡大の実効性を確保する。 |
ポイント4.デジタル枠の新設
DX(デジタル・トランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービスの開発やデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業者を対象に、補助率を2/3に引き上げ(通常枠は1/2)新たな申請類型を創設。
これに伴い、令和2年度第3次補正で措置した「低感染リスク型ビジネス枠」の申請類型は終了。
【デジタル枠の対象となる事業者】
【基本要件】次の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること。
①事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること。 ②給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること。 ③事業場内最低賃金 (事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。 【追加要件】 (詳細な要件は検討中) ④DXに資する革新的な製品・サービスの開発やデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業計画を策定していること。 ⑤経済産業省が公開する「DX推進指標」を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出すること。 (参考) DX推進指標サイト:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html 自己診断結果入力サイト(独立行政法人情報処理推進機構):https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxpi.html ※DX戦略の策定やCIO等の設置をしている事業者にあっては、審査において加点 (詳細な要件は検討中)。 |
ポイント5.グリーン枠の新設
温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発や炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業者を対象に、補助上限額最大2,000万円、補助率2/3の新たな申請類型を創設。
【グリーン枠の対象となる事業者】
【基本要件】次の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること。
①事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること ②給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること ③事業場内最低賃金 (事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること 【追加要件】 (詳細な要件は検討中) ④3~5年の事業計画期間内に、事業場単位での炭素生産性を年率平均1%以上増加すること。 ※労働生産性と炭素生産性向上のいずれも必要であり、生産プロセスやサービス提供方法の改善を伴わない設備更新(例:既存機械装置をエネルギー効率の高い機械装置に入れ替えることのみを目的とした事業計画である場合等)は支援対象とはならない。 ⑤これまでの温室効果ガス排出削減に向けた詳細な取組状況がわかる書面を提出すること。 |
補助上限額・補助率
従業員規模 | 補助上限金額 | 補助率 |
5人以下 | 1,000万円以内 | 2/3以内 |
6人~20人 | 1,500万円以内 | |
21人以上 | 2,000万円以内 |
スケジュール(10次公募がスタートしています!)
令和元年度補正予算で措置され継続して実施している「一般型」等と一体で執行を行い、10次公募(令和4年2月中旬)からの実施を予定。2022年2月16日より10次公募がスタートしています。
申請受付が3月15日~5月11日17時までとなっていますので、早めに準備に取り掛かりましょう。
申請手続き
ものづくり補助金の応募申請は、インターネットを利用した「電子申請」となります。
電子申請システムを利用するためには、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。まだ、GビズIDプライムアカウントをお持ちでない方は、まずはGビズIDの取得をお願いします。
【2022・令和4年】最大200万円に増額!? 小規模事業者持続化補助金 (成長・分配強化枠 / 新陳代謝枠 / インボイス枠)とは?
加点項目
成⻑性加点︓「有効な期間の経営⾰新計画の承認を取得した事業者」
災害等加点︓「有効な期間の事業継続⼒強化計画の認定を取得した事業者」
いずれも「申請中」の場合は加点対象となりません。応募をご検討中の⽅で本項目による加点を希望される場合は、早めに承認・認定取得の準備をお願いいたします。
詳細はこちら
ものづくり補助金 採択傾向
テキストマイニングで、6次募集の結果を解析すると以下の傾向が見られました。
スコアが高い単語を複数選び出し、その値に応じた大きさで図示しています。 単語の色は品詞の種類で異なっており、青色が名詞、赤色が動詞、緑色が形容詞、灰色が感動詞を表しています。
生産性向上につながる設備導入が多くを締めていることが伺えます。また近年ではシステム構築(開発)の採択も増えており、IT企業、ベンチャー、スタートアップにも使いやすい補助金となっています。コロナウィルス感染症の影響で飲食関連のワードも増えてきている傾向です。是非ともご参考になさってください。
補助金の活用や資金調達については下記までお気軽にご相談下さいませ。
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