![スイングバイIPO:スタートアップの新たな成長戦略とEXITモデル](https://expact.jp/wp-content/uploads/2024/05/AdobeStock_99235049-scaled.jpeg)
ソラコムの成功事例
ソラコムは2017年にKDDIの傘下に入り、2024年に独立上場を果たしました。この成功は、スイングバイIPOの効果を如実に示しています。2022〜23年の市況は厳しく、同社は一度IPO申請を取り下げる事態に直面しました。しかし、KDDIの信用力があったことで、最終的に上場を実現することができました。
KDDIの子会社となって以降、ソラコムは急成長を遂げ、IoTの契約回線数は2年で10倍の100万回線を突破し、2023年末には600万回線に到達しました。大手企業の一員となったことで信用力が増し、大口顧客の獲得にも成功しました。
今後のソラコムの成長を占う上で鍵となるのがグローバル展開です。すでに海外売上比率は3割を超えており、数年内に過半を目指しています。スイングバイIPOを経験したソラコムは、買収はもはや脅威ではなく、むしろ飛躍のチャンスと捉えています。
カンムのスイングバイIPOの事例
カンムの概要
カンムは2011年に八巻渉氏が創業しました。同社はスマホでチャージと支払いが完結するVisaプリペイドカード「バンドルカード」や、資産形成に活用できるクレジットカード「Pool」などの金融サービスを提供しています。
カンムの成長
カンムは2018年にフリークアウト・ホールディングスとの資本業務提携を結び、2023年には三菱UFJ銀行の連結子会社となりました。現在、MUFGのもとでスイングバイIPOに向けて歩みを進めています。
八巻氏は「データ×金融」で起業したものの、最初のプロダクトは成功せず、いくつかの事業を試しては断念する経験を積みました。しかし、プリペイドカード「バンドルカード」を成功させることで、M&Aによる成長の道を切り開きました。M&Aを通じて、フリークアウト・ホールディングスや三菱UFJ銀行との連携を深め、資金繰りやビジネスモデルの課題を解決しました。
スイングバイIPOを目指すカンム
三菱UFJ銀行の子会社化を発表した際、カンムは100%の買収ではなく、将来的なIPOを見据えた資本政策であることを示唆しました。MUFGのもとでスイングバイIPOに向けて歩みを進めており、このExitのゴールを持つことで、純粋なM&Aバリュエーションではなく、IPO Exitを想定した価値評価がなされています。
カンムの評価額と今後の展望
2023年、MUFGが250億円の評価額でカンムを子会社化しました。スイングバイIPOを経験したソラコムの事例に続き、カンムも第2、第3の事例となることが期待されています。大企業との連携を活かしながら、さらなる成長を遂げ、最終的には独立上場を目指しています。
カンムの事例は、スタートアップが大企業との資本業務提携やM&Aを通じて成長し、最終的にはスイングバイIPOを目指すという新しい成長モデルを示しています。八巻氏の経験や資本政策からは、スタートアップ経営者がM&Aを活用して事業の課題を解決し、成長を加速させる方法を学ぶことができます。今後、カンムがソラコムに続くスイングバイIPOの成功事例となるかどうか、その動向が注目されます。
スイングバイIPOの他の成功事例
ソラコム以外にも、スイングバイIPOを用いた成功事例がいくつかあります。以下にいくつかの事例を紹介します。
1. Arm Holdings
買収元: SoftBank
再上場: 2023年9月、NASDAQ
英国の半導体設計会社Arm Holdingsは、2016年にSoftBankによって買収されました。SoftBankの支援を受けて事業を拡大し、2023年9月にNASDAQへの再上場を果たしました。この再上場は、Armの技術革新と成長を加速させるための重要なステップとなりました。
2. VMware
買収元: EMC Corporation
再上場: 2007年8月、NYSE
仮想化ソフトウェアのリーダーであるVMwareは、2004年にEMC Corporation(現Dell Technologies)に買収されました。買収後、EMCの傘下で急成長を遂げ、2007年8月にNYSEに再上場しました。この再上場により、VMwareは独立した企業としての地位を再確立しました。
3. Seagate Technology
買収元: Private equity consortium led by Silver Lake Partners
再上場: 2002年12月、NASDAQ
ハードディスクドライブメーカーのSeagate Technologyは、2000年にシルバーレイク・パートナーズを中心とするプライベートエクイティコンソーシアムによって買収されました。買収後、Seagateは事業を再編し、2002年12月にNASDAQに再上場しました。この再上場は、同社の経営基盤を強化する重要な転機となりました。
4. Alibaba.com
買収元: Alibaba Group
再上場: 2014年9月、NYSE
中国の電子商取引企業Alibaba.comは、2007年に香港証券取引所に上場しましたが、2012年に親会社のAlibaba Groupによって買収されました。再編後、Alibaba Groupは2014年9月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に再上場し、史上最大のIPOを達成しました。
5. Dell Technologies
買収元: Michael Dell and Silver Lake Partners
再上場: 2018年12月、NYSE
Dell Technologiesは、2013年にMichael Dellとシルバーレイク・パートナーズによる買収で非公開企業となりました。その後、企業の再構築と成長を経て、2018年12月にNYSEに再上場しました。この再上場は、Dellの新たな成長フェーズの始まりを示しています。
これらの事例は、スイングバイIPOが企業にとって成長と拡大の機会を提供する効果的な手法であることを示しています。大企業の支援を受けながらも、最終的には独立して再上場することで、さらなる飛躍を遂げることができます。
まとめ
スイングバイIPOは、スタートアップM&Aの手法の一つとして、その可能性を広げています。スタートアップと大企業が協力し、イノベーションを加速させるこの手法は、今後も多くの成功事例を生み出すことでしょう。ソラコムやカンムの今後の戦略から目が離せません。彼らの更なる飛躍が、日本のスタートアップシーンに新たな風を吹き込んでくれることでしょう。スイングバイipo swing by ipo
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