
清水エスパルスの新スタジアム構想はどこまで進んだ?
清水駅東口のまちづくりと最新動向
最終更新日:2026年10月25日
清水エスパルスのホームスタジアム移転を見据えた新スタジアム構想が、清水駅東口のまちづくりと一体で進んでいます。
本記事のスタジアムの画像は、本ブログをベースに生成AIにより画像生成したイメージです。
静岡市は2026年2月、ENEOS清水製油所跡地の一部を購入し、地権者として土地区画整理事業に参画することを決定しました。同時に、このエリアの中核施設として多目的スタジアムが最も有力であるとの考えを示しています。
ただし、土地の購入方針とスタジアム建設の最終決定は別です。2026年10月現在、市は事業収支・運営手法・利用ニーズなどの実現可能性を調査しており、市民らの需要を把握するアンケートも実施しています。
新スタジアム構想を理解するには、「建つかどうか」だけでなく、「誰が費用を負担し、どう運営し、清水のまちにどのような価値を生むのか」を見ていく必要があります。
新スタジアム構想の現在地
| 項目 | 公式資料で確認できる内容 |
|---|---|
| 検討エリア | JR清水駅東口のENEOS清水製油所跡地にある「地域づくりエリア」。約14ha、鉄道駅から徒歩数分の立地です。 |
| 土地に関する方針 | 静岡市は約7.9haを購入し、地権者として土地区画整理事業に参画することを決定しています。 |
| 土地購入額 | 市の比較検討資料では41.5億円とされています。 |
| 中核施設 | 多目的スタジアムが最も有力。ただし、実現可能性を検証中です。 |
| 新設の建設費 | 2026年2月の市資料では300億円以上を想定。確定した総事業費ではありません。 |
| 判断の時期 | 市は実現可能性調査を行い、2026年度中に最終結論を取りまとめる方針を示しています。 |
| 収容人数・開業時期 | 今回確認した公式資料では、最終決定した数値・時期は確認できません。 |
※確認日:2026年10月25日。想定額・検討方針と、確定した整備計画は区別して記載しています。出典:静岡市「JR清水駅東口地域づくりエリアの土地利活用方針」、静岡市「静岡市新スタジアム需要調査」
「地権者との調整難航」から、土地活用と事業性の検証へ
構想の進展を示す節目が、静岡市とENEOSの合意です。
両者は2025年8月、「静岡市清水区袖師地区を中心とした地域づくりの推進に係る合意書」を締結しました。その後の協議を経て、市は2026年2月、土地の一部を購入して土地区画整理事業に参画することを決めています。
このため、以前の記事にあった「地権者との調整がつかず、具体的な進展が見られない」という説明は、現在の状況を十分に表していません。
現在の焦点は、土地活用の枠組みづくりから一歩進み、新スタジアムを事業として成立させられるかどうかです。市も、整備費・運営費・整備手法・運営手法・来訪者数の見込みについて、詳細な検討が必要だとしています。
なぜ日本平の改修ではなく、清水駅東口への新設なのか
現在のIAIスタジアム日本平は1991年に整備され、市の2026年2月資料では築35年を迎えた施設として整理されています。老朽化に加え、交通アクセス、屋根の広さ、コンコース、トイレ、座席、VIPルーム、通信環境などが課題に挙げられています。
市は、現スタジアムを大規模改修する案と、清水駅東口に新設する案を比較しました。
| 比較項目 | 現スタジアムの大規模改修 | 清水駅東口への新設 |
|---|---|---|
| アクセス | 現在の立地による制約が残る | 鉄道駅から徒歩数分の立地を活用できる |
| 施設機能 | 既存構造による改修上の制約がある | 設計段階から観戦環境や利便性を組み込める |
| 周辺への効果 | 市は追加的な経済効果を限定的と評価 | 商業・宿泊などと連携した回遊・滞在を期待 |
| 費用 | 今後約30年間の使用を前提とする改修費等を約151億円と試算 | 建設費300億円以上を想定し、民間投資が不可欠 |
| 主な課題 | 大規模改修時に少なくとも2年程度使用できなくなる想定 | 官民連携、資金調達、事業収支、防災対策など |
出典:静岡市「JR清水駅東口地域づくりエリアの土地利活用方針〈第2部〉」。金額は前提条件の異なる概算であり、単純な総費用比較ではありません。
市の結論は、「公民連携の形が整えば、清水駅東口の地域づくりエリアに新設する方が望ましい」という条件付きのものです。新設の優位性を評価する一方、資金面・運営面の成立条件は引き続き検証されています。
建設費300億円以上――市の負担額が決まったわけではない
費用については、土地購入費、新スタジアムの建設費、現スタジアムを残すための改修費を分けて考える必要があります。
市の2026年2月資料には、次の金額が示されています。
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土地購入額:41.5億円
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新スタジアムの建設費:300億円以上を想定
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現スタジアムをJリーグ基準で今後約30年間使うための改修費等:約151億円
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新設した場合に、現スタジアムを市民利用向けに維持するための改修・補修費:約10.7億円
約151億円の試算には、利用満足度を高める背もたれ席やVIPルームなどの整備費は含まれていません。また、約10.7億円の試算にも修繕費・運営費は含まれていません。
市は約151億円を地域づくりエリアへの投資を考える際の「参考値」としていますが、これは新スタジアムに対する市の支出額や負担上限が確定したことを意味しません。新設にはPPP、すなわち公民連携が必要だとしています。
今後は、総事業費だけでなく、公費・民間資金の分担、維持管理費、収入が想定を下回った場合の責任分担まで確認することが重要です。
目指すのは「試合の日だけ人が集まる場所」ではない
清水駅東口のまちづくりで市が掲げているのが、「超スマートガーデンシティ」です。
市は、新しい科学技術を取り入れる「知」と、美しい景観や感動・癒やしを生む「美」を融合し、30~50年先まで魅力を持ち続けるまちを目指しています。
多目的スタジアムと相乗効果が期待できる都市機能として、市は次のような施設を候補に挙げています。
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商業施設、オフィス、ホテル
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レジャー・エンターテインメント施設
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子育て支援施設、キッズパーク
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学校、研究開発・研究機関
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文化施設など
これらは、入居企業や整備内容が決定したという意味ではありません。スタジアムと組み合わせ、日常的な来訪や回遊・滞在につなげるための候補です。
まちづくりの視点では、観客が試合終了後にすぐ帰るのではなく、飲食や買い物、宿泊、観光につながる仕組みをつくれるかが重要です。同時に、サッカーを観戦しない人にも使われる場所を設計することが、公共性を考えるうえでの論点になります。
防災と脱炭素も、構想の成立条件
駅に近い立地には大きな利点がある一方、防災対策は欠かせません。
市の資料では、地域づくりエリアは南海トラフ地震による津波の浸水想定区域を含み、西側と東側で地盤の高さや浸水想定が異なるとされています。まちづくりにあたっては、標高6m程度までの盛土が望ましいとの考えも示されています。
そのため、「新スタジアムができれば防災拠点になる」と単純に捉えるのではなく、盛土、避難動線、周辺施設との接続、備蓄・物資供給などを具体化する必要があります。
一方、周辺では再生可能エネルギーや水素を活用する次世代型エネルギー供給の取組が進んでおり、市はこうした基盤と連携した脱炭素型のまちづくりを目指しています。
事業性の評価でも、建設時の費用だけでなく、長期的なエネルギー費や設備更新費を含めて見る視点が求められます。
最新動向:新スタジアムの需要調査を実施中
静岡市は2026年10月20日、新スタジアムの需要調査を公表しました。整備された場合の利用意向や、求められる施設・機能を把握するためのアンケートです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施期限 | 2026年11月23日(月)まで |
| 対象 | どなたでも回答可能 |
| 回答方法 | インターネットによる匿名回答 |
| 質問数・所要時間 | 20~30問、約5~10分 |
| 主な質問内容 | サッカー観戦・新スタジアムへの興味関心など |
出典:静岡市「静岡市新スタジアム需要調査」。確認日:2026年10月25日。
市は、回答を需要の把握に加え、実現可能性や必要な機能、清水駅東口周辺のまちづくりを検討する基礎資料として活用するとしています。今回の調査は、建設決定後の手続きではなく、判断材料を集めるプロセスです。
今後の注目点は「開業年」より「成立条件」
新スタジアム構想の次の節目は、市が2026年度中に取りまとめるとしている実現可能性調査の結論です。
その際には、次の点を確認する必要があります。
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建設費だけでなく、造成・関連整備・維持管理を含む費用がどう整理されるか。
スタジアムをサッカーの試合だけでなく、日常的に市民が集い、活動できる場所として設計することで、年間20試合程度の開催による採算性の課題を克服できる可能性がある -
市と民間事業者が、それぞれ何を負担し、どのリスクを引き受けるか。
スタジアムをサッカーの試合だけでなく、日常的に市民が集い、活動できる場所として設計することで、年間20試合程度の開催による採算性の課題を克服できる可能性がある -
観戦需要と日常利用の需要を、収支計画にどう反映するか。
スタジアムをサッカーの試合だけでなく、日常的に市民が集い、活動できる場所として設計することで、年間20試合程度の開催による採算性の課題を克服できる可能性がある -
周辺商店街や清水港周辺への回遊・消費につながるか。
スタジアムをサッカーの試合だけでなく、日常的に市民が集い、活動できる場所として設計することで、年間20試合程度の開催による採算性の課題を克服できる可能性がある -
防災対策と、現スタジアムの将来利用をどう両立させるか。
スタジアムをサッカーの試合だけでなく、日常的に市民が集い、活動できる場所として設計することで、年間20試合程度の開催による採算性の課題を克服できる可能性がある
清水エスパルスの新スタジアム構想は、施設の建て替えだけではありません。清水駅前の土地をどう活用し、スポーツによる感動を日常のにぎわい・雇用・地域経済につなげるかという、都市経営のプロジェクトです。
期待を具体的な価値に変えるには、魅力的な完成イメージと同じくらい、費用負担・運営体制・利用需要を透明に示すことが欠かせません。
この記事は主に以下の静岡市の公式資料を参考に作成(確認日:2026年10月25日)
(参考)2025年時点の報道
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2025年3月1日のWasabee Mediaの「清水エスパルス“新スタジアム構想”難航 静岡市長「地権者との調整がなかなかつかない…」」という記事15
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2025年2月28日のFNNプライムオンラインの「どうなる?清水エスパルスの”新スタジアム” 製油所跡地が最有力候補地も「地権者との調整がつかない」」という記事36
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2025年2月14日の静岡ライフの「なぜサポーターから落胆の声? エスパルス本拠地のビジョン改修へ 静岡市が1億3000万円計上」という記事4
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さかとりの「2025年以降に完成する日本のスタジアム」という記事2
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公民ニュースの「どうなってるの?エスパルスの新スタジアム計画「地権者との調整がつかないので…」と静岡市長」という記事7

