【MVVってなに?】スタートアップや中小企業で導入するメリットとは。 具体的施策を徹底解説!
近年、経営戦略としてのMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)の重要性が高まっています。特にスタートアップや中小企業において、MVVの導入は事業の方向性を明確にし、組織の一体感を高めるために不可欠です。
ウォルト・ディズニー(ディズニー創業者)は、以下のように述べています。
- “If you can dream it, you can do it.”
夢を実現できるのは、その夢を持ち続けることができる人だけである、と企業家精神と理念の重要性を説いています。 - “The way to get started is to quit talking and begin doing.”
行動を起こすことが何より大切であり、企業理念を実践に移すことが重要であると説いています。
この記事では、MVVの基本、導入メリット、および成功事例を詳しく解説し、あなたの事業にもMVVを効果的に取り入れる方法をご紹介します。
MVVとは?
MVVとは、「ミッション(Mission)」、「ビジョン(Vision)」、「バリュー(Value)」の略語で、
経営学者のピーター・F・ドラッカーが提唱した企業の経営方針です。
- ミッション(Mission):企業の存在理由、目的。
- ビジョン(Vision):企業が達成したい将来像。
- バリュー(Value):その目標を達成するために大切にする価値観や行動基準。
この3つの違いについて理解しづらい部分もありますが、山登りに例えると非常にイメージしやすくなります。
・ミッションとは、「なぜその山に登りたいのか」という使命、目的。
・ビジョンとは、「どこの山に登るべきなのか」という将来像。
・バリューとは、「山に登るためには何が必要なのか」という価値基準。
ミッション(Mission): 会社の存在理由や目的を示します。まるで「なぜその山に登るのか」という問いに答えるようなものです。例えば、「技術を通じて人々の生活を豊かにする」などがミッションに当たります。
ビジョン(Vision): 将来的にどうなりたいか、達成したい未来像を指します。「どの山に登るべきか」を示すものであり、長期的な目標ともいえます。例えば、「世界中の人々が使うプラットフォームになる」などです。
バリュー(Value): 目標を達成するために大切にする価値観や行動基準です。「山に登るために何が必要か」を具体的に示すものです。例えば、「顧客第一主義」、「チームワークの重視」、「イノベーションの追求」などです。
MVVは企業の方向性を明確にし、従業員全員が共通の目標に向かって努力する環境を作るために重要です。変化の絶えない現代社会において、経営方針無くして経営判断は不可能と言われるほど、近年ではMVVの重要性が高まっています。MVVを導入することで、従業員に対して会社の進むべき方向を指し示し、一体感のある組織の実現を可能にするのです。
MVV導入のメリット
クラブやスポーツチームのように、全員が同じ目標を持って努力することで、一体感が生まれます。MVVを明確にすることで、組織全体が同じ方向を向いて動くことが可能になります。
- 一体感の形成:MVVを共有することで、社員全員が同じ目標に向かって努力する環境を作ります。そして、従業員全員が同じ目標に向かって努力する文化を醸成します。チームの結束力が強まり、共通のビジョンを持つことで効率的に働けます。
- 企業理解の促進:外部のステークホルダー(顧客、投資家、パートナー企業など)に対して、会社の方向性を明確に伝えることができます。
- 採用と定着率の向上:企業文化に共感する人材の採用が進み、従業員の満足度と定着率が向上します。新しく入社するメンバーも、すぐに会社のカルチャーに馴染むことができます。
MVV策定における効果
ではMVV策定によってどのようなメリットが得られるのでしょうか。実例とともに紹介していきます。まず、MVVの策定によるメリットは大きく分けて3つあります。
①一体感の形成
どれだけ優秀な従業員が多くいたとしても、目標が同じでなければ、一体感は生まれません。MVVがあることにより、全ての従業員が同じ価値観・目標を持ち、それは互いの信用となり、結果的に良い社内文化を生み出せることでしょう。
②企業理解の促進
MVVを作成することにより、社内外の関係者(ステークホルダーなど)に対して、この会社はどのような価値観のもと、どのような目標に向かっていて、そのために何を取り組んでいるのか、ということを示すことができます。
③企業カルチャーに合った人材採用
先ほども述べたように、MVVというのは就活生などにとって、企業選択の一つの基準となります。そのためMVVの作成は、企業の魅力を効果的かつ効率的にアピールするのにも役立ちます。また、これは従業員の定着率の向上にも繋げることができます。
ここで、株式会社ユーザベースのMVV作成の実例を紹介します。
世界を狙う組織のつくり方~ユーザベース崩壊の危機を救った「7つのルール」~
CEOの稲垣氏は、創業以前からミッションやバリューについて話し合ってはいたものの、明確な言語化はしていませんでした。しかし創業から4年後、事業拡大は進む一方で、従業員同士の歯車がうまく噛み合わなくなっていきました。
このままでは内部崩壊すると感じた稲垣氏は、「バリューをちゃんと作るべきでは?」という結論に至り、
「7つのルール」・「4つのやらないこと」・「ミッション」を定めました。
これを定めたことによって、従業員同士は互いに信用しながら、常に高いモチベーションで業務に取り組むようになりました。その後海外進出を試みた際には、このミッションとバリューによって、共感したメンバーを集めることができたのです。
中小企業の現状
近年のスタートアップ企業では、MVVを導入するケースがほとんどであり、逆にMVVがないと周りから疑問を持たれることもあります。ではその一方で、中小企業ではMVVに対してどのような考えを持っているのでしょうか。
中小企業経営者105名を対象とした「『MVV作成』に関する実態調査」によると
MVVを作成している企業はたったの28.6%、作成していない企業にいたっては71.4%にも上ります。
作成していない理由については、「作成する方法がわからない」が38.7%、「どのような内容にするか決まっていない」「業務が忙しく後回しになっている」が22.7%、という結果でした。
「『MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)』は大切だと思いますか」という質問に対しては、
「かなりそう思う」が15.3%、「ややそう思う」が44.0%、「あまりそう思わない」が27.6%、「全くそう思わない」が17.1%という結果になりました。
つまり4割以上もの企業がMVVを重要視しておらず、その一方で、MVVを重要視しているが、作成していない企業も多く存在するということが分かります。
また厚生労働省調査の「新規大卒就職者の離職状況」によると、中小企業の離職率が比較的高いことが分かります。ひと口に中小企業と言っても、その定義は業種によって異なるため、従業員数で比較することはできませんが、これから就職する学生の感覚から言えば、1000人未満が妥当でしょう。
事務所規模別に見ると、1000人以上の企業では離職率が約25%であるのに対し、500~999・100〜499人では共に30%を超え、30〜99人では約40%、5〜29人では約50%、5人未満に関しては55%を超えています。
つまり中小企業における一つの問題として、企業カルチャーに合った人材を採用をできていないということが挙げられます。
Z世代との親和性
Z世代とは、いわゆる1990年代後半以降に生まれた世代を指します。今までの世代とは異なるユーモア溢れる価値観を有しており、そんな彼らの社会進出が進んでいます。
彼らの価値観として、
・共感力が高い
・個性を出しつつも、他者とのつながりも尊重 などが挙げられます。
つまり、会社の目指す理念や取り組みに対して共感できるか否かを重視するので、
MVVとZ世代の親和性は非常に高いと言えます。
逆に言えば、MVVを策定していない企業にとっては、その理念にあまり共感していない人々が入社してくる可能性すらあるということになります。
これからの将来を担うZ世代に対して、会社の方向性をしっかりと指し示してあげることによって、
彼らの会社に対するエンゲージメントを高めることができます。
実際に筆者もインターン先を選んだ決め手は、自分の携わりたい事業内容に対する共感と、Mission、Valuesに対するワクワク感でした。弊社ではMVVがしっかりと定められています。企業の方向性が言語化されていることで、自分の価値観とのすり合わせが非常にしやすいものとなっています。またMVVを策定していることにより、この企業は社員の方々が一体感を持って仕事に臨んでいるということが分かるきっかけともなります。
MVV策定のステップ
MVVを策定する際は、以下のステップを踏むことをお勧めします:
❶経営陣と従業員のワークショップ開催:まずは経営陣が一丸となってMVVを合意し、それを明文化します。共有したい価値観、目標、企業の存在意義について話し合います。社内で広く共有し、全員に理解してもらいます。ワークショップやミーティングを通じてフィードバックを集めるのも有効です。
❷具体的な行動指針の策定:ミッション、ビジョン、バリューを具体化し、日々の業務に落とし込む方法を検討します。それには、採用プロセス、評価基準、社内イベントなども含まれます。
❸定期的なレビューと更新:時代や事業環境の変化に応じてMVVを見直し、更新することが重要です。定期的に見直し、必要に応じて改善を行います。変化する環境に対応するために、MVVも柔軟に対応することが求められます。
成功事例:株式会社ユーザベース
株式会社ユーザベースは、MVV策定により組織内の一体感を高め、ビジネスの成功を収めました。従業員が共通の価値観に基づいて行動することで、社内のコミュニケーションが向上し、事業の拡大を実現しました。
MVVの策定プロセス
ユーザベースは2021年に約半年かけてMVVを策定しました。
- 経営陣と従業員によるワークショップを開催、共有したい価値観や目標、企業の存在意義について話し合う
- 従業員からのフィードバックを広く集め、全員に理解を深めてもらう
- ミッション、ビジョン、バリューを具体化し、日々の業務に落とし込む方法を検討
ユーザベースの成功事例は、MVVが組織の羅針盤となり、一体感の醸成と事業拡大に大きく貢献したことを示しています。
MVVによる効果
MVVの策定により、以下のような効果が見込めます
- 組織内の一体感が高まり、従業員が共通の価値観に基づいて行動できるようになる
- 社内のコミュニケーションが向上し、事業拡大を実現できる
- 企業理念や目標を社内外に明確に示すことができる
具体的には、MVVを軸に採用プロセスや評価基準、社内イベントなどを見直し、従業員の行動変容を促進しました。また、時代の変化に合わせてMVVを定期的に見直し、柔軟に対応することで、持続的な成長を実現しています。
注意点
MVVを策定する際には、以下の点に注意してください:
- 形骸化の回避:MVVを定めただけでは不十分です。全従業員に浸透させ、日々の業務に活かすことが重要です。
- 現場の意見を取り入れる:経営陣だけでなく、現場の従業員の意見も積極的に取り入れましょう。
- 時代の変化に対応:社会や市場の変化に応じてMVVを見直し、更新する柔軟性を持ちましょう。
MVV策定における注意点
ここまで読んでくれた方は、MVVが企業にとってどれほど重要であるかについてはお分かり頂けたかと思います。
しかしこのMVVを誤った方法で作成、理念浸透してしまうと、意味を全く成さない可能性があります。ここではその失敗例をいくつか紹介したいと思います。
①放置による形骸化
これはよくあるパターンの一つです。単にMVVを作成したことに満足してしまい、会社全体に浸透させることを怠ってしまうのです。どのように浸透させるのかが分からないという場合が多いです。
②経営陣にのみ都合の良い理念
現場で働くのは他の従業員にもかかわらず、経営陣の意見・視点のみを採用し、作成します。浸透させる相手は現場の従業員であるということを考慮し、彼らに意見を取り入れ、彼らの視点から考えなければなりません。
③時代の変化への未対応
時代が変化するにつれて、価値観や目標が時代にそぐわなくなっていく可能性があります。
この変化に柔軟に対応するために、核の部分は残しながら、今の時代にマッチするようなものを作成しましょう。実際に特許庁は2021年6月に、時代に即した知財行政を行うために、MVVを改変しました。
まとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今回の記事では、MVVに関する基本的知識と、その策定によるメリット等について紹介しました。
MVVの作成は、企業の個性であり、他の企業との差別化を図る大きな要因となり得ます。また、全ての従業員が同じ価値観や目的を共有している企業は、組織力・人材採用・事業成功など、あらゆる面においてMVVを設定していない企業を上回っています。
目まぐるしく変化する社会において、異なる価値観を持った人々が同じ志・目標を持って働くためには、MVVの策定が不可欠です。”今更MVV”ではなく、”今だからこそMVV”を策定してみませんか?
EXPACTでは、スタートアップ企業だけでなく、中小企業への採用支援・広報活動も行っており、実績・経験も多数ございます。大手コンサルファーミングとは異なり、少数精鋭ならではの機動力と、細やかなサポートを強みとしており、ワンストップでハンズオンの支援を強みとしております。
一般的な新規事業立ち上げサービスは、事業計画の策定・戦略までの支援がほとんどですが、EXPACTは専門人材のペルソナ設計から採用まで各分野のプロフェッショナルがワンストップで支援可能です。
上記で挙げたようなMVV策定における注意点を克服するために、
①EXPACTでは事業計画の策定・戦略の支援にとどまらず、ペルソナ設計から採用まで各分野のプロフェッショナルがサポートしていくので、放置に形骸化が起こることはありません。
②弊社には、国家資格キャリアコンサルタントが2名います。外部の強みを生かしながら、本音を聞くことができ、人事制度設計できる人間も複数いるので、現場の本音をヒアリング、現在地からあるべき姿を逆算して設計することが可能です。
③弊社の一つの特徴として、インターン生が20名ほど在籍していることが挙げられます。これにより、外部から見た生の声、これからを担う彼ら・彼女たちがどのように感じるのかを、フィードバックさせて頂きますので、時代に即した価値観や目標をブラッシュアップし続けることができます。
MVVの導入を考えている方や詳しく話を聞いてみたいという方はこちらからお問い合わせください。