【資金調達の面談を成功させたい】ピッチはオンラインが主流に?起業家が目指すべき投資家との面談方法とは
起業家が資金調達を実施する際には、ベンチャーキャピタル(VC)や出資先など投資家へエクイティストーリーや資金政策の提出と面談を行います。
特に面談においては、経営者の人となりや事業への熱量などを推し量る機会になるため、事業計画がどれだけ緻密で計画的でも評価が大きく変わってしまうこともあり得ます。
この面談、これまでは対面が主流でしたがオンライン化も進んできています。
このコラムでは投資家との面談について解説します。
投資家との面談方法
スタートアップの起業家として苦労するのは資金調達です。ほとんどの起業家はエクイティストーリーを考え、事業計画や資本政策に関する資料を準備したのち、出資をしてくれる投資家やベンチャーキャピタリストにピッチを行い、交渉を行うことになります。必要な投資家と合意を経て、ラウンドをクローズするの30日~180日はかかることが多いです。
この従来の資金調達のやり方において、投資家との面談は基本的に対面でした。
ラウンドによりますが、数百万円から数千万円、数億円規模の投資を受けることになるため、対面となるのも当然かと思います。
投資家との面談方法に関しては、経営者の人柄や事業への想いを伝えることが非常に重要であり、投資家が関心を持ちそうな点を自己分析することも必要です。また、ピッチ資料を必ず作成しておきましょう。ピッチ資料には、自社のビジネスモデルや将来性、競合環境、市場規模などを説明を行います。またJ-KISSやCE、バリュエーションといった最低限の専門用語を抑えてから投資家面談に臨みましょう。
シードの資金調達手法 J-KISS (日本版 Keep It Simple Security,コンバーティブルエクイティ)とは?
資金調達面談時の問題点とは
投資家との面談方法に関しては、経営者の人柄や事業への想いを伝えることが非常に重要であり、投資家が関心を持ちそうな点を分析することも重要です。資金調達のための面談は決まった投資家だけに会うと言うケースは少なく、おおよそは何人もの投資家やVCと面談を複数回重ねることになります。この投資家の中でも、実際に投資を前向きに考え、事業内容や計画に共感を持っていくれている人もいれば、情報収集の一環程度でさほど温度感も高くない人もいるでしょう。
要するに『面談と言ってもそれぞれの温度感が違う』という問題点があります。投資家も一ヵ所に固まっているわけではありませんので、温度感の低い投資家に会うために遠方に出向くなどすると、起業家にとっても投資家にとっても無駄な時間を使ってしまうことになります。
いわゆる「クオリファイド・リード」(=商品やサービスに興味があり、十分な予算や購買決定権をもつ見込客)ではない相手にピッチをするやり方が問題になります。
面談は基本的に2回以上
投資家との面談は基本的に2回以上行われることがほとんどです。VCの場合ではまず最初の面談では担当者が事業計画を見ながら面談を行い、それらを社内のチームや決裁者へ共有し次回の面談へ繋げてくれる、というケースが一般的です。
場合によってはVCチームメンバー全員へのピッチなどを重ねていくなどもあり、そのたびに面談に出向いていては本来集中するべき経営に割く時間が削られてしまいます。
資金調達の面談はオンライン化が主流に?
新型コロナウイルスの広がりに合わせて、リモートワーク、テレワークが急速に定着し、ZoomやGoogle meet、Teamsなどオンラインツールでの打ち合わせが日本でも広く受け入れられるようになりました。すでにシリコンバレーでは、投資家との初回面談は「ピッチデック+ピッチ動画で補足する」という方法を選ぶスタートアップが増えてきています。
さらに、面談を毎回オンラインツールにするのではなく、動画制作ツールでプレゼン資料に合わせた起業家の解説動画を制作、つまり動画内で完結させるツールの制作と送付で投資家を募る手段も出てきています。
Ripplingはこの方法を活用して65億ドル(約7,500億円)のバリュエーションで2億5,000万ドル(約290億円)を調達した実績もあります。
動画なら説明を間違うことなく、何度でも視聴できるので、同じ質問をVCから何度も聞かれるようなことも減り、双方にとって有益なピッチになる可能性があります。
まとめ
世界もそうですが、日本でもコロナの影響が広がる中で、こうした動画やオンラインツールを活用した資金調達の面談は起業家の時間を有効的に使う意味でもとても有益な方法に感じられます。面談の目的は起業家と投資家の「相互理解」にあります。投資家も一回きりの投資で終わるよりは投資先が大きく成長し、継続的な投資を出来た方が望ましく、その後の関係構築のためにも、直接のコミュニケーションも重要ではあります。最後は実際に会うことが大事ですが、そこに至るまでの時間の使い方は今後変わっていきそうです。