【起業家必見】近年注目のドラッグアロングとは?タグアロングとの違いは?
近年ではIPOを目指すベンチャー/ スタートアップ企業が増加しており、それに応じてドラッグアロング条項を要求する投資家も見られるようになりました。
この記事では、ドラッグアロングの基本的な知識と、それと併せてよく耳にするタグアロングとの違いについてまとめています。これから起業を考えている方や投資に関する知識を深めたい方は、ぜひご覧ください。
ドラッグアロング(Drag Along)とは?
ドラッグアロングとは、「強制売却権」とも呼ばれ、ベンチャー投資において、ある大株主が第三者に対して株式を売却する際に、その他の少数株主も同条件で株式を売却しなければならないという条項です。
ドラッグアロングとは、”Drag Along”の「無理やり引っ張る」という意味から由来し、文字通り強制力のある権利と言えます。
一見、少数株主にとっては売却を強制されるためデメリットのように感じます。しかし、少数株主の合意のもとで行われるドラッグアロング条項は、大株主と同条件で株式を売却することができるため、M&Aの場合などケースによっては、大きなメリットとなり得ます。
なぜドラッグアロングが必要なのか?
ではなぜこのドラッグアロングが近年注目されているのでしょうか。
それはズバリ、M&Aを強制的に実行し、出資金を回収することができるからです。
そもそもベンチャー投資における投資家の目的は、企業をEXITさせることにより投資資金を回収することです。
(EXIT戦略解説記事)
EXITにおいて投資家が投資資金を回収する方法は大きく分けて2つあります。IPO(新規株式公開)とM&A(合併・買収)です。
(IPO解説記事)
(M&A解説記事)
大抵の場合、スタートアップ企業は、IPOを約束し、投資家から出資を受けます。しかし、時にはIPOを行う意思のないスタートアップ企業も存在しており、投資家にとっては、EXITが期待できず、ファンドの召喚期限を迎えてしまう可能性もあります。もし大株主のみが株式売却を行ったとしても、買手企業が100%経営権を獲得できるとは限らず、M&Aが成立しないリスクもあります。
この状況を回避するべく、第三者に対する株式売却を少数株主にも強制させ、確実にM&Aを成立させる条項が必要となります。
ドラッグアロング条項の設定
もし投資家の気分によってドラッグアロング権が行使されてしまったら、起業家にとっては極めてリスク高いものになります。したがって、「どのような条件において、ドラッグアロング権が行使されるのか」について、具体的に決める必要があります。
例えば、以下のような条件です。
・2022年7月までにIPO申請をしなかった場合
・事前に設定した目標を達成できなかった場合
・◯億円以上での買収提案に応じなかった場合
これらの条件を踏まえ、実際にこのような条項があります。
【条項例】
第◯条項 買取請求権
次のいずれかに該当する場合において、投資者が本会社の株式の買取請求を行う際に、経営株主は当該株式を自ら買取、又は、第三者に対し当該株式を買取させる義務を負う。
- 本会社が上場条件を満たしているのにもかかわらず、上場申請をしない場合。
- 本会社に対して◯億円以上の買収提案があるのにもかかわらず、それに応じない場合。
- 経営株主が本合意書に違反した場合
- 経営株主が合意した内容と事実が異なると判明した場合
なお、前項の買取価格は次のうち、最も高い価額とする。
- 投資者の取得価格
- 投資者及び経営株主の双方が指定する監査法人等の評価額
- 投資者及び経営株主の双方が合意する価額
タグアロング(Tag Along)とは?
ここまではドラッグアロングに関する基礎知識を見てきました。それと同時に挙げられるものとして、タグアロング(Tag Along)があります。
これは、”Tag Along”の「ついていく」という意味から由来し、ある株主が株式を売却する際に、他の株主も同条件で同じ買い手に売却できるという権利です。別名「共同売却権」とも呼ばれています。
例えば、大株主が一方的に株式を売却すると、株価が下落するなど、少数株主は甚大な被害を被る可能性があります。そこでタグアロング条項を盛り込むことにより、少数株主は同条件で株式を売却することができるので、最小限のリスクで済みます。
また個人投資家などの少数株主にとって、ベンチャー投資はリスクの見極めが困難です。そこで、タグアロングによって積極的な投資が促され、企業も資金確保がしやすくなるという寸法です。
しかし起業家としては、望まない形での株式売却の恐れや、タグアロングを盛り込むことによる大株主の出資取りやめのリスクもあります。
ドラッグアロングとタグアロングの違いとは?
では、ドラッグアロングとタグアロングの違いはなんでしょうか。それは、「強制力の強さ」です。
ドラッグアロングにおいて少数株主は、大株主の株式売却申請に対して、義務として応じなければなりません。仮に企業がさらに成長する可能性があったとしても、この時点で売却しなければいけません。
その一方でタグアロングにおいて少数株主は、大株主が株式売却を行う際に、同条件で売却することができる権利を有します。もし、企業のさらなる成長が見込まれるのであれば、そのまま株式を保有することも可能です。
EXPACTのEXIT支援とは?
弊社(EXPACT株式会社)では、EXIT戦略を成功させるためにアドバイスのみに留まらないハンズオン支援型のEXIT支援を実行しております。大手コンサルティングファームとは異なり、弊社は挑戦する企業の伴走者となります。少数精鋭ならではの機動力と細やかなサポートが強みです。
▲EXPACTのEXIT支援サービス(画像:弊社作成)
M&A
戦略コンサルティング 経営戦略におけるコア事業、ノンコア事業の整理、コア事業の切り出し、スキームの提案を行います。
実行支援 ハンズオン型支援体制による事業譲渡を実行し、クロージングまで一貫して支援先にコミットした支援体制を構築します。
PMI支援 事業ポートフォリオ整理後の資本政策、資金調達計画の立案・実行、人事制度の統合支援などを実施します。
弊社では、このようにオール・イン・ワンの提案ができる専門家を活用した戦略コンサルティング、実行支援、PMI支援を一貫して行うことで、企業価値の向上やEXITをサポートして参ります。
まとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございました。今回の記事では、ドラッグアロングとタグアロングに関する基本的な知識とその違いについてご紹介いたしました。
EXPACTでは、特にスタートアップ企業への補助金活用や資金調達を強みとしており、実績・経験も多数ございます。資金調達成功に向けて、パートナーを探している、また詳しく話を聞いてみたいという方はこちらからお問い合わせください。
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