
ダイリューションは、企業の株価や持ち株比率の低下のきっかけとなる可能性があります。ダイリューションのきっかけについて理解するために、この記事では増資についても併せて解説しています。
スタートアップ企業に興味のある方、投資や金融に関する知識を深めたい方は、ぜひご覧ください。
ダイリューションとは?
ダイリューションとは英語の”Dilution”の「希薄化」という意味に由来しており、増資により発行済み株式が増え、1株あたりの価値が低下することです。
これを見ただけでは、「なんだ、ダイリューションは悪いことか」という印象を受けることでしょう。しかし、ダイリューションにはしっかりとメリット・デメリットがあります。
これからそれについて説明していきたいと思います。
増資について
ダイリューションが起こるプロセスを知るために、まずは増資について理解する必要があります。
増資とは、株式を発行し、投資家から資金を集めることであり、対象となる異なる投資家が3種類あります。
公募増資:指定なし
第三者割当増資:特定の第三者
株主割当増資:既存の株主
対象となる投資家を指定することによって、身元がはっきりしているため安心して出資を受けることができます。
詳しくはこちらをご覧ください。
(エクイティ・ファイナンスに関する記事)
増資による影響
ではこの増資によってどのような影響が出るのでしょうか。
増資とは投資家から資金を集めることなので、もちろん企業にとっては事業の開発や維持、拡大のための資金を得ることとなります。
しかし既存株主の立場では、発行済み株式が増えることとなるので、1株当たりの価値が低下することを意味します。これがまさに、ダイリューションなのです。
そもそも1株当たりの利益とは、「1年間の純利益÷発行済株式総数」によって出されます。
例えば純利益が5,000万円、発行済株式総数が500株だとすると、1株あたり10万円という事になります。しかし純利益が同様に5,000万円、増資による発行済株式総数が1,000株だとすると、1株あたり5万円ということになり、低下していることが分かります。
増資(ダイリューション)によるメリット・デメリット
では、ダイリューションによってどのようなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう。
まず企業側のメリットとして、先ほども述べた通り、事業のための資金を得ることができます。その一方デメリットとして、発行済株式が増える事により、経営陣の持株比率が大幅に減少し、迅速な経営判断を妨げてしまう可能性があります。また、株式の希薄化に反発する株主が保有済み株式を売却する事によって、株価が暴落する可能性もあります。
続いて株主側のメリットとして、増資により企業がIPOする可能性が高まるということです。デメリットとしては、それがまさにダイリューションであり、発行済み株式が増加する事により1株当たりの価値が下がります。
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(IPOについての記事)
まとめると、以下のようになります。
企業 | 株主/投資家 | |
メリット | ・事業のための資金調達 | ・将来的にIPOが期待できる |
デメリット | ・迅速な経営判断の妨げ
・株価の下落 |
・1株あたりの価値が下がる |
ダイリューションをする上での留意点とは?
ダイリューションをする際には様々なリスクが伴うことがお分かりいただけたかと思います。そこで、ダイリューションを行う際には、いくつかのルールが設けられる場合があります。
例えば東京証券取引所では、「25%ルール」「300%ルール」が定められています。
これは、「増資後の株式議決権数÷増資前の発行済株式の議決権総数」で求められる希薄化率が25%、もしくは300%を超える第三者割当増資に対する制限を指します。
つまり25%以上の場合、株式総会における決議による株主意思の確認、独立した第三者による増資の必要性・相当性に関する意見が求められます。
300%を超える場合は、株主を守ることが困難であるため、原則として禁止されています。それでも300%を超える場合には、「株主及び投資者の利益を侵害するおそれが少ない」と認められる場合を除き、「株主の権利の不当な制限」(東証有価証券上場規程 601 条 1 項 17 号)に抵触するとして、上場廃止というペナルティが課されます(東証有価証券上場規程施行規則 601 条 13 項 6 号)。
このようにダイリューションを行う上では、様々なリスクを加味しながら行わなければなりません。
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【M&A】
戦略コンサルティング 経営戦略におけるコア事業、ノンコア事業の整理、コア事業の切り出し、スキームの提案を行います。
実行支援 ハンズオン型支援体制による事業譲渡を実行し、クロージングまで一貫して支援先にコミットした支援体制を構築します。
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弊社では、このようにオール・イン・ワンの提案ができる独自のアセットを活用した戦略コンサルティング、実行支援、PMI支援を一貫して行うことで、企業価値の向上をサポートして参ります。
まとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございました。今回の記事では、ダイリューションに関する基本的な知識と増資との関係についてご紹介いたしました。
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