スタートアップ企業にとって『ブランディング』とは何か?
ブランディングの目的は、お客様に自社の商品・サービスを「選んでもらう」ことです。選ばれるためには、自社の強み・他社との違いを「ブランドコンセプト」として明確にする必要があります。
このブランドコンセプトをアピールするために、ネーミング・ロゴ・パッケージを変えることも多いのですが、ネーミングやロゴはお客様にブランドコンセプト(差別化のポイント)をアピールするためのツールにすぎません。
現代社会において、ブランディングは単に商品やサービスを市場に提示する行為を超えた意味を持ちます。それは、消費者の心に深く響くストーリー、価値観、そして企業の社会への責任という、より深いレベルでのコミュニケーションです。このような時代の変化に伴い、ブランドが目指すべきは、見た目の美しさを超えた場所にあります。それは、企業の意図、情熱、そして社会貢献への想いを伝えることです。
「ブランド」とは?
「ブランド」というのは、
商品・サービスのデザインやCI、働いている人やオフィスの雰囲気、商標、名称、キャッチフレーズ、広告のボディコピーなど、様々な要素が組み合わさって出来上がるものです。
ブランドがあることのメリットは数多くありますが、
「差別化が出来る」、「商品価値を高められる」などの効果が、
企業にとっては一番のポイントになるのではないでしょうか。
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ブランディングとは?
では、『ブランディング』とは何か?
ブランディングとはブランドの構築・確立をするための一連の取り組みのことです。
TVや広告を打つことも、SNSで情報発信することも、
ロゴを作ったりボディコピーを作ることもすべてブランディングです。
ブランディングは単なる見た目の変化ではありません。それは、企業が社会にどのような影響を与え、どのような価値を創造するかを示すことにあります。強力なブランドは、そのメッセージを通じて、顧客や社会に対して明確な約束を行います。これは、製品やサービスの品質だけでなく、企業の社会的責任や倫理観へのコミットメントも含まれます。
強力なブランドは、経営者や創業者の情熱やビジョン、社会への深い貢献を基に構築されます。これらの価値を明確に伝えることで、社内外の人々はそのビジョンに共感し、一体となって目標に向かって進むことができます。この共感と結束は、ブランドロイヤルティの基盤を形成し、消費者の長期的な支持を確実なものにします。
ブランドづくりのために最も重要なこと
ある日、東北芸術工科大学企画構想学科で行われた授業では、学長が驚きの実験を行いました。この学科では、商品開発、広告・マーケティング、PR・広報などを学ぶことができ、学長は有名な『くまモン』を生み出した小山薫堂さんです。彼が「ブランディングとは何か?」についての講義を行った日のことです。
授業中、学長は大鍋に入ったカレーを生徒たちの前に持ち込み、「食べたい人いますか?」と尋ねましたが、昼食後だったこともあり、誰も手を挙げませんでした。次に、カレーを作った人を教室に招き入れました。女性はカレーの特徴や作り方、好きな家族の話をしました。特に、このカレーが好きだという次男が野球選手で、名前が「鈴木一朗(イチロー)」であることが明らかになった瞬間、生徒たちの興味は急激に高まりました。実はこのカレー、イチロー選手が「世界一好き」と公言し、ルーティンで食べていたものだったのです。
最終的に、「このカレーを食べてみたい人?」と再度尋ねられたとき、今度は生徒全員が手を挙げました。学長はこの出来事をもって、「これがブランディングです」と結論づけました。
この授業は、単なる商品の特性や品質だけではなく、その背後にあるストーリー、関連する人物の影響力が消費者の興味や欲求を大きく変えることができる、ブランディングの力を見事に示した例です。
学長が一言
「これがブランディングです」
企業ブランドのつくり方
企業ブランドを構築する上で、製品やサービスそのものの質や機能だけでなく、その背後にあるストーリーの伝達が非常に重要です。ある大学の授業で行われた一風変わった実験から、このブランディングの定義を見てみましょう。生徒たちの前に普通のカレーが出されたとき、誰も特別な興味を示しませんでした。しかし、そのカレーが野球選手イチローが「世界一好き」と言うカレーであることが明かされた瞬間、生徒たちの興味は急激に高まりました。カレーの物理的な性質は変わっていないにも関わらず、そのストーリーを知ることで、生徒たちはカレーに対して強い興味を持ち始めたのです。
このエピソードは、消費者が製品やサービスに共感や感情移入をする力を見事に示しています。あらゆる商品やサービスにはストーリーがあり、それを伝えることでブランドの魅力を大きく高めることができます。では、効果的な企業ブランドを構築するためには、どのようなステップを踏めば良いのでしょうか。
- 自社分析の徹底:まず、自社の強み、経営理念や行動指針を深く理解することから始めます。これはブランドコンセプトを設定するための土台となります。
- ブランドコンセプトの設定:自社の特徴や提供する価値をもとに、独自のブランドコンセプトを明確にします。これは、御社だけが提供できる独特の価値を消費者に伝える核となります。
- シンボルマークやパッケージデザインの開発:ブランドコンセプトに基づき、視覚的なアイデンティティを構築します。これには、ロゴデザインやパッケージデザインなどが含まれます。
- コンセプトの浸透と発信:社内外にコンセプトを徹底的に浸透させ、一貫したメッセージを伝え続けます。ホームページ、SNS、広告、パブリシティ記事など、様々な手段を用いてストーリーを伝えます。
企業ブランド構築の過程で最も重要なのは、「御社だからこそ提供できる商品価値」という独自のストーリーを創り、伝えることです。消費者がそのストーリーに共感し、感情移入することで、ブランドは真の価値を発揮します。このプロセスを通じて、企業は自らのアイデンティティを確立し、競合から差別化を図ることができるのです。
まとめ
ブランディングは、単に商品やサービスを市場で差別化する手段を超え、企業と消費者との間に深い結びつきを生み出す重要なプロセスです。これは企業が自らの価値観を明確にし、社会への貢献を積極的に伝えることを通じて実現されます。その結果、消費者の心に深く響き、長期的な支持を得ることが可能になります。このアプローチは、現代の企業にとって、単にビジネスの成功を目指すだけでなく、社会全体への積極的な貢献というより大きな目的を果たすための手段となります。
ブランディングを通じて、企業は自らの価値観を世界に示し、より良い未来への一歩を踏み出すことができます。これは、製品やサービスを提供することを超え、その活動を通じて社会全体に対する責任と貢献を果たすことを意味します。そのため、ブランディングは企業が取り組むべき重要な戦略であり、その価値観を通じて消費者の心に響き、社会に対して良い影響を与えることができる強力なツールです。ブランドが伝える情熱、ビジョン、そして社会貢献への想いは、消費者との信頼関係を築き、長期的なブランドロイヤルティと強力なブランドイメージの構築に繋がります。
EXPACTとスタートアップの取り組み
EXPACTが支援するスタートアップは、社会課題の解決に焦点を当てたビジョンの作成を推奨しています。これにより、製品やサービスが社会に与えるインパクトと、ブランドが描く理想の世界観が一致し、強力なブランドイメージの構築を目指します。このアプローチは、消費者が機能性だけでなく、その購入が社会に与える良い影響を重視する現代において、特に重要です。
ブランドが目指すべきは、単なる商標やロゴでなく、その背後にある意図や情熱、そして社会貢献への想いをしっかりと伝えることです。
そのために、経営者や創業者が自身の情熱やビジョン、社会への貢献を明確に伝えることが求められます。それが実現したら、その強いメッセージは社内外の人々に共感を呼び、ビジョンに向かって一緒に進む強固な結束を生むでしょう。
ブランディングは、そうした共感や結束を創り出す良い手段ですが、決して見た目だけを変えるものではありません。
最終的には、そのブランドが社会に対してどのような影響をもたらすか、どのような価値を創出するかを具体的に見せることが重要です。
弊社では、ブランディング支援も行っています。お気軽にお問合せください。