プレシリーズAラウンドってなに?スタートアップの資金調達ステージを詳しく解説!
こんにちは!今回は「プレシリーズAラウンド」について詳しく解説します。スタートアップ企業にとって、資金調達の各ステージは非常に重要です。この記事では、プレシリーズAラウンドの特徴や意義、成功するためのポイントについて分かりやすく説明します。
シリコンバレーでは、スタートアップのアーリーステージの資金調達が驚くほど細分化されています。エンジェル、プレシード、シード、ポストシード、プレシリーズA、そしてシリーズAなど、少なくとも6つの段階があります。一方、日本ではシードとシリーズAの2段階しかありませんでした。その間の資金調達は単に「ブリッジ」という言葉が使われてきました。しかし最近、日本でも「プレシリーズA」という資金調達ラウンドが出現しつつあります。
プレシリーズAラウンドとは?
プレシリーズAラウンド(Pre-Series A)は、シリーズAラウンドの前に行われる資金調達ステージです。この段階は、スタートアップがプロダクトマーケットフィット(PMF)に近づいているものの、まだ完全に達成していない場合に行われます。プレシリーズAは、シリーズAにふさわしいレベルのトラクションに到達していないスタートアップが、シリーズA調達に向けた準備として行う、比較的少額の資金調達ラウンド。つまり、プレシリーズAはシードラウンドとシリーズAラウンドの間に位置する資金調達ステージです。
投資スキームとしては、J-KISS型新株予約権による投資やみなし優先株による投資が行われるケースが多く見られます。理由としては、シリーズAラウンドの際に、しっかりとバリュエーションやデューデリジェンスを行うためのブリッジラウンドとしての意味合いが強いためと言えます。
- シードラウンドとシリーズAラウンドの間に位置する
- シリーズAラウンドに向けてプロダクト・マーケット・フィット(PMF)の達成を目指す段階
シードの資金調達手法 J-KISS (日本版 Keep It Simple Security,コンバーティブルエクイティ)とは?
プレシリーズAラウンドの目的
プレシリーズAラウンドの主な目的は、以下の通りです。
- プロダクト開発の加速: 製品やサービスの改良や新機能の追加を行うための資金を確保します。
- 市場検証の強化: 顧客からのフィードバックを元に、製品の市場適合性をさらに確認します。
- チームの強化: 必要な人材を採用し、チームの能力を高めます。
- 事業基盤の整備: 基盤となるインフラやシステムを整備し、事業のスケーラビリティを高めます。
プレシリーズAラウンドの特徴
プレシリーズAラウンドには、いくつかの特徴があります。
- 投資額の規模: シードラウンドよりも多く、シリーズAラウンドよりは少ない投資額が一般的です。通常、数百万円から数千万円程度の資金が調達されます。調達金額の目安は5,000万円〜1億円程度。
- 投資家の種類: エンジェル投資家やシードVCに加えて、シリーズAに投資するVCの一部が参加することもあります。
- 企業のステージ: スタートアップはプロダクトをローンチし、初期のユーザーや顧客を獲得している段階です。事業の方向性や市場の反応がある程度見えてきた状態です。
資金の使途
- 製品・サービスの改良や新機能の追加
- 初期マーケティングの実施
- 優秀な人材の採用と組織強化
- 規制業界への参入準備(許認可取得など)
プレシリーズAの意義
- シードラウンドの調達額が少額な場合が多く、シリーズAに向けた十分な準備ができない
- プレシリーズAはそのギャップを埋める役割がある
- 規制の厳しい業界に参入する際の準備資金として重要
プレシリーズAラウンドでは、シリーズAラウンドに向けた本格的な事業拡大の準備を整えることが目的です。製品改良、人材確保、規制対応などを通じて、PMFの達成を目指します。
プレシリーズAラウンドを成功させるためのポイント
プレシリーズAラウンドで成功するためには、以下のポイントに注意することが重要です。
- 明確なビジョンと戦略: 事業のビジョンや戦略を明確にし、投資家に対して魅力的なストーリーを伝えましょう。
- 市場の検証: 市場での実績や顧客からのフィードバックを活用して、製品やサービスの市場適合性を示しましょう。
- 強力なチーム: 適切な人材を揃え、チーム全体の能力を高めることが重要です。投資家は、経営陣やチームの能力を重視します。
- 財務計画の整備: 資金の使途や今後の財務計画を明確にし、投資家に対して信頼性のある計画を提示しましょう。
- ネットワーキング: 投資家とのネットワーキングを積極的に行い、信頼関係を築くことが重要です。投資家との良好な関係が、資金調達の成功につながります。
プレシリーズAの成功事例
プレシリーズAラウンドで成功したスタートアップの事例をいくつか紹介します。これらの企業は、適切なタイミングで資金を調達し、事業の成長を加速させています。
- カスタマーサクセス管理ツールのHiCustomer
HiCustomerは2019年12月にプレシリーズAラウンドで約1.5億円を調達しました。この資金を活用し、製品の機能強化やマーケティング施策を実施。導入企業の解約率が20分の1に低下するなど顧客満足度を大幅に改善しました。2022年12月に追加で約1億円の資金調達を実施し、新製品「Arch by HiCustomer」の開発を強化。HiCustomerはプレシリーズAで調達した資金を活用し、製品強化とマーケティングを推進。導入企業の解約率低下など顧客満足度の改善に成功しており、日本のSaaS企業を支援するカスタマーサクセス管理ツールとして成長を続けています。
このように、プレシリーズAラウンドで適切な資金調達ができれば、製品改良や機能強化、マーケティング施策などを通じて事業の成長スピードを加速させることができます。
プレシリーズAのリスクと課題
プレシリーズAラウンドには、リスクや課題も存在します:
- 市場の不確実性: 市場の反応がまだ十分に確認できていない場合、投資家からの評価が不安定になる可能性があります。
- 資金調達の難易度: シリーズAに比べて投資家の関心が低いため、資金調達が難しくなることがあります。
- チームの課題: 適切な人材を確保できない場合、事業の成長が停滞するリスクがあります。
おわりに
最後までご覧いただきありがとうございました。今回は、プレシリーズAラウンドの意味とその特徴、成功するためのポイントについて解説しました。EXPACTでは、スタートアップ企業の資金調達をサポートしており、多くの実績と経験があります。資金調達に関するご相談や詳細な情報をお求めの方は、ぜひお問い合わせください。
あなたのスタートアップが次のステージに進むためのお手伝いができることを楽しみにしています!