【テレワーク】スタートアップ・ベンチャー企業はテレワークをするべき!テレワークについて徹底解説!
スタートアップやベンチャー企業、そして小規模事業者の皆さまは、テレワーク(リモートワーク)をすでに導入されていますでしょうか?本記事では、今さら人には聞けない「テレワーク」の基本から、そのメリット、さらには導入を検討すべき理由について徹底解説します。
テレワークの語源やリモートワークとの違い、日本での普及状況、さらには政府の支援策や助成金制度まで幅広く取り上げています。まだ導入を検討中の企業の皆さま、ぜひこの機会にご一読ください。
そもそもテレワークとリモートワークの語源は?違いは?
まず、「テレワーク」と「リモートワーク」という言葉の違いについて解説します。テレワークの“tele”は「遠隔の」という意味で、“telework”は「遠隔で働く」という意味を持ちます。アメリカの物理学者、ジャック・ニルス氏が1973年に自宅での作業を「テレコミューティング(telecommuting)」と呼んだことが起源とされています。
“telework”は、主にオフィス勤務を前提とした働き方を指し、対して“remotework”はオフィス外での勤務を主とする働き方を意味します。また、”telecommute”は「通勤が不要な働き方」、”WFH(Work From Home)”は「在宅勤務」を指します。これらの言葉は、微妙に異なるニュアンスを持つため、状況に応じた使い分けが重要です。
日本では、1984年にNECが吉祥寺にサテライトオフィスを設置したのを皮切りに、テレワークが導入されました。政府や自治体は”テレワーク”という言葉で統一しており、「情報通信技術(ICT)を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」と定義しています。一方、IT業界やベンチャー界隈では”リモートワーク”という言葉がより一般的に使用されています。
テレワークが企業にもたらすメリット
新型コロナウイルスの影響で、従来の働き方が大きく変化し、テレワークの導入が急速に進みました。この変化の中で注目されるのが「ワーク・イン・ライフ」という考え方です。これは、仕事と人生を調和させる新しい働き方で、従来のワークライフバランスを超えた概念です。社員が働く時間や場所を自由に選べるような制度を導入する企業も増えており、これがテレワークの普及を後押ししています。
テレワークの具体的な方法
テレワークの方法は、大きく以下の3つに分類されます。
1.在宅勤務
自宅のインターネット環境を利用して働く方法です。介護や育児などをしながら仕事をしたい方に向いています。ただ、育児や介護と両立しやすい反面、プライベートとの切り替えが苦手な方や、自宅の周辺環境に問題がある方には向いてないかもしれません。
2.モバイルワーク
ホテルやカフェ、交通機関など、自宅以外のインターネット環境を利用して働く方法です。近年、ホテルやカフェ、公共交通機関などでインターネット環境が整備されてきて、いつでもどこでも働くことができるようになってきています。営業職など出張や外出が多い方は、移動や空き時間を有効活用できるため向いています。懸念点としては、持ち運べる機器や書類は限られていることや、セキュリティにリスクがあることです。
3.サテライトオフィス・コワーキングスペース
サテライトオフィスやコワーキングスペースへ移動して働く方法です。インターネット環境や周辺環境も整備されていますし、大抵アクセスしやすい場所にあります。
サテライトオフィスとは、「企業本社や、官公庁・団体の本庁舎・本部から離れた所に設置されたオフィス」のことです。サテライトオフィスは会社で契約するため、大企業に多いです。
コワーキングスペースと呼ばれる「共用のワークスペース」を個人で契約して仕事をするという人も増えています。コワーキングスペースは個人で契約することから、スタートアップ・ベンチャー企業・小規模事業者の方に多いです。
さらに、ハイブリッドワークという、新たな働き方も登場しています。これは、従来のオフィス勤務とリモートワークを組み合わせた柔軟な働き方で、社員が自身のライフスタイルに合わせて働く場所を選べることが特徴です。マイクロソフトをはじめとする多くの企業が導入し、生産性向上やワークライフバランスの改善に役立てています。
ハイブリッドワークとは、従来のオフィスでの勤務と自宅やシェアオフィス、コワーキングスペースなどの場所でのリモートワークを組み合わせた新しい働き方です。
ハイブリッドワークは、週のうち数日は出社して残りの日は自宅やリモートワークで働くことが可能で、ライフスタイルや環境に合わせた柔軟な働き方が可能です。また、ハイブリッドワークでは、出社、在宅勤務、コワーキングスペースなど、働く場所を自由に選択することができます。
ハイブリッドワークは、企業が社員に柔軟な働き方を提供することで、生産性向上や従業員のワークライフバランスの改善を目的としているケースが大半です。マイクロソフトなど多くの企業が、ハイブリッドワークを導入することで、従業員エクスペリエンスの向上や、より柔軟な職場環境の提供を目指している。
ハイブリッドワークには、出社日と在宅勤務の組み合わせ、フレックスタイム制、テレワーク・オフィスの組み合わせ、会議の日のみ出社が可能など、様々な働き方を選択可能です。マイクロソフトでは、リモートワークは勤務時間の50%までとしており、ハイブリッドワークについて明確なポリシーを示している。(参照:https://blogs.windows.com/japan/2021/)
日本のテレワークの現状は?テレワークをするべき理由とは?
テレワークが定着するなか、一極集中から多極分散へ本社など主要拠点を都市部から地方に移転・分散する動きが急速に進んでいます。こうしたなか、首都圏から地方へ本社を移した企業の数は昨年351社となり過去最多、首都圏として11年ぶりの転出超過となりました。
テレワークの普及が進む中、都市部から地方への本社移転が加速しています。2021年には、首都圏から地方へ本社を移転した企業が過去最多を記録しました。特に小規模企業やスタートアップにおいては、首都圏にオフィスを維持するメリットが薄れつつあり、地方への移転が現実的な選択肢となっています。
政府も「集中から分散へ」を政策の柱とし、地方への企業移転を支援するための優遇税制や補助金制度を整備しています。地方自治体も、サテライトオフィスの設置や「ワーケーション」や「リトリート」の推進など、多様な支援策を展開しています。
PR TIMES掲載の「首都圏・本社移転動向調査(2021年)」によると、
- 2021年に本社移転を行った企業は、全国で2258社。このうち、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)から地方へ、本社または本社機能を移転した企業は351社判明、前年から2割超の大幅増加となった。転出企業が300社を超えるのは2002年以来19年ぶりで、これまで最多だった1994年の328社を大幅に上回り、過去最多を更新した。
- 地方から首都圏へ本社を移転した企業は328社。この結果、2021年における首都圏の本社移転動向は、転出社数が転入を23社上回る「転出超過」となった。首都圏で転出超過となるのは2010年以来11年ぶり。
- 首都圏からの移転先では、最も多いのは「大阪府」の46社。「北海道」は33社で、コロナ前の19年(7社)から約5倍に急増した。首都圏から北海道への移転社数としては過去最多となる。
- 首都圏への移転元では、最も多いのは「大阪府」の67社。首都圏からの転出企業を売上高規模別にみると、最も多かったのは「1億円未満」(176社)で、多くが小規模な企業だった。なかでも、5000万円未満の小規模企業、設立間もないスタートアップの割合はコロナ前を大きく上回る。
テレワークが普及・浸透したことでオンライン上でも業務可能となった企業(特にスタートアップ・ベンチャー企業・小規模事業者)では、首都圏におけるオフィス維持のメリットが薄れるなど、前向きな移転需要が増えています。また、研究開発型のスタートアップを中心に、研究施設の拡大などを目的として首都圏外に移転するケースもありました。今後も、多様な働き方を取り入れる企業が多いIT産業やスタートアップをはじめ、比較的移転が容易な小売業やサービス業といった企業では、首都圏外を有力な候補地として移転の検討や計画策定などの動きが活発化すると見られています。そのため、スタートアップ・ベンチャー企業・小規模事業者は今こそテレワークを検討するべきです。
政府は「集中から分散へ」を新たな政策の柱に掲げています。少子高齢化・人口流出に悩む地方の活性化につなげる目的で、政府や自治体による移転の優遇税制や補助金といった支援策が打ち出されています。地方への移住や企業移転に向けた具体策に取り組むほか、自治体によるサテライトオフィスや住居の整備、休暇先からリモートワークをする「ワーケーション」の誘致など、支援内容も多様化。これまでのまとまった工業団地の整備や助成金といった「モノ・カネ」中心の企業誘致策から、「働く“ヒト”」に焦点を当てた受け皿の整備が各地で進んでいます。
改正育児・介護休業法の成立
まず、改正育児・介護休業法ができたことで、3歳未満の子供を持つ社員がテレワークをできるようになるのは非常にポジティブな進展です。多くの親が「育児と仕事の両立に役立つ」と評価しているのも納得できます。特に、通勤時間の削減や急な呼び出しに対応できる点は、非常に大きなメリットです。
しかし、課題もあります。まず「努力義務」にすぎないため、すべての企業がテレワークを実際に導入するとは限らない点です。また、親たちの側から見ても、3歳以降もテレワークを望む声が多いことが明らかになりました。これは教育や育児の現実に即した要望であり、これに対する企業の柔軟な対応が求められます。
さらに、子育て中の社員にとって働きやすい環境を整えるためには、企業内外の理解が必要です。特定の社員だけが恩恵を受けることで「子持ち様」批判を受けるリスクも考慮し、全ての社員が利用できる柔軟な働き方を導入することが望ましいです。
ここでのポイントは、全社員が利用できるテレワークシステムを構築することです。例えばサイボウズや江崎グリコのような企業は、先行してこのようなシステムを導入しています。これによって全社員が適切な環境で働くことができ、企業全体としての生産性も向上しています。
今後のステップとしては、企業がテレワークを実際に導入するための具体的な計画を立てることが重要です。例えば、コミュニケーションツールや評価システムの整備などです。また、社員に対してテレワークに必要なスキルや知識を提供するための研修も重要です。
結論として、改正法は育児と仕事の両立を支援する大きな一歩ですが、実際の運用には企業の積極的な取り組みと柔軟な対応が求められます。この法改正をきっかけに、より多くの企業がテレワークを導入し、社員全員が働きやすい環境を整えることを期待したいです。
新たなテレワークトレンド:メタバースとバーチャルオフィスの活用
最近注目されているテレワークの新しい形態として、メタバースやバーチャルオフィスの活用が挙げられます。メタバースは、インターネット上に構築された仮想空間のことで、バーチャルオフィスでは、アバターを使って同僚と仮想のオフィス空間でリアルタイムにコミュニケーションを取ることが可能です。
この技術を活用することで、地理的な制約を超えてチームが一体感を持って業務に取り組むことができ、リモートワークの課題である「孤立感」や「コミュニケーションの不足」を克服できる可能性があります。
例えば、国内外のIT企業やスタートアップでは、既にメタバースを利用したバーチャル会議やバーチャルイベントを導入しており、物理的な会議室と同様の効果を生み出す事例が増えています。
メタバースの導入により、リモートワークでもチームの連携が強化されるだけでなく、従業員のエンゲージメントが向上し、企業文化の醸成にも寄与します。特に、クリエイティブな作業が求められる企業では、メタバースの利用が新しいアイデアの創出に繋がることが期待されています。
地方創生テレワーク推進運動
弊社は、内閣府・内閣官房が推進する「地方創生テレワーク推進運動」の趣旨に賛同しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
その他テレワークに関する制度
政府主導のテレワークにやそれに伴う地方移住に関する制度は以下の通りです。これ以外にも自治体ごとに行っているものもありますので、詳しく知りたい方はこちらからお問合せください。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
厚生労働省が主導の助成金です。良質なテレワークを制度として導入・実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主が助成対象となります。
支給対象となる経費
- 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
- 外部専門家によるコンサルティング
- テレワーク用通信機器等の導入・運用
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修
受給額
機器等導入助成と目標達成助成において、下表のとおり支給されます。
助成 | 支給額 |
機器等導入助成 | 1企業あたり、支給対象となる経費の30% ※ただし以下のいずれか低い方の金額を上限とする。 ・1企業あたり100万円 ・テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円 |
目標達成助成 | 1企業あたり、支給対象となる経費の20% <生産性要件を満たす場合35%> ※ただし以下のいずれか低い方の金額を上限とする。 ・1企業あたり100万円 ・テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円 |
最近の変更点
- テレワーク用端末のレンタル・リース費用が助成対象となり、最大6ヶ月分、合計77万円まで助成されます。
- 生産性要件が廃止され、賃金要件(賃上げ加算)を満たした場合には目標達成助成の助成率が割り増しされます。
最新情報は、厚生労働省のHPにてご確認ください。
参考:厚生労働省
移住支援金/地方移住金
内閣官房・内閣府が主導の支援金です。移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住または通勤していた人が地方に移住し、就業や起業する場合、地方創生「移住支援金」「起業支援金」が支給されます。2021年度からは、テレワークで東京の仕事を続けながらでも支給されることになりました。移住は最大100万円、社会的事業で起業すると最大200万円を合わせて最大300万円が支給されます。
デジタル田園都市国家構想推進交付金
内閣府地方創生推進室が主導の交付金です。デジタルを活用した、意欲ある地域による自主的な取組を応援するため、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けて、国が交付金により支援しています。IT企業、スタートアップ・ベンチャー企業の方々はぜひ地方移住をご検討してみてください。
まとめ
テレワークの導入は、スタートアップやベンチャー企業、小規模事業者にとってもはや避けられない選択肢です。特に、政府や自治体の支援策を活用することで、より柔軟で持続可能な働き方を実現できる可能性があります。今こそテレワークの導入を真剣に検討し、社員が働きやすい環境を整えることが求められています。
今回はテレワークについて、徹底解説させていただきました。ぜひスタートアップ・ベンチャー企業・小規模事業者の方々は検討してください。テレワークに関する補助金・助成金について詳しく知りたい方は気軽にお問い合わせください。
EXPACTでは、特にスタートアップ企業への補助金活用や資金調達を強みとしており、実績・経験も多数ございます。資金調達成功に向けて、パートナーを探している、また詳しく話を聞いてみたいという方はお問い合わせください。