
日本円ステーブルコイン「JPYC」が始動──挑む新しいデジタルマネーの可能性
2025年8月、日本円ステーブルコイン「JPYC」は日本で初めて金融庁の資金移動業者登録(第00099号)を取得し、国内初となる円建てステーブルコインとして、今秋より正式発行されます。これにより、既存電子マネーの枠を超え、クレジットカード返済をJPYC決済で行うサービスなど、新たな金融ユースケースが誕生しています。
JPYCは「1JPYC=1円」の価値維持を裏付けるため、銀行預金・短期国債・現金等の流動性資産のみを保有。ユーザーの預けた円資産を国債などで運用し、金利収益をビジネスモデルとする仕組みにより、価格安定と資金効率の両立を図ります。
ステーブルコインとは?
ステーブルコインは、価格の安定性を目的に設計された暗号資産(仮想通貨)の一種です。米ドルや日本円などの法定通貨、金や原油といったコモディティの価格に連動(ペッグ)する仕組みにより、従来のビットコインのような大きな価格変動を避けられます。
世界的には テザー(USDT) や USDコイン(USDC) が代表格で、暗号資産市場の時価総額ランキングでも上位を占めています。
今こそ広めてほしい!
JPYCは電子決済手段であり、暗号資産ではありません。価値が法定通貨と連動した通貨建資産であり、デジタル現金と預金の良いとこ取りのような性質です。
— 岡部典孝 JPYC代表取締役 (@noritaka_okabe) August 17, 2025
ステーブルコインの種類
ステーブルコインは主に以下の4種類に分類されます
法定通貨担保型(例:USDT、USDC)
銀行口座に米ドルや円を保管し、1:1で交換可能に設計。暗号資産担保型(例:DAI)
イーサリアム等の暗号資産を担保にし、超過担保で安定性を確保。コモディティ担保型(例:PAXG)
金や原油など実物資産の価値に連動。アルゴリズム型(例:FRAX)
発行量やバーン(焼却)を自動制御して価格を維持。
日本国内の動向──資金決済法改正とJPYC
2023年6月の改正資金決済法で、日本でも法定通貨連動型のステーブルコイン発行が可能に。
その中で注目を集めるのが、JPYC株式会社が発行する日本円ペッグ型のステーブルコイン「JPYC」です。
2025年8月、金融庁がJPYCを資金移動業者として認可(金融庁発表)。
Ethereum、Avalanche、Polygonの3チェーンで発行予定。
発行・償還手数料は無料、送金コストはブロックチェーンのガス代のみ(安価なら1円未満)。
JPYC社は、ユーザーから預かった円を短期国債で運用し、その金利収入を収益源とする仕組み。
これは従来のPayPayやSuicaなどの電子マネーとは異なり、ブロックチェーン上で自由に送金・決済が可能で、世界中で利用できる点が最大の特徴です。
技術面では、JPYC EXという公式プラットフォームを通じてJPYCトークンの「発行」「償還」「送金」を仲介機関なしで実現。これにより、24時間365日、世界中で即時決済・即時送金が可能となり、国際送金や給与支払い、貿易決済、NFT購入など広範なユースケースが加速しています。
さらに今後は、JPYCが第1種資金移動業者や電子決済取引業ライセンスも取得することで、発行上限・送金制限の撤廃や金融連携が進み、大規模な電子決済基盤への成長が期待されています。市場規模予測では、円建てステーブルコイン市場が2029年までに最大83兆円規模へ拡大する可能性が指摘されており、日本のWeb3・デジタル経済インフラの中核を担うことになるでしょう。
JPYCと既存電子マネーとの違い
利用範囲
PayPayやSuicaは加盟店内のみ。JPYCはブロックチェーン上で国際的に利用可能。コスト
クレジットカードやPayPayの加盟店手数料は数%。JPYCはガス代のみで数円以下のケースも。金融サービス連携
JPYCはDeFiやスマートコントラクトと組み合わせ、自動送金や資産運用サービスも可能。法的枠組み
JPYCは「電子決済手段」として規制下にあり、暗号資産とは区分される。
社会変化を促すステーブルコインの力
1. 決済インフラの革新
24時間365日、即時かつ低コストでの送金・決済が可能に。個人間送金や法人決済の利便性が飛躍的に高まります。
クレジットカード返済にJPYCを活用(Nudgeカードとの連携)、VISA加盟店での利用を実現予定。
楽天やアマゾンなどのオンラインショッピング、実店舗決済、NFT購入、給与支払い、貿易決済、海外送金など幅広く応用可能。
累計発行額が2024年時点で25億円を突破し、今後さらに拡大の予想。
2. 金融包摂(Financial Inclusion)の加速
世界には銀行口座を持たない人が17億人以上います。スマホとインターネットがあればJPYCを含むステーブルコインで金融サービスを利用可能となり、新興国の経済参加を後押しします。
3. 為替リスク・手数料の削減
国際送金や越境ECにおいて、従来の高額な手数料や為替変動リスクを大幅に軽減。特に中小企業やスタートアップに大きなメリットがあります。
4. Web3・デジタル経済の拡張
NFT、メタバース、分散型金融(DeFi)などWeb3サービスの決済基盤として活用が進み、グローバル規模の新しいエコシステムを形成。
日本円ステーブルコイン市場の99%以上のシェアを占めるなど、国内トップの認知度と普及率。
5年後には円建てステーブルコイン市場が最大83兆円規模に拡大するという試算もあり、大規模な金融インフラ転換が期待されている。
国際送金やPOS連携、Web3事業などで「第1種資金移動業」への移行が進めば、PayPayを超える新たな決済インフラになる可能性も。
USDCとの交換や国外利用も視野に入り、DAOやWeb3企業のグローバル事業での決済基盤として注目。
将来的にはIPO(上場)も観測されており、国内外で大手金融機関や企業の本格導入が進む可能性。
5. 地域経済・行政DXへの応用
円建てステーブルコインを活用すれば、地方自治体の地域通貨や補助金交付の効率化も可能に。行政手続きのDX化が進み、地方創生にも寄与します。
今後の展望
JPYCはまだ第2種資金移動業者としての枠内での発行(1件100万円まで)に制限がありますが、将来的には第1種への移行や規制緩和が見込まれます。
日本円ステーブルコインの普及は、「金融のユニバーサル化」や「社会インクルージョン」を推進し、PayPayなどの電子マネーを超える新たな決済インフラとして成長する可能性を秘めています。
JPYCは国内ステーブルコイン市場の約99%のシェアを持ち、規制整備や事業提携の加速により、グローバルな決済標準となるポテンシャルがあります。PayPayなど現行電子マネーを超える「新世代のデジタル決済インフラ」として、日常生活からWeb3、行政DX、グローバルビジネスまで幅広い変革を牽引する存在です。
まとめ
ステーブルコインは、暗号資産の弱点である価格変動リスクを克服し、信頼できるデジタルマネーとして世界の金融を変えつつあります。
中でも「JPYC」は、日本初の円建てステーブルコインとして、日常決済から国際取引、Web3サービスまで幅広く浸透していくでしょう。
これから数年で「電子マネーの進化形」として、JPYCがPayPayに並ぶ、あるいはそれを超える存在になる未来も現実味を帯びています。
👉 さらに詳しい情報は EXPACT公式サイト「仮想通貨・ブロックチェーン記事一覧」 もご参照ください。