静岡県のスタートアップ支援戦略
スタートアップへの期待
スタートアップは経済成長の重要な原動力と見なされています。成功した企業が革新を遅らせる「イノベーションのジレンマ」に対して、スタートアップは新たなアイデアや技術を用いてイノベーションを生み出し、産業に革新をもたらすことが期待されています。静岡県の経済産業ビジョンでは、人口減少、デジタル化の進展、大廃業時代の到来などの課題に対応するために、新分野への進出、新製品開発、先端技術の活用、人材育成が必要とされています。
スタートアップは、新たな市場を形成し、事業規模を拡大することで雇用を創出し、経済的な波及効果をもたらすことが期待されています。また、デジタル化の進展や脱炭素社会への取り組み、人口減少や地域格差などの社会課題をビジネスチャンスと捉え、解決に貢献するスタートアップも現れています。このようなスタートアップは、静岡県内企業の課題解決にも貢献できるとされています。
スタートアップは新技術の活用や機動的なチャレンジにより、社会課題の解決に貢献できる特長を持っています。これらの価値や技術力を最大限発揮するためには、支援策や協力体制の構築が重要です。
静岡県を取り巻く環境
政府の重点投資
- 2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、スタートアップ担当大臣を設置。
- 「スタートアップ育成5か年計画」の策定。
- スタートアップへの投資を重点投資分野の一つとして選定、約1兆円の予算計上。
- エンジェル税制の拡充や研究開発税制の延長・拡充など税制改正。
スタートアップ5か年計画の3つの柱
スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築。
スタートアップへの資金供給の強化と出口戦略の多様化。
オープンイノベーションの促進。
スタートアップ5か年計画の目標
スタートアップへの投資額を5年後に10倍以上(10兆円規模)に。
ユニコーン企業100社、スタートアップ10万社の創出。
ステージ別取組の例
- プレシード・シードステージ:人材・ネットワークの構築、創業支援の資金供給拡大。
- アーリー・ミドルステージ:資金供給拡大、ディープテック分野の支援、公共調達の活用。
- レイターステージ:大企業との連携拡大、出口戦略の多様化、海外市場への展開支援。
静岡県の対応
静岡県は、地域特有のチャレンジを受け入れ、スタートアップ・エコシステムの構築に向けて積極的な支援策を展開しています。以下は、その主要な取り組みです。
1. スタートアップ立ち上げ時の支援
スタートアップが立ち上げる際には、専門相談会や専門家による相談会を実施し、必要な支援を提供しています。また、スタートアップ支援専門のマネージャーを配置し、専門人材や支援拠点を紹介するなど、多角的なサポートを行っています。
2. 先端産業とのマッチング
静岡県は、県がリードする先端産業とスタートアップとの融合を促進し、本県独自の支援策を立案・推進しています。これにより、革新的な産業の発展を目指しています。
3. 後発地域としての対応
静岡県は、スタートアップ支援が後進的であるという課題に対応するための取り組みを行っています。これにより、他の先進地域に追いつくための施策を推進しています。
4. 重点投資による支援環境の整備
国の政策動向を踏まえ、県ではスタートアップ支援を戦略的に進めるための取り組みを行っています。これにより、国レベルでの支援環境の整備を目指しています。
5. 施策の方針と重点取組
関係者が連携・協調してオール静岡県での施策に取り組み、スタートアップの困り事を支援できる専門人材・機関に結びつける取り組みを行っています。
6. 戦略策定のねらい
スタートアップへの支援強化、環境づくり、関係機関との協働促進、支援策の展開などの目指すべき方向性を示し、関係機関との協働促進を図っています。
これらの取り組みにより、静岡県は地域実態に即した支援策を展開し、スタートアップ・エコシステムの構築を目指しています。
静岡市の取り組み事例
静岡市は、スタートアップの支援と育成に積極的に取り組んでいます。以下に、静岡市のスタートアップ支援策の主な特徴をまとめます。
UNITE2024:スタートアップと地域の力で社会課題を解決する画期的な取り組み
静岡市が新たに立ち上げた「UNITE2024」は、スタートアップの革新的なアイデアと地域の力を結集して、市が抱える社会課題の解決を目指す画期的なプログラムです。このプログラムの詳細と意義について見ていきましょう。
UNITE2024は、正式名称を「静岡市主催 知・地域共創コンテスト」といい、静岡市が抱える20の社会課題に対して、スタートアップ企業からの解決策を募集するコンテストです。
このプログラムの特徴は、単なるアイデアコンテストではなく、採択されたプロジェクトを実際に社会実装まで導くことを目指している点です。
UNITE2024の特徴
- 共創チームの形成: 採択されたスタートアップは、行政職員や地域の関係団体と共創チームを立ち上げます
- 実証フィールドの提供: 静岡市内でのフィールド実証の機会が提供されます
- 充実した支援: 総額5,000万円の実証支援金や、行政・専門家による伴走支援が行われます
- 長期的視点: 単発の解決策ではなく、新しい社会システムの構築を目指しています
募集テーマと応募資格
UNITE2024では、地域自治、子ども・教育、防災、交通、環境、観光、まちづくり、健康・福祉、土木・建築など、幅広い分野の課題が設定されています。
Bridge 2024:静岡市のスタートアップ支援プログラム
一方、静岡市では「スタートアップ提案型 -BRIDGE 2024-」というプログラムが始動します。このプログラムは、革新的なスタートアップと地域社会を結びつけ、静岡市が抱える社会課題の解決を目指すものです。
Bridge 2024の主な特徴
- 地域企業とスタートアップの共創チーム結成
- 市内フィールドを活用した実証機会の提供
- 総額500万円のコンテスト賞金
- 自治体職員による伴走支援
- 専門家によるアドバイス
Bridge 2024は、全国のスタートアップ企業を対象としており、静岡市内の社会課題解決に資するビジネスプランを募集しています。特に注目すべきは、一般部門に加えて海洋産業(BX)部門が設けられていることです。これは、駿河湾の地の利を活かした海洋資源の持続的活用や海洋産業の高度化に関するビジネスアイデアを募るもので
浜松市の先進的な取組
鈴木康友元市長の指導の下、浜松市は「スタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市」として認定され、様々な支援策を通じてスタートアップ企業の成長を促進しています。以下は浜松市の主な支援策です。
起業前後スタートアップ向けプログラム
日本を代表する経験豊富なメンターによるメンタリング。起業を志す人材や創業間もないスタートアップ、企業内起業家に対してビジネスプランのブラッシュアップをサポート。
シード~アーリー期スタートアップ向けプログラム:
ベンチャーキャピタルや専門家によるメンタリング。浜松市を拠点とするスタートアップや企業内起業家に事業のさらなる加速を支援。
実証実験サポート事業:
独自の技術やアイデアを実証実験するプロジェクトを全国から募集。実証フィールドの提供やプロジェクトの経費支援などを通じて、社会的課題の解決と産業振興を促進。
ファンドサポート事業:
市内スタートアップに投資を行うベンチャーキャピタル等と協力。資金交付により、スタートアップの事業化を支援。
静岡県スタートアップ支援戦略策定の趣旨・ねらい
スタートアップの独自性
スタートアップは、未確立のビジネスモデルを探求する途上にあり、試行錯誤が必要な段階です。赤字から始め、新しい市場に参入することで、競争相手の不在を利用して急成長を実現する可能性を持っています。また、事業の将来性や企業価値の上昇により、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの支援を受けやすいという特徴があります。
スタートアップとベンチャーの違い
スタートアップとベンチャーはしばしば混同されますが、重要な違いがあります。一般的にベンチャーは新規事業を開拓する企業全般を指し、スモールビジネスも含まれます。一方で、スタートアップは新たなビジネスモデルを築き、社会にイノベーションをもたらし、急成長を目指す企業と定義されます。
静岡県のスタートアップ戦略
静岡県は「静岡県スタートアップ支援戦略」を策定し、スタートアップ企業の成長を重視しています。この戦略は、将来の雇用、所得、財政を支える新たな担い手としてスタートアップへの支援を強化することを目的としています。
環境整備と協働の促進
県の姿勢と目指すべき方向性を示し、スタートアップに対する県民意識の変革、県内でのスタートアップの創出と育成の環境を整えるために、関係機関との協働を促進します。
1. 県民意識の変革
静岡県は、スタートアップに対する県民の意識を変革するための努力を行っています。県の姿勢と目指すべき方向性を明確に示すことで、スタートアップへの理解と支援意識を高め、地域全体でスタートアップ文化を育成することを目指しています。
2. スタートアップの創出と育成環境の整備
静岡県は、教育機関や産業界と連携し、スタートアップの創出と育成のための環境を整備しています。これには、支援拠点のネットワーク構築、実証実験への支援、資金確保のための取り組みなどが含まれます。
3. 協働の促進
静岡県では、関係機関との協働を促進し、様々な組織や団体が連携して効果的かつ戦略的な支援策を展開しています。これにより、県全体でのスタートアップ支援の一体感を高め、より効果的な取り組みを実現しています。
支援策の具体化
スタートアップへの支援策には、人材育成・交流、支援拠点の連携、実証実験や資金確保などが含まれます。静岡県はこれらの施策を効果的かつ戦略的に展開し、県内のスタートアップエコシステムの構築を目指します。
1. FuJI(高校生向け)
静岡県の高校生を対象としたアントレプレナーシップ育成プログラムを提供しています。
2. MOVE ON(大学生向け)
静岡大学主催の起業家精神と力を磨くためのプログラムを実施しています。
3. TOMOL プロジェクト(高校生〜大学生、社会人向け)
静岡県で新たに始動した「TOMOLプロジェクト」は、若手スーパークリエイターの情熱とアイデアを社会実装へと導く画期的な取り組みです。このプロジェクトは、経済産業省の令和5年度「未踏的な地方の若手人材発掘育成支援事業補助金 AKATSUKIプロジェクト」の採択事業として、EXPACT株式会社が主催しています。
TOMOLプロジェクトの使命は「未来を創る若者よ、情熱に火を灯せ」です。IT分野を中心に優れた才能を持つ若者を発掘し、彼らの情熱とアイデアを社会実装へと導くことを目指しています。
戦略策定に当たっての本県の現状と課題
後発地域としての挑戦
スタートアップ支援の現状
静岡県は、スタートアップ支援において後発地域です。国や他の先進地域に比べ、有望なスタートアップを引き寄せる力が弱い現状があります。特にアクセラレーションプログラムのような先進自治体で一般的な取り組みが十分に実施されていない点が課題です。
強みの活用
しかし、浜松市など基礎自治体の活動や民間の支援拠点の取り組みが、県の強みとして挙げられます。県としては、これらの強みを生かし、より体系化されたスタートアップ支援戦略の策定が求められています。
スタートアップへの支援強化:静岡県はスタートアップ支援戦略を策定し、スタートアップへの支援に取り組む姿勢を明確化しています。これにより、スタートアップに対する県民意識の変革や、スタートアップの創出・育成の環境づくりに向けた関係機関との協働促進を図っていきます。
アントレプレナーシップの推進
教育の重要性
静岡県ではスタートアップの数が少なく、アントレプレナーシップに対する支援や意識が不足しています。これを改善するためには、学生や社会人への起業家教育とアントレプレナーシップ教育の機会提供が重要です。これらの教育を通じて、創造性や革新性を養い、将来のスタートアップ創出に向けた環境整備が必要です。
地域資源の活用
地域特性の最大化
静岡県には豊かな地域資源がありますが、これらをスタートアップ支援に十分活用していません。例えば、駿河湾や伊豆半島の自然環境、首都圏への良好なアクセス、インフラなどを生かし、静岡県独自の支援策を展開することが求められています。
支援体制の連携強化
コミュニティ間の連携
静岡県のスタートアップ支援体制は、地域ごとに分断されており、自治体や民間支援者間の連携が限定的です。各地域の取り組みを横串でつなぎ、地域間、コミュニティを超えた連続した支援体制の構築が必要とされています。
戦略の取組方針と施策
重点取組:オール静岡県の連携強化
静岡県の新しい施策は、スタートアップの推進を目的として、関係者間の連携と協調に重点を置いています。具体的な施策としては、以下のような取り組みが挙げられます。
- スタートアップの困り事解決支援:スタートアップの問題を専門人材や機関に繋げる。
- スタートアップ支援拠点間の連携強化:県内の様々な支援拠点間での横の連携を通じ、支援策を補完。
- マッチングの促進:県内外のスタートアップと地元自治体・企業・投資家とのマッチング。
- ネットワーク形成:スタートアップ関係者のネットワーク構築。
- 伴走支援:有望なスタートアップへの専門家による指導やメンタリング。
戦略の3つの柱
静岡県のスタートアップ推進戦略は、以下の三つの柱に基づいています。
- 起業家教育機会の提供と環境整備(創出):スタートアップ型ビジネス創出を当たり前のものとし、起業家教育と環境整備を行う。
- 実践的ノウハウの提供と伴走支援(育成):スタートアップへの出口を意識した実践的ノウハウ提供と産学官金による一気通貫の支援。
- 参加しやすいコミュニティの提供(連携):エリアを超えた気軽なコミュニティの提供、ロールモデルや支援家との出会いの場を設ける。
具体的な取り組み
- 結びつける施策の推進:スタートアップに必要なリソースや情報へのアクセスを容易にし、成功事例の創出に繋げる。
- 成功事例の横展開:成功したスタートアップをロールモデルとして活用し、その経験を共有。
目指すはスタートアップに選ばれる地域
静岡県では、県内での新たなスタートアップの創出と育成を目指すと同時に、県外からスタートアップを呼び込む環境の整備にも注力しています。これらの施策を通じて、静岡県がスタートアップにとって魅力的な選択肢となることを目標にしています。
県が担うべき6つの機能と取組方針
柱 | 必要な機能 | 取組方針 |
---|---|---|
創出 | ①起業家教育 | ①高校生や大学生に対する実践的アントレプレナーシップ教育の実施 |
②初等中等教育段階におけるアントレプレナーシップ醸成 | ||
③社会人への起業家教育機会の提供 | ||
②新ビジネス創出支援 | ④各支援機関・自治体が個別に実施している支援が一気通貫のプログラムとなるよう連携を促進 | |
⑤スタートアップと県内自治体・企業とのマッチング支援 | ||
⑥スタートアップを支援する専門人材の育成 | ||
育成 | ③ノウハウ提供 | ⑦県内全域でスタートアップの成長に必要なノウハウの提供 |
⑧スタートアップの特性に合わせた支援の実施 | ||
⑨静岡の特徴を活かした支援の実施 | ||
④ファイナンス | ⑩スタートアップの資金確保に向けた支援の実施 | |
⑪起業前における資本政策等の知見の習得機会の提供 | ||
連携 | ⑤ネットワークハブ | ⑫県内外の自治体、スタートアップ支援機関との連携促進 |
⑬県内外の専門家(士業)につながる人的ネットワークの形成 | ||
⑥コミュニティ形成 | ⑭スタートアップが気軽に相談でき、各種支援につながるコミュニティの形成 | |
⑮身近なロールモデルを知る機会の創出 |
実践的な教育プログラム
- ジュニアプログラミングコンテスト:このプログラムでは、学生がアイデアをビジネスに発展させる機会が提供されています。これにより、学生たちが実践的なビジネススキルを身につける機会を得ることができます。
- 広域的な「起業部」の創設:この取り組みでは、学校の枠を超え、地域課題に取り組む生徒のためのクラブ活動が支援されています。これにより、学生たちが地域の課題に対して起業的なアプローチを学び、実践的な経験を積むことができます。
産業界との連携
- SDGsスクールアワード:このプログラムでは、持続可能な地域社会づくりに貢献する学生が表彰されます。これにより、学生たちが地域社会やSDGsに関心を持ち、具体的な取り組みを通じて社会貢献の意識を高める機会が提供されます。
- 先端産業プロジェクトの紹介:この取り組みでは、起業家教育とともに、産業界との連携を深める授業が実施されます。これにより、学生たちが実際の先端産業プロジェクトに触れることで、産業界との関わりを深め、将来のキャリア形成につなげる機会が提供されます。
起業家精神の育成
- プログラミングコンテストとスキルアップキャンプ:このプログラムでは、学生たちが技術力と創造力を養うことができるよう、プログラミングコンテストやスキルアップキャンプが実施されます。これにより、学生たちが起業家精神を育むとともに、実践的なビジネススキルを身につける機会が提供されます。
- 起業家教育講座の開催:この取り組みでは、社会人を対象に、実践的な起業教育が提供されます。これにより、社会人たちが起業家精神を育み、新たなビジネスを創出するためのスキルを身につけることができます。
研究とビジネスの橋渡し
- 大学発ベンチャー支援:この取り組みでは、研究者に対してアントレプレナーシップ教育を実施し、研究成果をビジネスに繋げる支援が行われます。これにより、研究者が自身の研究成果を実用的なビジネスに展開するためのスキルや知識を身につける機会が提供されます。
ネットワークの強化
- 支援機関間の連携:この取り組みでは、スタートアップへの統合的な支援策が提供されるため、県内の支援機関が連携し、相互補完的な支援体制を構築しています。これにより、スタートアップに対して包括的な支援が提供され、地域の起業家精神の育成や新たなビジネスの創出が支援されます。
ピッチイベント
- ピッチイベントの開催:この取り組みでは、スタートアップに対して実証実験の場を広く提供するため、自治体や企業経営者と連携したピッチイベントが定期的に開催されています。これにより、静岡県内の具体的な課題解決に貢献できるアイデアや技術を生み出し、マッチングを通じて実証実験を支援します。
公共調達
- 公共調達の仕組みづくり:この取り組みでは、スタートアップが優先的に調達できるシステムの検討が行われています。これにより、静岡県内のスタートアップが公共調達に参加しやすくなり、新たなビジネスチャンスの創出が促進されます。
支援者とインフラの育成
- スタートアップ支援者の育成:この取り組みでは、県内でスタートアップを支援できる専門人材を育成するため、スタートアップ支援者向けに実践的な支援内容を学ぶ機会が提供されています。これにより、スタートアップに対する専門的な支援が強化され、地域の起業家精神の育成や新たなビジネスの創出が支援されます。
- インキュベートセンターの運営:この取り組みでは、創業者に安価な事業用スペースを提供し、育成を支援しています。これにより、静岡県内の創業者やスタートアップが必要なインフラを利用しながら成長する環境が整備され、新たなビジネスの育成が促進されます。
透明性とアクセスの向上
- 支援の見える化:この取り組みでは、支援内容をマップ化し、情報アクセスを容易にすることで、スタートアップにとって必要な支援がどこで享受できるかを明確に示します。これにより、スタートアップが必要な支援を効果的に受けることができ、地域のイノベーションと成長が促進されます。
- ワンストップ相談窓口:この取り組みでは、イノベーション拠点「SHIP」にスタートアップ支援のワンストップ相談窓口を設け、スタートアップの困り事を支援につなげるマネージャーを配置します。具体的には、相談から支援へのスムーズな連携を目指し、スタートアップ支援専門のマネージャーが相談のあったスタートアップと、支援可能な各種専門人材やスタートアップ支援拠点をつなげます。
成功事例の創出
ビジネスプランコンテストの開催:この取り組みでは、経済的・社会的にインパクトのあるビジネスプランを募集し、大きな成長が見込まれる優秀な取組を表彰します。これにより、スタートアップがビジネスプランの改善や成長に向けた指導を受けることができ、成功事例の創出が促進されます。
伴走支援の実施:この取り組みでは、大きな成長が見込まれる有望なスタートアップに対して、専門家による指導・メンタリングなどの伴走支援を実施します。これにより、スタートアップが必要な支援を受けながら成長することができ、地域のイノベーションと成長が促進されます。
経営人材とのマッチング
大学発ベンチャーの発掘と事業化支援:この取り組みでは、県内大学の強みである工学(ものづくり)、バイオ、医療、食品、光などの分野の研究・技術シーズを新たなビジネスにつなげるため、産学官が連携して、「大学発」ベンチャーを継続的に発掘・育成する仕組みを構築します。これにより、スタートアップが経営に必要な人材とのマッチングを促進し、地域のイノベーションと成長が促進されます。
研究者と経営人材となる起業家候補者との交流会の開催:この取り組みでは、大学発のスタートアップに対し、経営に必要な人材とのマッチングをサポートするため、研究者と経営人材となる起業家候補者との交流会を開催します。これにより、スタートアップが経営に必要な人材との出会いを促進し、地域のイノベーションと成長が促進されます。
スタートアップ立ち上げ時の支援
起業や経営に関する専門相談会の実施:この取り組みでは、スタートアップ立上げ時にニーズに応じた支援を提供するため、起業や経営について、弁護士や税理士等の各種専門家に相談できる「専門相談会」や、より広範な相談に対応する「起業相談会」を実施します。これにより、スタートアップが必要な専門知識やアドバイスを受けることができ、立ち上げ時の支援が強化されます。
スタートアップ支援専門のマネージャーの配置:この取り組みでは、「SHIP」にスタートアップ支援専門のマネージャーを配置し、相談のあったスタートアップに対し、支援可能な各種専門人材や支援拠点を紹介します。これにより、スタートアップが必要な専門人材や支援拠点を見つけることができ、立ち上げ時の支援が強化されます。
先端産業とのマッチング
静岡の先端産業とスタートアップの融合を促進:静岡県は、他県をリードする先端産業(次世代自動車、医療・福祉機器、光関連技術、CNF、フーズ・ヘルスケア、マリンバイオ、先端農業、茶業)や3次元点群データ等の先進的な取組とスタートアップとの融合を促進します。これにより、静岡県の先端産業とスタートアップの連携が強化され、新たなビジネスモデルの構築が目指されます。
地域資源を活かした実証の場の提供
静岡の地域資源を活かした実証の場の提供:静岡県は、富士山をはじめ、駿河湾、伊豆半島、浜名湖など、世界クラスの地域資源を活かした実証実験の場をスタートアップに提供します。
具体的には、首都圏等のスタートアップに対して、本県の魅力や地域課題を伝え、本県でのビジネス展開や事業拡大につながるPRイベントを開催したり、本県が抱える独自の課題をテーマにしたピッチイベントの開催(お茶ピッチ、富士山ピッチ、駿河湾ピッチ 等)を行ったりします。これにより、スタートアップが地域資源を活用した実証実験の場を提供され、新たなビジネスモデルの構築が促進されます。
エンジェル投資家やVCとのマッチング
成長段階に合わせた資金調達をサポートするため、エンジェル投資家やVCとの交流会を開催しています。
資金確保に向けたセミナーの開催
資金調達に関する実践的なセミナーや資本政策講座を開催し、起業前の準備をサポートします。
スタートアップとの顔の見える関係の構築
県内のスタートアップの把握と、関係者間のネットワーク構築を行い、情報交換や連携を促進します。
スタートアップ成功者との交流
成功したスタートアップの経験者との交流や、ロールモデルを知るイベントを開催しています。
コミュニティ形成の支援
地域においてスタートアップと支援者がつながるコミュニティを形成するためのサポート体制を提供しています。
プロジェクトの名称 | 概要 |
---|---|
次世代自動車 | 次世代自動車に搭載される部品を開発するための各種支援を行います。 |
医療・福祉機器 (ファルマバレープロジェクト) | 医療健康産業の振興と集積を図り、特色ある地域の発展を目指します。 |
光関連技術 (フォトンバレープロジェクト) | 光・電子技術を活用した中小企業の課題解決や人材育成を目的としています。 |
CNF (ふじのくにCNFプロジェクト) | カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに資する素材CNF(セルロースナノファイバー)に関する製品開発支援等を行います。 |
フーズ・ヘルスケア (フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクト) | 県内食品・化粧品・化成品・ヘルスケア関連産業の振興と集積を目指します。 |
マリンバイオ (マリンオープンイノベーションプロジェクト) | 海洋産業の振興と海洋環境の保全を両立する「Blue Economy(持続可能な海洋経済)」の世界的な拠点形成を目指します。 |
先端農業 (アグリオープンイノベーションプロジェクト) | 先端的な科学技術の活用による革新的な栽培技術開発を進め、農業の飛躍的な生産性向上等を図ります。 |
茶業 (Cha Open Innovation プロジェクト) | 茶の革新的な商品や新しい利用方法の開発を促進するオープンイノベーションの取組により、茶業生を推進します。 |
令和6年度 静岡県 概算要求について
区分 | 対象・内容 | 金額(千円) |
---|---|---|
当初創出ネクストイノベーター創出プロジェクト(新規) | ・県内高校生(10チーム程度) ・ビジネスアイデアの事業化支援、起業家との交流ほか | 18,000 |
新ビジネスの創出支援 | ・事業機会拡大のためのピッチイベント開催 参加者:スタートアップ、県内企業、金融機関、市町等 内容:県内企業等への事業紹介、市町向け提案ほか | 10,000 |
育成ワンストップ相談窓口の運営 | ・場所:イノベーション拠点「SHIP」(静岡市)、相談員の配置(3人) | 53,780 |
有望なスタートアップへの伴走支援(新規) | ・対象:静岡県主催スタートアップビジネスプランコンテスト「WAVES」入賞者(3者) | 15,320 |
県内実証フィールドを活用した個別支援(新規) | ・対象:静岡県内で実証事業を行うスタートアップ等 ・内容:県内企業等とのマッチングによる事業創出支援 ・件数:30件程度 | 82,000 |
連携スタートアップ支援関係者によるネットワーク構築 | ・ネットワーク「ふじのくに“SEAs”」 の運営ほか | 1,500 |
首都圏スタートアップとの共創拠点設置(新規) | ・設置先:CIC Tokyo(予定) ・スタートアップ誘致、県内企業との マッチングほか ・県職員を2名配置予定 | 10,000 |
その他 | ・TECH BEAT Shizuoka 開催 ・インキュベートセンター運営 (沼津、富士、浜松)ほか | 56,400 |
計 | 247,000 |
まとめ
これらの方針に基づいて、静岡県はスタートアップ支援の基盤を強化し、地域経済の発展と持続可能な成長を実現される予定です。これらの方針に則り、民間支援機関としてサポートできればと考えます。
静岡県の川勝平太知事は、2024年4月2日の緊急記者会見で、6月の県議会をもって知事職を辞すると突然表明しました。今後新たな県知事の元でどのようなスタートアップ施策が実施されるのか注目です。
EXPACTは、静岡県の熱意あふれる起業家たちの夢を叶えるために、積極的なスタートアップ支援を行っています。この地域には、多くの革新的なビジョンを持つ起業家が存在し、私たちの使命は彼らの夢を実現するための強力なパートナーとなることです。静岡県の豊かな自然と文化を背景に、私たちは地域特性を活かした施策で起業と創業を促進し、雇用機会の創出をサポートしています。これにより、スタートアップたちは新たなビジネスチャンスを見つけるための環境を手に入れています。私たちはインパクト評価とインパクト投資を通じて、スタートアップが社会に与えるポジティブなインパクトを最大化しようとしています。事業の社会的価値を測定し、持続可能な成長を支援することで、財務的リターンと社会的インパクトの両立を追求しています。さらに、静岡県では地域の持続可能な発展を目指し、インパクト評価を政策に反映する取り組みが進められています。これにより、地域の社会的・環境的課題に対する効果的なアプローチが可能となり、政策の透明性と信頼性が向上しています。EXPACTの支援を受けたスタートアップが地域を超えて成長する姿を見ることは、私たちにとって大きな喜びです。その成功は地域経済の活性化につながり、静岡県がスタートアップのための優れた場所であることを証明しています。私たちEXPACTは、静岡県の未来を形作る重要な役割を果たしたいと心から願っています。これからも情熱を持ってスタートアップの成長を支援し、彼らの夢が実現する瞬間に立ち会えることが私たちの最大の誇りです。
EXPACTは、静岡県のスタートアップを支援するために多岐にわたる取り組みを行っています。まず、資金調達支援を通じて、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家との連携を図り、スタートアップが必要な資金を確保できるようサポートしています。また、採用支援や広報活動、EXIT戦略(M&AやIPO)の支援も行い、スタートアップの成長を総合的に支援しています。
さらに、EXPACTは「静岡版起業家発掘 TOMOLプロジェクト」を通じて、若手クリエーターの発掘と育成を行っています。このプロジェクトでは、IT分野を中心に優れた才能を持つ若者を対象に、起業体験合宿やメンターによる個別支援を提供し、彼らの情熱とアイデアを社会実装する方法を学ぶ機会を提供しています。
EXPACTの支援は、静岡県のスタートアップが地域を超えて成長することを目指しており、その成功は地域経済の活性化に寄与しています。また、インパクト評価とインパクト投資を通じて、スタートアップが社会に与えるポジティブな影響を最大化し、持続可能な成長を支援しています。これにより、静岡県がスタートアップにとって魅力的な場所であることを証明し、地域の未来を形作る重要な役割を果たしています。
EXPACTは、静岡県においてスタートアップ支援を多角的に展開し、地域の起業家たちの夢を実現するための強力なパートナーとして活動しています。以下にその具体的な取り組みとインパクトを示します。
支援内容
資金調達支援
EXPACTは、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家と連携し、スタートアップに適した資金調達をサポートしています。これにはエクイティ、融資、補助金の申請などが含まれます。
新規事業支援
スタートアップの創造性を活かし、事業計画の設計段階からスケールまでの事業化を支援しています。また、オープンイノベーションを通じて新たな価値創造を促進しています。
採用・PR支援
スタートアップの成長に欠かせない人材採用から広報活動までを支援し、メディアリレーションやコミュニティの構築を行っています。
DX推進
最先端技術の導入を通じて業務プロセスの最適化を支援し、スタートアップの競争力を高めています。
教育・育成プロジェクト
静岡県内の中高生を対象にしたアントレプレナーシップ教育講座を実施し、若者の起業意識を高める取り組みを行っています。
インパクト
地域経済の活性化
EXPACTの支援を受けたスタートアップは、地域を超えて成長し、静岡県の経済活性化に寄与しています。これにより、静岡県がスタートアップにとって優れた拠点であることを証明しています。
社会的価値の創出
インパクト評価とインパクト投資を通じて、スタートアップが社会に与えるポジティブな影響を最大化し、持続可能な成長を支援しています。これにより、地域の社会的・環境的課題に対する効果的なアプローチが可能となっています。
EXPACTは、これらの取り組みを通じて、静岡県の未来を形作る重要な役割を果たし続けています。彼らの支援は、スタートアップの成功確率を高め、地域全体に新たな価値をもたらすことを目指しています。
Silent hill 2 静岡