
静岡参院選2025 完全解剖|2強牙城は崩れるのか?野党一本化とサプライズ候補の行方
2025年7月20日投開票の静岡県選挙区(改選数2)は、現職 2 強――自民党・牧野京夫氏と国民民主党・榛葉賀津也氏――が序盤から他候補を大きくリードしています。
立憲民主党が独自候補を見送り、連合静岡などとともに榛葉氏を支援したことで「野党票の一本化」が進行。対する牧野氏は自民・公明の組織力で巻き返しを狙います。
共産・鈴木千佳氏、参政・松下友樹氏、NHK党・福原志瑠美氏、無所属の村上猛氏、無所属連合の山口香苗氏という新人・無所属5 人がどこまで食い込めるかが焦点で、与野党1議席ずつという従来の構図が崩れる可能性も指摘されています。
静岡県選挙区の基本構図
改選数は2議席。立候補したのは現職2人と新人・無所属5人の計7人です。
現職
牧野京夫氏(自民、公明推薦)
榛葉賀津也氏(国民民主、党幹事長)
新人・無所属
鈴木千佳氏(共産)
松下友樹氏(参政)
福原志瑠美氏(NHK党)
村上猛氏(無所属)
山口香苗氏(無所属連合)
選挙ウォッチや主要紙の序盤情勢では、牧野・榛葉両氏が「頭ひとつ抜け出した2強」という見方が大勢です。
最新情勢と注目ポイント
最新情勢 ― 牧野 VS 榛葉の“2強”が先行
朝日新聞の序盤情勢調査(7 月 3–4 日実施)によると、自民党現職 牧野京夫 氏(公明推薦)と国民民主党現職 榛葉賀津也 氏(党幹事長)が他候補を大きく引き離して「ほぼ当確圏」に入りつつあると報じられました。
立憲民主党が今選挙区で候補を立てず、連合静岡と共に榛葉氏を支援したことで野党票の一本化が進み、榛葉氏に強い追い風となっています。立憲民主党不在=野党票一本化
立憲民主党静岡県連は3月に「独自候補を擁立しない」と決定し、連合静岡・国民民主と三者協議で榛葉氏支援を確認しました。立憲民主党不在と野党票の行方
2019年は立憲と国民(当時)が競合して旧民主系票が分散しましたが、今回は立憲が独自候補を擁立せず、榛葉氏が“非自民”票を広く取り込む構図です。新人・無所属5人の台頭
届出は計7人。現職2人に新人・無所属5人が挑む多角的構図です。共産党・鈴木氏や参政党・松下氏が「第2の受け皿」となれるかが注目点で、その伸び次第では2議席目の行方に影響が出る可能性があります。与野党勢力バランスと国政への波及
2024年衆院選で少数与党に転落した自民・公明は、参院選での「過半数死守」が至上命題。地方区での取りこぼしは政権運営に直結します。静岡は従来「与党系1・野党系1」で落ち着く傾向が強く、今回もそのパターンが維持されるのか、あるいは与党が1議席も失うのかが全国の注目を集めています。
候補者一覧(届出順)
氏名 | 所属・推薦 | 年齢 | 主な政策・特徴 |
---|---|---|---|
榛葉賀津也 | 国民民主党 | 58 | 党幹事長。連合静岡・教職員組合などが全面支援し立憲支持層にも浸透。 |
村上猛 | 無所属 | 74 | リニア静岡工区の「トンネル工事停止なら事業中止」を訴えるシングルイシュー型。 |
福原志瑠美 | NHK党 | 42 | 教育費無償化・少子化対策を前面に、SNSで訴求。 |
松下友樹 | 参政党 | 41 | 医師出身。「医療崩壊への危機感」と〈教育・食と健康・国守り〉を掲げ保守系無党派層に照準。 |
鈴木千佳 | 共産党 | 54 | ジェンダー平等と消費税5%減税を掲げ“暮らし第一”を訴え。 |
牧野京夫 | 自民党 〈公明推薦〉 | 66 | 物価高対策・税制・リニア等で実績を強調。自民県連・公明の組織票固めに注力。 |
山口香苗 | 無所属連合 | 46 | 看護師・子育て支援NPO出身。福祉・医療現場の待遇改善を掲げる。 |
各候補の選挙戦略・支持基盤
榛葉賀津也(国民民主・現職)
党幹事長として全国遊説を指揮しつつ地元にも張り付く“二刀流”選挙。
菊川市など地盤で圧倒的得票を誇り、連合静岡や教職員組合などが全面支援。立憲支持層にも浸透し、支持率の約9割を固めています。
牧野京夫(自民・現職)
自民県連+公明推薦で組織戦を展開。
物価高・税制・リニア水問題など県民生活直結の課題で実績を強調し、逆風下の引き締めを図る。
新人・無所属5人
鈴木千佳(共産):5度目の挑戦。ジェンダー平等や消費税5%への減税で「暮らし第一」を掲げ、固定票の上積みを狙います。固定票に加え無党派層へ「暮らし第一」の減税策を訴求。
松下友樹(参政):医療・教育改革を前面に保守系無党派層へ浸透狙い。形成外科医出身で医療崩壊への危機感を訴え、「教育・食と健康・国守り」を重点政策に掲げる新人。保守系無党派層の取り込みを狙います。
福原志瑠美(NHK党):子育て世代へのSNS訴求と教育費無償化を掲げる。子育て世代の声を代弁し、教育費無償化や少子化対策を前面に。新興勢力ながらSNSでの訴えに注力。
村上猛(無所属):リニア水資源問題一本で知名度アップを図る。リニア中央新幹線の静岡工区問題で「トンネル工事停止なら事業中止も」を唱え、地域課題一本で勝負するシングルイシュー型。
山口香苗(無所属連合):助産師経験を生かし福祉・医療の待遇改善を訴える。看護師・子育て支援NPOの経験を生かし、福祉・医療現場の待遇改善を訴えます。
支持団体・地域票の動向
榛葉陣営は連合静岡、教職員組合、地元企業労組などが固く、特に菊川市を中心に強力な地盤を形成。
牧野陣営は自民党県連、公明党支持母体、業界団体の組織票をどこまで引き締められるかがカギ。
主要争点
物価高・税制 ― 消費税減税や所得税減税の是非を巡り、共産・参政・NHK党などが減税を主張。
地域インフラ(リニア中央新幹線) ― 村上氏は工事停止を訴え、牧野・榛葉両氏は「環境と経済の両立」を模索。
子育て・少子化対策 ― 福原・山口両氏が教育費無償化や子育て支援を強調。
エネルギー・環境 ― 浜岡原発再稼働の賛否が割れ、候補者間でスタンスに違い。
テーマ | 概要 | 主なスタンス |
---|---|---|
物価高・税制 | 減税か給付か | 榛葉・鈴木・松下・福原が減税を鮮明、牧野は「賃上げ×成長投資」で対抗 |
リニア中央新幹線 | 水資源への影響と着工是非 | 村上は「工事停止で中止も」、牧野・榛葉は環境と経済の両立を模索 |
子育て・少子化 | 教育費負担軽減と定住策 | 福原・山口が無償化や母子支援を強調、他候補も手当拡充で競う |
エネルギー・環境 | 浜岡原発再稼働 | 牧野は「安全確保で再稼働含み」、鈴木は反対。榛葉・他候補は慎重姿勢が目立つ |
勢力バランスと政局へのインパクト
自民・公明は2024 衆院選敗北で「少数与党」。地方区での取りこぼしは与党過半数割れに直結するため、牧野氏は危機感を隠しません。
野党側は立憲不在で一本化が進み、榛葉氏が「非自民票」を吸収。与党が2議席目を失う可能性が現実味を帯びています。
投票先未定層は約2割。無党派層や若年層の動き次第で終盤の情勢が変わる余地があると専門家は指摘しています。
スタートアップ当事者が見る「7 人の候補」早わかり表
観点 → 候補 ↓ | 資金調達・税制 | 規制・DX/イノベ | 中央政府とのパイプ | ローカル・エコシステム | 一言まとめ |
---|---|---|---|---|---|
牧野 京夫 (自民) | ◯ 公庫・VC税優遇を含む政府与党の「スタートアップ育成5か年計画」を継続推進 | ◯ 規制サンドボックス拡大・Web3育成など党公約に明記 | ◎ 与党4期目、経産・財務委員会の実績 | △ 組織票中心。スタートアップ個別の県内連携は少なめ | 国家施策をフル活用したいハイグロース型向け |
榛葉 賀津也 (国民民) | ◎ 消費税5%・所得税減税/ストックオプション課税見直しを党が提起 | ◯ 「産業成長に資する規制改革」を政策に明記 | ◯ 党幹事長として政策交渉力あり | ◎ 菊川・浜松 IT 企業を束ねる連合静岡が全面支援 | 減税+労組ネットワーク重視のシード〜シリーズA |
鈴木 千佳 (共産) | ▲ 消費税5%一律減税でB2C型スタートアップの負担減 | △ 大企業規制強化が中心、ベンチャー向けの明確策は少ない | ▲ 野党単独では法案成立のハードル高 | △ 労組・市民団体との草の根支援 | 社会課題系・NPO型にはメリット |
松下 友樹 (参政) | △ 「教育国債」など財政拡大策だが詳細未定 | △ マイナンバー抜本見直し等 “行政DX慎重派” | ▲ 少数会派 | ◯ 医師ネットワークでヘルスケア系に強み | 医療・ヘルスケア系起業家向け選択肢 |
福原 志瑠美 (NHK党) | △ 子育て減税・SNS集客ノウハウを掲げる | △ 放送・通信の規制緩和に言及 | ▲ | ◯ 自ら御殿場で起業コンサル会社を創業しリアルな当事者 | ママ起業・コンサル型SOHOが共感しやすい |
村上 猛 (無) | ▲ リニア工区中止以外の経済政策は限定 | ▲ | ▲ | △ 一部中山間地の環境系コミュニティ | 環境一択のインパクト投資家向け |
山口 香苗 (無連) | ▲ 福祉財源重視、増税に慎重 | △ 医療DX・介護テックの現場課題を訴え | ▲ | ◯ 看護師NPOネットワーク | ケアテック/介護SaaS領域に親和性 |
*◎=強い/◯=プラス要素あり/△=中立〜弱め/▲=課題多し(スタートアップ観点で)
スタートアップ目線で押さえたい4つの評価軸
資金調達 & 税制
投資額10倍を掲げた政府与党の「スタートアップ育成5か年計画」継続を重視するなら牧野氏(自民)へ。個人・法人とも減税でフリーキャッシュを増やしたいなら榛葉氏(国民)や鈴木氏(共産)の5%消費税案が魅力。
規制改革 & デジタル化
LDP公約はストックオプション税制、Web3・AI 規制緩和を並列推進。国民民主は「産業成長につながる規制改革」を各論で明記し、印紙税廃止などスタートアップの小さなコストにも切り込む。
中央とのパイプ/影響力
シード期でも省庁補助金やJETROプログラムを使いたい企業は与党議員のネットワークが速い。一方、榛葉氏は幹事長として予算委・党首討論の交渉窓口に立つ “野党の実務派”。ローカル・エコシステムとの接続
静岡県は鈴木康友知事が「スタートアップ先進県」を掲げ、県庁主導のアクセラを準備中。県庁‐国会ルートを太くしたいなら与党系か榛葉氏(知事と同じ中西部ライン)の相性が良い。福原氏は自身の会社を御殿場で創業し、子育てと創業支援のハイブリッド視点を持つ実務型。
こんなスタートアップなら「この人」
スタートアップのフェーズ/志向 | 票先のヒント |
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ハイグロース/グローバル展開 (大型VC・ストックオプション活用) | 牧野京夫(自民) 政府の5か年計画・海外 VC 連携策に直結。 |
税コスト圧縮+労働規制緩和でまず黒字化 | 榛葉賀津也(国民) 減税と規制改革パッケージでキャッシュ創出に寄与。 |
ヘルスケア×規制産業の医師創業 | 松下友樹(参政) 医療従事者ネットワークと医療改革がフィット。 |
ママ起業・ローカルD2C/小規模ソーシャルビジネス | 福原志瑠美(NHK党) 育児と起業支援のリアルな声を国会へ。 |
インパクト投資 (環境・リニア水問題寄り) | 村上猛(無所属) 環境特化の声を一点突破。 |
まとめ
静岡県選挙区は 「現職2強 vs 新人・無所属5」 の多角的構図。
立憲不在による野党票一本化
与党の組織票引き締め
新人・無所属候補の伸長
これら三つの力学が結果を左右し、参議院のみならず国政全体の勢力図にも波及する可能性があります。選挙戦最終盤まで各候補の動きと無党派層の行方から目が離せません。
結果次第では参議院の勢力図のみならず、衆院解散や政界再編のシナリオにも影響を与え得るため、全国の注目が集まっています。
投票前チェックリスト
自社フェーズと課題 —— 補助金?規制?採用?税負担?
県と国、どちらでロビーしたいか —— 与党の即効力か野党の交渉力か。
中長期で県エコシステムを伸ばす視点 —— 知事の「スタートアップ先進県」と噛み合う人材は?
候補者の連絡先と実績 —— イベント登壇歴・起業家懇談会の有無も要確認。
結論:「スタートアップ関係者だから投票先が1択」という時代ではありません。
減税で資金を厚くするのか、与党パワーで規制を緩めるのか――自社の3年後・5年後から逆算し、最もレバレッジの効く候補を選びましょう。
あなたの一票が、静岡を“Startup Friendly”な土地へアップグレードする鍵です。ぜひコメント欄で、あなたの視点もシェアしてください!
EXPACTの参議院選挙に対する考え方
スタートアップ視点での選挙の重要性
EXPACTは、静岡や日本全体の未来を左右する選挙として、特に若い世代やスタートアップ関係者にとって参議院選挙が極めて重要だと位置付けています。
「スタートアップ先進県」への転換や、地域経済の活性化には、政治の意思決定が大きく影響するという立場です。
投票行動が、今後8~12年の静岡の方向性(先進県か後進県か)を決めると強調しています。
若者・起業家へのメッセージ
地元に魅力的な会社やベンチャーが増えることで、若者が「地元に帰りたい」と思える環境づくりが可能になるとしています。
スタートアップやイノベーションに寛容な企業・社会の実現には、政治参加(投票)が不可欠だと呼びかけています。
投票の呼びかけ
普段は政治や選挙に関心がない人、投票のために地元に帰るのが面倒な学生にも「一票の重み」を訴えています。
「自分の一票が静岡を変える」という意識を持ち、積極的な投票行動を推奨しています。
まとめ
EXPACTは、参議院選挙を「静岡や日本のスタートアップ・イノベーションの未来を左右する重要な機会」と捉え、特に若い世代や起業家に対して「自分たちの未来を自分たちで選ぶ」ための投票参加を強く呼びかけています。