安倍晋三元首相のスタートアップ企業への貢献とは?築いた実績とこれからへの期待
2022年7月8日、安倍晋三元首相が銃撃を受けて死去する事件が起きました。戦後、最も長く首相を務め、経済政策においてはアベノミクスを推進し、三本の矢で「日本の産業再興にスタートアップ企業の育成は欠かせない」との考えに基づき、様々なスタートアップ支援が行われてきました。現在の岸田文雄政権にも反映されている安倍元首相のスタートアップ育成の取り組みを紹介します。
安倍元首相のスタートアップの実績①J-Startup
J-Startup(ジェイスタートアップ)とは、2018年6月に経済産業省が立ち上げたスタートアップ・ベンチャー企業支援プロジェクトです。世界と戦えるスタートアップ企業創出を掲げ、海外の展示会への出展サポートを受けられたり、企業経営者が経団連のような経済界の要人と交流したりできます。J-Startupのコミュニティは民間支援機関、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)などの団体が関わっており、充実した支援体制が魅力の一つです。
J-Startup企業に選ばれることで、政府やサポーター支援機関とのつながりを生みだしてもらうことができますが、J-Startup企業の候補はトップベンチャーキャピタリスト、大企業のイノベーション担当、アクセラレーターなど企業成長のプロから推薦を受けなければなりません。その後、外部審査委員会から厳正なチェックを受け、審査に合格すればJ-Startup企業として認められるものになるので、スタートアップであればどの企業でもなれるものではありません。ただし、コンセプトやビジネスモデルなど、秀でるポイントがあれば、十分にサポートを受けられる可能性があります。
安倍元首相は「地球儀外交」と称して積極的な外交を展開する中で各国の首相や要人と面談を重ねましたが、その中にはテスラのイーロンマスクやFacebook(現:META)のマーク・ザッカーバーグなどスタートアップとも接触を重ねています。また、国家の電子化が進んでいるエストニアにも出向くなど、IT政策やIT産業育成にも関心を寄せていました。
安倍元首相は経済政策を重視した政策が多かったため、日本の経済成長はGAFAMに代表されるような新興企業のチカラが必要と考えられた可能性が高いと感じられる動きで、新興企業=スタートアップ企業が世界に通じるように国全体でサポートをしようというのがJ-Startupというプロジェクトです。
なお、当社EXPACTはJ-Startupの公式サポーターを務めています。
安倍元首相のスタートアップの実績②ハンズオン型VCの台頭
VCとはベンチャーキャピタルの略で、未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開(上場)した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社や投資ファンドです。VCの役割は投資益の獲得がメインとなりますが、ハンズオン型VCは、ベンチャーキャピタルからの出資を受けることが決定した後、『経営に介入して支援を行うベンチャーキャピタル』を指します。出資される企業からすると、厳しい資金繰りを支えてもらうことに加えて、経営支援を受けることができ、VC側からすると成長が見込まれる企業に介入してこれまでの経営ノウハウや経験値を還元することができます。
2018年に上場したメルカリなども創業からベンチャーキャピタリストが起業家を支えており、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として大手企業の社内にVCを立ち上げ、スタートアップに投資する動きも活発になりました。
安倍元首相のスタートアップの実績③コーポレートガバナンスコード
コーポレートガバナンス・コード(Corporate Governance Code、通称CGコード)は、「企業株主をはじめ 顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と定義されています。会社は「経営者のものではなく、資本を投下している株主のもの」という考え方のもと、企業経営を監視する仕組みでもあり、「アベノミクス」の三本の矢の中でも効果的に作用した施策の一つではないでしょうか。「民間投資を喚起する成長戦略」で、民間企業の力を最大限引き出す方策として、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を進める事となり、2015年6月1日にCGコードが策定されました。上場企業では、社外取締役や監査役、株主や社外の第三者の管理者から監視されることになり、不祥事防止を防ぐことに貢献しています。もう一つ、CGコード策定は、「民間投資を喚起する成長戦略」でもありました。企業が公正な仕組みの中で、設備投資やM&Aを進め、事業拡大・成長への投資、従業員の賃金アップ、株主配当等で還元を高めることで、経済回復を図り、日本の稼ぐ力を回復すること。また海外投資家からの投資関心を集める意味も含まれます。
スタートアップをはじめ、企業が成長するために「コーポレート・ガバナンス」の強化を推進することで魅力的で稼ぐ力のある企業を生み出す土壌を整えたと言えるのではないでしょうか。
まとめ
日本におけるユニコーン企業は2022年7月時点で6社となっています。アメリカは600社、中国でも150社以上と世界との格差は大きく、岸田政権でのスタートアップ強化施策はより、成果に繋がる動き、施策が求められるように感じます。岸田政権は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけ、今後5年間でスタートアップの数を10倍に増やす「スタートアップ5ヵ年計画」の発表も控えます。国も民間も結束して、スタートアップを支援する仕組みや取り組みが今後増えていくことを期待します。
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