【人事制度について解説】等級制度とは?役職との違いについて解説!!
以前、別の記事「人事制度を成長ドライバーに」で、「人事制度は大きく4つの制度から構成されている」とお伝えしました。
今回はその構成要素の1つである等級制度について、お話をしていきます。
人事制度を構築する上での根幹になる考え方ですので、ぜひ参考にしてください。
「役職」と「等級」は何が違うのか?
役職とは?
「役職」とは、主任・係長・課長・料理長・チームリーダーなどの「呼び名」指します。
これらは社外に向けた(対外的な)呼称であるため、必ずしも従業員の能力を表しているわけではありません。
(もちろん、能力のある人に役職が付与される傾向はあります。)
等級とは?
社内において、従業員を格付けするために付与されるものです。
「役職」とは異なり、対外的に使用されることはありません。
あくまでも人事制度を運用するために、社内でのみ適用される概念です。
<イメージ図>
等級制度を導入するメリット
求められる役割が明確になる
等級別定義を明文化することによって、どの範囲の業務をどのレベルまで要求されているのかが明確になります。
以下に簡単な例を示します。
- 「主たる役割」という視点
3等級の役割定義:定型業務はもちろんのこと、非定型業務も1人でこなせる
6等級の役割定義:部下を統率し、部門の予算を達成する
- 「従業員教育」という視点
2等級の役割定義:日常の業務の中で後輩を育成指導する
8等級の役割定義:長期的目線を持ち、自らの後継者をしっかりと育成する
まずは全社共通の定義を作ることをオススメしますが、必要に応じて部門別定義まで細分化することも効果的です。
従業員の序列や能力が「見える化」される
上記のように等級別定義を定めたら、次のステップとして従業員に等級を付与します。
等級というモノサシがあることによって、従業員ひとりひとりの成熟度が「見える化」されるという効果が期待できます。
賃金を検討する際のベースになる
ここまで進めたら、最後に「等級別賃金テーブル」を作ります。
1等級は○~○円
2等級は○~〇円
3等級は・・・
といったテーブル(賃金の上限・下限)を作ることによって、公平性・透明性の高い報酬制度が構築されることになります。
中小企業で、賃金が「社長の一声で決まる」ような会社では、人事制度に関する従業員満足度が低い傾向があります。
こうした会社が等級制度を導入して賃金テーブルを作れば、まちがいなく従業員満足度の向上につながるでしょう。
等級数はいくつが適正なのか?
この問いに正解は無いのですが、私としては「7~10等級程度」をオススメします。
理由を簡単に説明していきます。
少ない場合(1~5個)のメリット・デメリット
<メリット>
・等級ごとに明確な定義を設定することができる。
・賃金テーブルを設定しやすい。
・わかりやすくシンプルな組織を構築できる。
<デメリット>
・昇格する機会が少ないため、従業員が「自分の成長」を感じにくい。
多い場合(15~20個)のメリット・デメリット
<メリット>
・昇格する機会が多いため、従業員が「自分の成長」を感じやすい。
<デメリット>
・等級間の差を明確にできず、あいまいな運用になる。
・賃金テーブルを設定しにくい。また、人件費高騰の原因になりかねない。
以上を踏まえて、私は「7~10等級前後」を推奨します。
実際、私がこれまでにコンサルティングしてきた先でも、このあたりの等級数の企業が多かったです。
読者の皆さんが等級制度を設計する際には、会社の実態や従業員数を踏まえながら、最適な等級数を見つけてください。
まとめ
等級制度は人事制度の根幹を担う大切な考え方です。
また、人事制度の公平性・透明性を高めるための第一歩にもつながります。
とはいえ、安易に導入することはオススメできません。
社内の現状を正しく理解し、適切な導入~運用をしなければ、従業員の満足度を高めるどころか、逆効果を招くことにもつながります。
当社では等級制度の導入・見直しに関するコンサルティングを行っています。
人事制度構築についてもっと詳しい話を聞きたい方は、下記までお気軽にお問合せください。
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