業務改善助成金とは
令和7年度(2025年)の「業務改善助成金」は、中小企業や小規模事業者を対象に、事業場内最低賃金の引き上げと、それに伴う生産性向上のための設備投資を支援する制度です。以下に、最新の情報をまとめます。
業務改善助成金は、その名前の通りで「業務」を「改善」するともらえる厚生労働省の助成金です。では何をもって改善なのかと言うと、国が推進している「賃上げ」の実行です。生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。
賃上げの計画と設備投資等の計画を立案・申請し、計画通り遂行した事業の結果を報告することで、最大600万円が支給されます。助成される金額は、生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額とを比較し、いずれか安い方の金額となりますのでご注意ください。
業務改善助成金の対象事業者
対象事業者は以下になります。
・中小企業・小規模事業者であること
・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
・解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
対象となる設備投資とは
生産性向上に資する設備投資等が助成の対象となります。
また、一部の事業者については、助成対象となる経費が拡充され、スマホやPCなども助成対象になります。
生産性を高めるためのPOSレジシステムの導入や、コンサルティングなどへの依頼も対象です。依頼は国家資格者になりますので税理士や弁護士、中小企業診断士などへの相談なども対象になります。
特例事業者に該当する場合、以下のような設備投資が助成対象となります。
- パソコン、スマートフォン、タブレット: 業務用端末および周辺機器の新規導入。
- 車両: 定員7人以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車や貨物自動車。
- その他の設備: 生産性向上や業務効率化に資する機器やシステム。
これらの設備は、業務改善計画に基づき、生産性向上や業務効率化に寄与するものである必要があります。
PCやスマホも助成対象になる、特例的な拡充とは
上記の要件を満たしたうえで、以下に当てはまる場合は、助成上限額・助成率・助成対象経費の特例的な拡充が受けられます。
①賃金要件 | 申請事業場の事業場内最低賃金が950円未満である事業者 |
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②物価高騰等要件 | 原材料費の高騰などの外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同月比で3%ポイント以上低下していること。 |
上記②~③にうちいずれかを満たす特例事業者については、PCやスマホ、タブレットや200万円以下の車なども助成対象になりますので、自社が特例事業者となっていないかよく確認してください。
なお、 助成上限額の拡充は特例事業者に該当し、引き上げる労働者が10人以上の場合に対象となります。また、助成対象経費の拡充については、生産量要件又は物価高騰等要件に当てはまる特例事業者のみが対象となります。
助成上限額について
助成率
- 通常: 最大3/4。
- 特例事業者(物価高騰等の影響を受けた事業者など): 助成率がさらに拡大。
助成上限額
- 引き上げる最低賃金額や対象労働者数に応じて変動。
- 特例事業者の場合、10人以上の労働者を対象にした場合に上限額が拡大されます。
特例事業者の要件
- 賃金要件: 事業場内最低賃金が950円未満。
- 物価高騰等要件: 原材料費の高騰などにより、直近3か月間の利益率が前年同期比で3%ポイント以上低下している場合。
引き上げる最低賃金額及び引き上げる労働者の人数によって助成上限額が変わります。
助成上限額の拡大については、申請事業場の規模が30人未満であれば、上記一番右の欄の助成上限額が受けられます。特例事業者に該当する場合は、労働者数の「10人以上」の区分を選択できます。(10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合。)
<助成上限額>※ 10人以上の上限額区分は、<特例事業者>が対象です。
<引上げのルール>
ア.全ての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。
イ.賃金を引き上げる労働者数に応じて助成上限額が変動します。(上表参照)
ウ.事業場内最低賃金の者以外でも、申請コースの額以上賃金を引き上げた場合は引上げ人数にカウントされる場合があります。
助成率
助成率は以下のとおりです。
申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって、助成率が変わります。
業務改善助成金における助成率の拡大について
令和7年度の業務改善助成金では、事業場内最低賃金額に応じて助成率が異なり、特定の条件を満たす場合には通常よりも高い助成率が適用されます。以下に詳細をまとめます。
1. 助成率の基本ルール
- 通常の助成率: 事業場内最低賃金額に応じて、最大で3/4の助成率が適用されます。
- 助成率の拡大条件:
- 事業場内最低賃金額が900円未満の場合、助成率が9/10に拡大。
- 事業場内最低賃金額が900円以上950円未満の場合、助成率が4/5(生産性要件を満たす場合は9/10)に拡大。
2. 生産性要件とは
生産性要件を満たす場合、さらに高い助成率が適用されます。生産性要件とは、以下の条件を満たすことを指します。
- 直近の会計年度における生産性が、3年前の会計年度と比較して一定以上向上していること。
- 生産性の計算方法は、厚生労働省が定める基準に基づきます。
3. 助成率の適用例
以下は、助成率の適用例です。
事業場内最低賃金が850円の場合:
- 通常助成率: 9/10。
- 生産性要件を満たす場合: 9/10(変更なし)。
事業場内最低賃金が920円の場合:
- 通常助成率: 4/5。
- 生産性要件を満たす場合: 9/10。
事業場内最低賃金が960円の場合:
- 通常助成率: 3/4。
- 生産性要件を満たす場合: 4/5。
4. 注意点
- 助成率の拡大は、事業場内最低賃金額が950円未満の場合に限られます。
- 助成金の交付決定前に行った設備投資や賃金引上げは助成対象外となるため、計画的な申請が必要です。
- 生産性要件を満たすかどうかの判断には、詳細な書類やデータの提出が求められます。
業務改善助成金の申請から支給までの流れ
事業所のある都道府県労働局に行います。法人は一つでも事業所が複数ある場合、各事業者の属する局への申請が必要となります。
令和7年度業務改善助成金の申請期限について
申請期限 | 2025年(令和7年)1月31日 まで |
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事業完了期限 | 2025年(令和7年)2月28日
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注意点として、こちらは『助成金』のため要件を満たせばだれでも支給を受けることができます。そして助成金には”予算”が設定されています。申請期限は2024年1月末ですが、予算がなくなると終了となる可能性もありますので、該当の事業者は早めの申請をおすすめいたします。
申請方法
電子申請
- jGrantsを利用したオンライン申請が可能(GビズIDプライムが必要)。
紙媒体申請
- 各都道府県の労働局雇用環境・均等部室で受付。
業務改善助成金の注意点
業務改善助成金に関する注意点は下記の3点です。
- 対象外となるケース: 解雇や賃金引き下げが行われた場合、助成金の対象外となる可能性があります。
- 事業計画の変更: 計画変更が必要な場合は、事前に「事業計画変更申請書」を提出する必要があります。
・交付決定前に導入した対象設備は助成の対象外
⇒交付決定後に実施される事業に使用した対象経費が助成されますので、必ず決定通知を受けたのちに事業計画をスタートしてください
・予算の関係で申請期限の前に募集終了になる可能性がある
⇒先に触れていますが、決められた予算内で運用されるため、交付件数が多いと早期に募集が打ち切られる可能性があります。
・過去に業務改善助成金を使った事業者も再度活用が可能
⇒過去に本助成金を活用したことのある事業者も対象になります。交付を受けたことのある方も、さらなる設備投資を実施できます
業務改善助成金では、事業場内最低賃金額が900円未満または900円以上950円未満の場合に、通常よりも高い助成率が適用されます。特に、生産性要件を満たすことで最大9/10の助成率が適用されるため、事業者にとって大きな支援となります。詳細な条件や申請手続きについては、管轄の労働局や公式ウェブサイトで確認してください。
まとめ
業務改善助成金は活用しない手はないくらい汎用性の高い助成金です。特にスマホやPCが助成対象になるものは少ないため貴重な制度だといえます。スタートアップはもちろん、中小企業や個人事業主も利用できるので募集をしている間は積極的に利用していきましょう。
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