キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」
現代では仕事のIT化、人件費の削減などでアルバイトやパートの雇用が増え、その集団を正規社員がまとめるというスタイルも多くなっています。そのような会社向けに、短時間労働者、つまりパートやアルバイトの就労時間を、社会保険の加入が必要な程度まで延長することによって受給できる助成金があります。それがキャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長コース」です。
今回は、キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」について制度の概要をまとめてみました。
「短時間労働者労働時間延長コース」とは?
労働時間が一定時間以下の場合、パートやアルバイトなど社員は社会保険に加入させなくてもよいというケースがあります。
キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」は、そんなパートやアルバイトなど短時間労働者の労働時間を延長して、社会保険に加入ができる程度の環境を整えることで、短時間勤務であるパートやアルバイトの処遇改善を図る企業のサポートする助成金です。
キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」は厚生労働省が提供するキャリアアップ助成金の中にある6コースのうちの1つです。助成額は、1人あたり23万7,000円(大企業の場合は17万8,000円)で、最大で1年度1事業所あたり45人まで助成が可能です。
メリット
国民年金でなく健康保険に加入している場合、病気で就労ができなくなった時も、一定の条件を満たしていれば給与の約2/3程度が補償される「傷病手当金制度」が利用できます。そのため、社会保険に加入することで社員の安心につながります。
短時間労働者の処遇を改善し、安心して働ける環境を整備することに対して、国からの助成が受けられます。キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」は、会社と社員の双方がウィンウィンになることができる、社会的意義のある助成金制度です。
助成金の支給対象となる短時間労働者
キャリアアップ助成金「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」は、会社にも社員にもメリットが大きいのですが、条件に制約が多いのがデメリットとも言えます。
厚生労働省では、下記のすべてに該当する労働者が助成金の対象になると定めています。
助成金の対象となる短期労働者 ・週所定労働時間を延長した後、6か月以上の期間継続して支給対象事業主に雇用される有期雇用労働者等であること ・次の(1)から(3)までのいずれかに該当する労働者であること ・週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であって、かつ支給対象事業主の事業所において過去2年以内に社会保険に加入していなかった者であること ・週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者で あること ・支給申請日において離職していない者であること |
助成対象になるために必要な手続き
実はこの「短時間労働者労働時間延長コース」の手続きはかなり複雑で手間がかかります。この手続きのわずらわしさもデメリットとの1つかもしれません。
助成金の対象になるには、以下のすべてを実施する必要があります。
・事業所毎にキャリアアップ管理者という立場の人を配置した上で「キャリアアップ計画」を作成し、それについて管轄の労働局長の認定を受ける ・雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を3時間以上延長する、または週所定労働時間を1時間以上3時間未満延長する ・週所定労働時間を延長した日以降の期間、その労働者を社会保険に加入させる ・週所定労働時間を延長した際に、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした「労働条件通知書」または「雇用契約書」を作成、交付する ・週所定労働時間を延長した労働者を延長後6ヶ月以上の期間継続して雇用し、延長後の処遇で6ヶ月分の賃金を支給(通常の勤務をした日数が11日未満の月は除く)する |
この助成金の対象となるためには、まず短時間労働者の労働時間を延ばさなければなりません。この時、労働条件通知書等を整備し、社会保険に加入させる必要があります。そして、その雇用条件で6カ月間働いてもらいます。
これが前提です。
助成を受けるためには、そもそも取り掛かる前にキャリアアップ管理者を任命して、キャリアアップ計画を作成し、管轄の労働局に提出して認定を受けなければなりません。
このプロセスを経過して、やっとキャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」を受給することができます。
当社では助成金の申請サポートを行っています。ご不明な点がございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。