米国TikTokのサービス停止が与える影響とインフルエンサーが注目すべきポイント
2025年1月19日に施行される新たな法律に先立ち、現地時間2025年1月18日午後10時30分(米東部時間)頃に米国でのTikTokサービスが停止しました。
アプリを起動すると「ティックトックは現在利用できない」というメッセージが表示され、米国の1億7000万人の既存ユーザーを含めてコンテンツの閲覧・投稿が一切できない状態となっています。
日本国内に住むインフルエンサーや企業にとっても、今後の展開が気になるニュースです。以下では、現在明らかになっている米国のTikTok停止の背景や、今後のシナリオ、そして日本人インフルエンサーが今後どのように対策を取るべきかをまとめます。
米国でのサービス停止概要
- 停止日時
2025年1月18日午後10時30分(米東部時間) - 影響範囲
約1億7000万人の米国ユーザーが利用不可 - 停止内容
新規ダウンロードやアップデートが不可既、存ユーザーも閲覧・投稿など全機能が停止。アプリを開くと「ティックトックは現在利用できない」というメッセージを表示。
アメリカ国内には多くの人気クリエイターが存在し、企業によるプロモーションも広く行われてきました。日本のインフルエンサーが米国向けコンテンツを配信している場合や、米国人フォロワーを多く抱えているケースでは大きな打撃となります。
法的背景 / TikTok禁止法
「外国の敵対者が管理するアプリケーションからアメリカ人を守る法」
2024年4月に成立した法律で、ByteDance(TikTokの運営企業)に対し、2025年1月19日までにTikTok米国事業の売却または撤退を求める内容が定められています。
最高裁判決
- 2025年1月17日、米最高裁は全会一致でこの法律を支持する判決を下しました。
- 判決理由としては、国家安全保障上の懸念が言論の自由の権利に優先すると判断された点が大きいとされています。
これにより、バイトダンス社は米国での事業継続を合法的に行うためには、米国事業の売却か完全撤退のいずれかを選択せざるを得なくなりました。
今後の展開
トランプ次期大統領による対応
- トランプ次期大統領は就任後、このTikTok禁止法の施行を90日間延期する可能性が高いと示唆しています。
- もし延期が実現すれば、ByteDanceには売却交渉を進めるための追加猶予が与えられることになります。
長期的な可能性
- ByteDanceが売却に応じない場合、今後もアプリの機能停止や完全撤退が継続される可能性があります。
- 現地ではトランプ次期大統領による“救済策”を期待する声もある一方、本質的な安全保障上の懸念を解消できるかどうかが課題とされており、状況は非常に流動的です。
セキュリティ上の懸念
データ収集の問題
米司法省はTikTokが以下のデータを収集していると指摘しています
- ユーザーの正確な位置情報
- 閲覧習慣
- プライベートメッセージに関するメタデータ
国家安全保障上の観点から、こうしたデータが中国政府に渡るリスクが懸念されています。
ユーザー・クリエイターへの影響
サービス停止による具体的な影響
- 新規ダウンロード不可: 米国内のアプリストアからTikTokを取得できない
- 既存ユーザーもアップデート停止: バグ修正や新機能追加も受けられない
- コンテンツの視聴・投稿が不可能: アプリを起動しても利用できない状態
クリエイターへの打撃
- TikTokを主要収益源としているクリエイターは収入減少が避けられない
- 米国内ユーザーとの交流が断たれるため、ブランドとのタイアップ案件やファンとのコミュニケーションが難しくなる
- 広告・PRを行っていた企業のマーケティング戦略も再検討が必要
日本人インフルエンサーはどう対策するべきか
プラットフォームの多角化
- もし米国ユーザーのフォロワーが一定数いる場合、YouTube、Instagram、Threads、X(旧Twitter)など別のSNSを活用しましょう。多くのアメリカユーザーが中国製の代替アプリ「RedNote」などに移行しています。
- 米国内のスポンサー企業をクライアントにしている場合は、別プラットフォームでのPR提案を早めに開始する必要があります。
ファンコミュニティの構築
オンラインサロンやメルマガ、コミュニティアプリなど、SNS依存になり過ぎない仕組みを整えておくことで、プラットフォームの停止リスクを軽減できます。
著作権・プライバシーリスクへの理解
今回は国家安全保障の観点からの停止でしたが、今後もプラットフォームが法律・規制の影響を受ける可能性は十分あります。自国以外のアプリを利用する場合、データ保護や各国法規制を継続的にチェックしましょう。
米国動向の注視
トランプ次期大統領が90日延期を認めるか、ByteDanceが売却に応じるかなど、状況は大きく変わる可能性があります。ニュースや政府公式発表を定期的にチェックし、対応方針をアップデートしていきましょう。
まとめ
2025年1月18日に突如始まったTikTokの米国サービス停止は、1億7000万人ものユーザーと数多くのクリエイターに多大な影響を与えています。背景には、国家安全保障を理由とした法規制と米国政府の懸念があり、TikTokを運営するByteDanceに売却を迫る強硬措置が続いています。
日本在住のインフルエンサーや企業であっても、米国市場向けコンテンツやスポンサーシップを扱っている場合はビジネス的影響を避けられない可能性があります。したがって、他のSNSやファンコミュニティ、国内外の法規制リスクへの理解を深め、事態が好転しない場合でも対応できる体制を整えることが重要です。
今後、トランプ次期大統領による施行延期やByteDanceの売却交渉が進展すれば、再び米国でTikTokが復活する可能性もゼロではありません。しかし、この先どう展開するかは不透明な状況です。インフルエンサーや企業は常に最新情報をウォッチし、自身の活動に柔軟に生かしていくことが求められます。
▼参考になる公式情報・ニュースソース
米司法省・連邦裁判所の公式情報
- 連邦裁判所の刑事事件に関する基本情報:
https://www.uscourts.gov/about-federal-courts/types-cases/criminal-cases - 連邦裁判所の民事事件に関する基本情報:
https://www.uscourts.gov/about-federal-courts/types-cases/civil-cases - 司法省のホームページ:
https://www.justice.gov
TikTok公式プレスリリース
- TikTok Newsroom (英語)
https://newsroom.tiktok.com/en-us/ - TikTokの禁止法に関する声明 (2024年4月24日付)
https://newsroom.tiktok.com/en-us/statement-on-enactment-of-the-tiktok-ban-april-24-2024 - TikTokのシャットダウンに関する声明 (2025年1月18日付)
https://newsroom.tiktok.com/en-us/tiktokjan-17
米国大手メディアの最新報道
- CNN: TikTok禁止に関する最新情報
https://www.cnn.com/2025/01/17/politics/supreme-court-tiktok-ban-takeaways/index.html - Bloomberg: TikTok禁止法に関する最高裁判所の判断
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-01-17/tiktok-ban-law-is-upheld-by-the-us-supreme-court - The New York Times: TikTok禁止に関する詳細解説
https://www.nytimes.com/2025/01/17/us/politics/tiktok-ban-what-to-know.html
トランプ次期大統領の発言
- NBC Newsのインタビュー記事 (TikTokに90日間の猶予を与える可能性について言及)
https://www.nbcnews.com/politics/donald-trump/trump-likely-give-tiktok-90-day-extension-avoid-ban-rcna188258
今後も法律や政治の動きにより、事態が急変する可能性があります。日本のインフルエンサーの皆さんも最新情報をキャッチしつつ、複数のSNSやコミュニティを活用することで、より柔軟に対応していきましょう。