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SAFE(Simple Agreement for Future Equity)は、2013年にY Combinatorが開発した革新的な投資契約で、現在米国スタートアップの資金調達において主流となっている手法です。

SAFEの基本概念
SAFEとは「将来の株式に関する簡易契約」で、投資家に将来の株式取得を約束する形で行われる資金調達の契約です。重要な特徴として、転換社債のような負債とは異なり、SAFEは負債ではないため利払いの必要がないことが挙げられます。

契約の仕組み
SAFE契約に基づく投資では、投資家が現時点で株式を受け取るのではなく、将来的な資金調達ラウンドや特定のトリガーイベント(IPOや買収など)が発生したときに株式に転換されることを約束します。

SAFEの4つの契約パターン
SAFEには以下の4つの基本パターンがあります:

① バリュエーション・キャップのみ
次回ラウンドの投資家がバリュエーションを高くつけすぎることで、転換価額が大きくなりすぎるのを防ぐ効果があります。

② ディスカウントのみ
一般投資家が株式を購入する際の価格と比べて、SAFE投資家が購入する際の割引率を意味します。

③ バリュエーション・キャップ+ディスカウント
上記①と②を比べてSAFE投資家にとって有利となる方法で株式を取得することができます。

④ MFN(Most Favored Nation)
最恵国待遇条項により、他の投資家と同等以上の条件を保証します。

SAFEのメリット
スタートアップ側

迅速な資金調達: 企業価値の評価を先延ばしするため、出資完了までに要する時間やコストが相対的に小さくなります

柔軟な企業運営: SAFE投資家は出資時点で株主とならず、議決権行使をしないため、柔軟かつ機動的に企業運営を行えます

返済義務なし: 負債としての性質を有しないため、金銭出資について返済義務を負わず、金利の支払いも不要です

投資家側

低コスト・迅速投資: 正確な企業価値評価が不要で、投資時点で株主間契約の締結も不要なため、低コストかつ迅速に投資できます

有利な転換条件: スタートアップの成長が不確実な段階で出資する見返りとして、後出の投資家よりも有利な条件で株式に転換できます

SAFEのデメリットとリスク
スタートアップ側

株式希薄化: SAFE転換時に新たな株式を交付することに伴う創業者の持分割合の希釈化リスクがあります

投資家側

転換リスク: 転換事由が将来発生する法的保証はなく、理論上は投資家が株式を取得できない事態に陥る可能性も否定できません

株主権なし: SAFEを保有する投資家は、株式が発行されるまで株主としての権利を持ちません

転換の仕組み
SAFEは将来的な資金調達ラウンドや特定のトリガーイベントが発生した際に株式に転換されます。転換時には、バリュエーション・キャップやディスカウントという仕組みにより、SAFE投資家が後から参加する投資家よりも通常有利な条件で投資できるよう設計されています。

注意点
SECは「SAFEと呼ばれているが、”Simple”でなければ”Safe”でもない」と警告しており、特に株式転換のトリガーとなる条件が満たされない場合、転換が行われずに何も得られない可能性があることを指摘しています。

また、SAFEはシリコンバレーのベンチャーキャピタル向けに設計された制度であり、急速に成長するベンチャー企業を想定したものであるため、すべての企業に適用できるわけではないことも理解しておく必要があります。

SAFEは適切に活用すれば、スタートアップにとって非常に有効な資金調達手段となりますが、その特性とリスクを十分理解した上で導入を検討することが重要です。