ヨーロッパには、eFoundersというスタートアップスタジオが存在しています。eFoundersは、未来の働き方にフォーカスしています。具体的には、企業の生産性向上とワークフローを改善するB2B SaaSスタートアップの構築を支援しています。たとえば、Front、Aircall、Spendeskは、すべてeFoundersから立ち上がりました。TextMaster、Mention、Mailjet、Hivy、BriqなどいくつかEXITした企業もあり、今後さらに大きな成功を収める可能性もあります。
日本ではまだ、馴染みの薄いスタートアップスタジオとは、どんなビジネスモデルでしょうか?
スタートアップスタジオとは?
eFoundersを例にすると新しいプロジェクトを思いついたとき、スタートアップスタジオは、新規事業を遂行するCEOとCTOを探し、eFoundersは、3番目の共同創設者として機能します。具体的にはエクイティ(資本金/出資金)の3分の1と引き換えに、eFoundersからは専門性を持ったチームメンバーを派遣し、プロジェクトを成長軌道に乗せる支援をします。スタートアップがエンジェルラウンドからシードラウンドに支援先スタートアップを底上げすると、eFoundersは、平常モードに移行し、また新しいプロジェクト支援に集中します。
EXITした企業から得た売却益は、また次のスタートアップの投資につなげていくといった形です。
以上のようにスタートアップスタジオ(Startup Studio)は、共同創設者として行動し、人材採用やエンジニアによるプロジェクトの立ち上げ、MVPの開発を経て一部のプロジェクトは、法人化から資金調達を行います。一部のスタートアップスタジオは、ファンド機能も兼ね備えています。シード期を乗り越えてシリーズA(PMF)までたどり着けば、投資家とのネットワークを通じて外部投資家へのソーシング、経営戦略の練り直しを支援します。
シリーズA以降は、共同設立のCEOに日々の意思決定を任せ、将来のラウンドでは、株主や取締役会のボードメンバーとして経営に関与します。
スタートアップスタジオのメリット
CEOやCTOを目指すメンバーが創業当初に自己資金の負担を減らし、リーンに事業を立ち上げることが可能です。Startup Studioのエンジニア、マーケター、ファイナンスのコンサルタント等の支援を受けながら、検証可能な初期プロダクト(MVP)の開発を進めることが可能です。スタートアップスタジオによっては、検証すべきビジネスアイデア自体も提供してもらえるケースもあります。
スタートアップスタジオのデメリット
スタートアップスタジオのデメリットは、創業初期から提供リソースと引き換えに株式の30〜50%を外部に放出する必要があります。そのため、創業者(CEO、CTO)の株式持分が相対的に低くなります。スタートアップスタジオの支援内容によって、その比率が妥当かどうか判断する必要があります。
買い戻しの条項などをつけられれば、創業メンバーの持株比率を事後的に回復できるため、そういった条項を交渉したり、外部放出する株式の比率を引き下げることが可能か相談してみてもよいかもしれません。
創業したいが、CTOができるエンジニアとの接点がない、Biz-devが苦手といった経営者は、デメリットもありますがスタートアップスタジオを利用するのも一つの手かもしれません。
国内のスタートアップスタジオ
STARTUP STUDIO by Creww(スタートアップスタジオ バイ クルー)
Creww社が運営するインキュベーションプログラムに加えて、メンバー募集機能を拡充し”事業のゼロイチに出会えるプラットフォーム”として2021年5月からサービスを提供しています。
Gaiax STARTUP STUDIO
社会に大きなインパクトを与える事業をアイディアからグロースフェーズまで見送る支援を行っています。Gaiax スタートアップスタジオでは、出資だけでなく、事業開発・エンジニアリング・バックオフィスの支援も行うことにより、初めての起業でも、数十回の経験を経てきたスタートアップスタジオメンバーのノウハウの元、事業活動に取り組むことができます。また、アイデアの構想段階から起業後の資金調達とパートナー探しのフェーズまで、イベントなどを通して相談することもできます。
*1ヶ月かかる開発を1週間で実現!常に最適なMVP開発環境
ガイアックスのスタートアップスタジオでは新規事業がより高速に仮説検証を行えるよう、最適な開発環境を整えています。日本では2020年から話題になっているbubbleやAdaloといったノーコードツールを活用しています。また、アプリ開発においてはiPhoneとAndroidに対応しているFlutterを活用しています。ガイアックスのサポートを受けるとMVP開発のリソースも自由に活用することができます。
Spirete
Spirete(スピリート)は、大企業や大学研究機関から預かった事業アイデアや技術シーズをもとに、大企業人材や大学研究機関の人材、フリーランスや副業人材など、異分野の技術と異業種/業界の専門知識や経験を組み合わせ、グローバル規模での資金調達・事業展開に挑戦できるスタートアップの創出を目指しています。
(企業ホームページ:”What is Spirete?”)
まとめ
弊社も数多くのスタートアップ支援で培ったサポート力を駆使して、スタートアップスタジオ事業への参入準備をすすめています。新規事業創出に興味のある企業様、資本業務提携先を探されている企業様、ベンチャー/スタートアップ投資を検討している企業様など幅広く協業パートナーを募集しておりますので、興味がある事業者様は是非ともお問い合わせいただければ幸いです。