【未上場株の流通市場とは?】スタートアップの活性化を狙う自民党支援
岸田政権下ではスタートアップ支援を強化する方針であり、スタートアップ企業の支援策の候補として『未上場企業の株式取引を活発にする流通市場の創設』を柱に企業価値が向上しやすい環境を整備する可能性がでてきました。2022年6月をめどに策定する計画への反映が目指されることが日経新聞のニュースで報道されました。
2022年4月初旬に自民党から公表予定です。どういった狙いがあるのか、記事にしました。
2022年を「スタートアップ創出元年」とする
「新しい資本主義」と総裁選でも主張し、成長と分配の好循環を生み出すために、岸田総理大臣は2022年を「スタートアップ創出元年」として、官民をあげてスタートアップ支援を強化することを表明しました。オープンイノベーションへの税制優遇や政府からの資金調達支援などを具体策として提示しています。
岸田氏は政調会長の時代から、アメリカや中国などに比べて日本では起業文化がいまだ育っていないことに危機感を持っており、すでにスタートアップ支援の仕組みや補助金・助成金の設置も行われていますが、2022年は「スタートアップ創出元年」と位置づけ5ヵ年計画が作成される予定です。
未上場株の流通市場の課題とは
未上場株(=非上場株式)は、投資者保護上の観点から、証券会社による投資勧誘が原則として禁止とされてきました。例外として、株主コミュニティ制度や株式投資型クラウドファンディング制度、適格機関投資家私募等においては非上場株式についての投資勧誘が認められているものの、日本での非上場株式の発行・流通に関与する場面は極めて限定的であることが課題です。
未上場株流通への制度見直し
新規・成長企業等の非上場企業へのリスクマネー供給促進については、2020年7月の政府規制改革実施計画等で、非上場企業に対する成長資金の供給を促進するための制度を見直す旨の提言がなされ、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」でおいて、成長資金の円滑な供給に向けた非上場株式等の発行・流通市場の見直し等が検討されています。
金融商品取引業協会の一つ、日本証券業協会でも非上場企業への成長資金の供給促進といった社会的要請に応えるため、金融庁等と連携しながら市場関係者のニーズを踏まえ、非上場株式取引制度の改善策について検討する懇親会が設置されています。
現在の未上場株の流通市場
現在非上場株式の発行の際に利用できる制度としては、株主コミュニティ制度や株式投資型クラウドファンディング制度が存在しますが、まだ十分な存在感を発揮するには至っていません。市場全体としても資金調達の場としての機能を十分に発揮できていないという側面もあり、非上場企業に対する成長資金の供給に向けて、非上場株式の発行市場を活性化することが求められています。
近年、ユニコーン企業を多数輩出している米国では、証券取引委員会(SEC)に登録せずに株式等を発行できる登録免除制度の規制緩和が進められるとともに、インターネット上で非上場株式を取引できるプラットフォームの設立が相次いでおり、自衛力認定投資家と呼ばれるプロ投資家等によって活用されていることから、日本においても資金調達機会を拡大さ
せ、多くのユニコーン企業を輩出するとともに、地域の活性化や社会的な課題に取り組む非上場企業を支援する「株式発行制度」、「流通制度」を整える必要があります。
今後の動向
岸田総理は2022年4月9日の報道で、最新技術を活用したスタートアップ(新興企業)への支援を盛り込み、「スタートアップは社会的課題の解決と経済成長の二兎を追っており、新しい資本主義の考え方と一致する。集中的に投資したい」と語っています。
現在未上場企業の上場方法も欧米ではSPACなどさまざまな手法が生まれており、未上場株の流通だけではなく、すでに流動性が高い株式市場への参入動線も強化されることが期待されますね。
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