
2025年 牧之原市長選挙
~教育政策と災害対応が問われる一騎打ち~
2025年10月、静岡県牧之原市で4年ぶりの市長選挙が行われます。今回の選挙は、現職の杉本基久雄氏(68歳)と、新人の板倉直寿氏(74歳)による一騎打ち。最大の争点は「小中学校統合計画の是非」です。さらに、9月に発生した国内最大級の竜巻災害を受け、災害対応と復興策も重要テーマとなっています。
■ 選挙日程と主な投票所
告示日: 2025年10月19日(日曜日)
投開票日: 2025年10月26日(日曜日)午前7時〜午後8時
期日前投票期間: 2025年10月20日(月曜日)〜10月25日(土曜日)
投票所:市内19箇所(第9・第19投票所が変更あり)
10月19日午後5時 市長・市議会議員選挙の立候補の届出が締め切られ、市長選挙は立候補者が2名であったため、投票が行われます。
市議会議員選挙は、立候補者が定員と同じ16名であったため、『無投票』となりました。
候補者の主張
| 氏名 | 年齢 | 所属 | 現職/新人 | 主な政策・争点 |
|---|---|---|---|---|
| 杉本基久雄 | 68歳 | 無所属 | 現職 | 3期目を目指し、市政の継続と持続性あるまちづくりを推進 小中学校統合計画を推進。持続的発展と企業誘致で人口減少対策 |
| 板倉直寿 | 74歳 | 無所属 | 新人 | 小中学校統合計画の白紙撤回、地域教育環境の維持、財政負担軽減 |
最大の争点:小中学校統合計画
牧之原市は、市立小中学校10校を2つの小中一貫校に再編する計画を進めています。
榛原地区:2030年統合
相良地区:2033年統合
最大の争点となっているのは、牧之原市が進める市立小中学校10校を2つの小中一貫校に再編する計画です 。現職の杉本氏は継続推進の立場、新人の板倉氏は白紙撤回を主張しており、教育環境や財政負担を巡って対立 。
現行計画の概要
市内10校の小・中学校を、榛原地区では2030年、相良地区では2033年にそれぞれ統合し、2校の一貫義務教育校に集約する構想。施設老朽化や少子化に対応し、教育資源を集中させることで財政効率化を図る。杉本氏の立場: 計画継続推進、持続的発展を目指す
板倉氏の立場: 計画の白紙撤回、地域コミュニティ維持を重視杉本市長の立場
「統合=衰退」ではなく、地域包括ケアや生活拠点確保による持続的発展を目指すとし、計画推進を掲げる。- 反対意見
板倉氏や市民グループは「統合は地域コミュニティの核を失わせ、子どもや地域の活力を弱める」と主張。現状維持のまま持続可能な地域活性化を進めるべきと訴えている。
杉本氏は「教育資源を集中させ、持続可能なまちづくりを」と訴える一方、板倉氏は「統合は地域コミュニティを弱める」と反対。市民グループによる署名運動も展開され、議論は熱を帯びています。
新たな争点:竜巻災害と復興対応
2025年9月5日に発生した台風15号由来の竜巻は、市内に甚大な被害をもたらしました。
人的被害:重軽傷者89人(うち重傷8人)
住宅被害:1,336棟(全壊1棟、半壊149棟)
農業被害:ビニールハウス等に深刻な打撃
停電:一時1万戸以上
現職の杉本市長は災害対策本部を設置し、罹災証明書の迅速発行(1,100件超)、災害ボランティア受け入れ、営農継続支援を打ち出しました。災害への対応力やリーダーシップは、有権者の評価に直結するとみられます。
市議会議員選挙も同時開催
市長選と同じ10月26日には、定数16名を巡る牧之原市議会議員選挙も行われます。前回は20人が立候補し、投票率63.7%。今回も学校統合計画や災害対応を巡って激しい論戦が予想されます。
定数:16名(現職15名、1欠員)
公明党が公認予定候補を擁立予定
立候補予定者は10月19日の告示で正式発表
市議選については19陣営が説明会への出席があったが、個別の氏名は公的な公開資料では確認できず、氏名は告示日の正式届出で明らかになる見込み。
牧之原市議会議員選挙(投票日 2025年10月26日)の候補者
出なわ ようこ(デナワ ヨウコ)

無所属/62歳/新人/出縄良人税理士事務所職員。
主要スローガンは「市民と行政のかけはし」「老若男女がイキイキ幸せ未来」「小さな一歩 台地から」で、重点政策は女性活躍・防災力・新産業育成・教育・健康長寿を掲げる。松下 さだひろ(マツシタ サダヒロ)

公明党/68歳/現職/公明党牧之原支部支部長。中山 なおひろ(ナカヤマ ナオヒロ)

無所属/39歳/新人/会社役員。
| 出なわ ようこ | 松下 さだひろ | 中山 なおひろ | |
|---|---|---|---|
| 党派 | 無所属 | 公明党 | 無所属 |
| 年齢 | 62歳 | 68歳 | 39歳 |
| 性別 | 女 | 男 | 男 |
| 現新 | 新人 | 現職 | 新人 |
| 肩書 | 出縄良人税理士 事務所職員 | 公明党 牧之原支部 支部長 | 会社役員 |
現職
| 議席 | 氏名 | 生年月日 | 年齢 |
|---|---|---|---|
| 1 | 石山 和生 | 1995-02-10 | 30 |
| 2 | 谷口 恵世 | 1977-05-05 | 48 |
| 3 | 絹村 智昭 | 1965-11-03 | 59 |
| 4 | 名波 和昌 | 1957-07-10 | 68 |
| 5 | 加藤 彰 | 1957-05-21 | 68 |
| 6 | 木村 正利 | 1957-03-28 | 68 |
| 7 | 松下 定弘 | 1957-03-28 | 68 |
| 8 | 種茂 和男 | 1947-07-11 | 78 |
| 9 | 濵﨑 一輝 | 1968-01-26 | 57 |
| 10 | 植田 博巳 | 1950-11-06 | 74 |
| 11 | (記載なし) | (記載なし) | (算出不可) |
| 12 | 太田 佳晴 | 1956-01-12 | 69 |
| 13 | 中野 康子 | 1948-03-10 | 77 |
| 14 | 大石 和央 | 1955-01-19 | 70 |
| 15 | 原口 康之 | 1963-08-09 | 62 |
| 16 | 村田 博英 | 1947-08-28 | 78 |
計算条件
基準日:2025年10月2日で満年齢を算出。
生年月日出典:牧之原市議会議員名簿(令和7年5月12日現在)。
議席11は名簿に記載がないため年齢は算出不可とした。
復興支援制度
行政・企業・市民が連携した復興支援も始まっています。
企業版ふるさと納税:10万円以上で実質負担1割まで軽減
義援金受付:オンライン・窓口対応
被災者支援:災害弔慰金、援護資金貸付、災害復興住宅融資
市議会からは「ワンストップ窓口の設置」「心のケア相談体制」などの要望も出されています。
前回選挙との違い
2021年の前回市長選は無投票で現職続投。しかし今回は教育政策と災害対応を巡る実質的な政策選挙に発展しました。久々の本格選挙戦に、市民の関心も高まっています。
注目ポイント
投票率:無投票だった前回からどれだけ回復するか
教育 vs. 地域コミュニティ:統合計画を推進するか、撤回するか
災害復興:短期的支援と中長期的まちづくりをどう両立させるか
地域イノベーション:スタートアップ支援や若手起業家との連携への期待
おわりに
牧之原市長選は、教育政策・災害対応・地域活性化という三つの大きなテーマを抱えています。
告示まで残り17日、投開票まで24日。両候補の政策と市民との対話が本格化する中、「未来の牧之原市」をどう描くかが問われる選挙となりそうです。
教育関係者、地域の若者、そして地域イノベーターにとって、今回の選挙は無関心ではいられません。


