グリーン成長戦略とは?カーボンニュートラルをビジネスチャンスに変える中小企業支援まとめ
2021年6月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(略:グリーン成長戦略)が発表されました
一言でいうと、「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策のことを指しています。
世界的に脱炭素シフトが進んでいる昨今の社会情勢において、企業
そのため、脱炭素経営を推進する
加えて、脱炭素化のための手法(グリーン電力調達、環境価値調達
「経済と環境の好循環」をつくるための産業政策や実行計画はどのようなものか、またグリーン成長戦略をビジネスチャンスに変えるための補助金など紹介します。
グリーン成長戦略の背景
2020年10月に日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。温暖化への対応を経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも成長の機会と捉える時代に突入したことで、企業の成長と合わせて積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や社会経済の変革をもたらし、次なる大きな成長に繋がっていくという考えです。
しかし、これを実際に実現していくことは非常に難しいと捉えられており、産業によっては、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく必要がある企業が数多く存在しています。
日本(国)としては、世界中での新しい時代をリードしていくチャンスの中で大胆な投資をし、イノベーションを起こすといった民間企業の前向きな挑戦を応援するため、可能な限り具体的な見通しを示し、高い目標を掲げて、民間企業が挑戦しやすい環境を作るとともに成長が期待される産業(14分野)において、高い目標を設定し、あらゆる政策を実施する計画が立ち上がった、というものです。
カーボンニュートラルとは
「温室効果ガス」をご存知でしょうか。地球温暖化の一番の原因と言われているのが、二酸化炭素やメタンなど温室効果ガスです。カーボンニュートラルは、この温室効果ガスの排出を「全体としてゼロ」にすることを表しています。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
カーボンニュートラルの達成のためには、
①温室効果ガスの排出量の削減
②吸収作用の保全及び強化
を推進する必要があります。
排出量の削減は、例えばものづくりを行う中で温室効果ガスを排出しないつくり方を模索したり、身近なところでは”電気自動車”などもその一つと言えます。吸収・除去の方法としては、植林や緑化をすすめるなどの方法です。
日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言していますが、日本だけでなく世界各国がカーボンニュートラルを目指しており、2021年1月時点で、世界124か国・1地域が表明しています。
国が支援するグリーン成長戦略
地球環境のことを考えるうえで、カーボンニュートラルは避けて通ることはできません。2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略では、脱炭素化へと向かう時代環境をビジネスチャンスととらえて、大胆な投資を行い、イノベーションを起こそうとする企業の挑戦を支援する、様々な政策が挙げられています。
主な政策として、革新的技術の研究開発から社会実装までを支援するグリーンイノベーション基金(2兆円・最長10年間)の創設、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制、ファイナンス資金活用のための金融市場の整備、規制改革・標準化などがあります。
また、成長が期待される産業分野として、14の産業分野を挙げ、分野ごとに実行計画を策定し、目標を掲げ、具体的な見通しを示しています。
グリーン成長戦略下の14の産業分野について
分野 | 国民生活のメリットの例 |
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洋上風力・太陽光・地熱産業 |
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水素・燃料アンモニア産業 |
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次世代熱エネルギー産業 |
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原子力産業 |
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自動車・蓄電池産業 |
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半導体・情報通信産業 |
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物流・人流・土木インフラ産業 |
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食料・農林水産業 |
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航空機産業 |
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カーボンリサイクル・マテリアル産業 |
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住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業 |
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資源循環関連産業 |
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ライフスタイル関連産業 |
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※経済産業省ミラサポPlusより図を引用。Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.
グリーン成長戦略をビジネスチャンスに!国の中小企業支援とは
政府は、予算、税制、規制改革・標準化、民間の資金誘導などの政策を通じて、2050年カーボンニュートラルを見すえた企業の技術開発から設備投資までの様々な取り組みを多面的にサポートするための予算を計上しています。
「事業再構築補助金(令和3年度補正)」の「グリーン成長枠」
グリーン成長枠は、研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略の14分野の課題解決のための取組を行う事業者を支援する枠です。補助上限は中小企業で1億円(補助率1/2)、中堅企業で1.5億円(補助率1/3)となっており、通常枠と比べて優遇されています。
「ものづくり補助金(令和3年度補正)」の「グリーン枠」
グリーン枠は、「温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発や炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業者」が対象です。グリーン枠の補助金上限は最大2,0000万円(補助率2/3)と通常枠よりも優遇されています。
今後も、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた企業の取り組みに対して、幅広い支援策が実施されることが考えられます。
大きく予算もねん出されると想定できますので、これをビジネスチャンスと捉えて事業を拡大していきましょう。
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