2025年度に向けたスタートアップのための補助金ガイド
日本政府は2025年度に向けて、中小企業やスタートアップのイノベーション、競争力、グローバル展開を強化するためのさまざまな補助金プログラムを整備しています。本記事では、これらのプログラムの構造、適格性、および戦略的メリットについて詳しく見ていきます。また、新しい補助金の情報も順次更新して行きます。
ものづくり補助金
2025年度のものづくり補助金 (もの補助)は、支援枠が整理され、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つに集約されました。
製品・サービス高付加価値化枠
- 補助率:中小企業1/2、小規模・再生事業者2/3
- 上限額:750万円~2500万円
グローバル枠
- 補助率:中小企業1/2、小規模事業者2/3
- 上限額:3000万円
重要な改良点
特筆すべき点として、最低賃金引き上げに取り組む事業者への補助率アップ(1/2から2/3へ)が新設され、収益納付義務も撤廃されました。
- 地域の最低賃金引き上げに取り組む事業者への補助率アップ(1/2から2/3)。
- 収益納付義務の撤廃により、受益者の財務負担が大幅に軽減されます。
小規模事業者持続化補助金
2025年度の小規模事業者持続化補助金は以下の通りです。
【2025・令和7年】最大250万円 小規模事業者持続化補助金 (賃金引上 / 創業 / 共同・協業/ ビジネスコミュニティ)とは?
一般型・通常枠
- 補助率:2/3(賃金引上げ特例を活用する赤字事業者は3/4)
- 上限額:50万円(特例活用で最大250万円)
創業型
- 補助率:2/3
- 上限額:200万円(特例活用で最大250万円)
東京都創業助成金
東京都及び公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する東京都創業助成事業は、都内での創業を支援する制度です。
対象者:都内創業予定者または創業後5年未満の中小企業者等
助成限度額:400万円(下限額100万円) 助成率:2/3以内
助成対象期間:交付決定日から6か月以上2年以内
助成対象経費
- 事業費:賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費
- 人件費:従業員人件費
- 委託費:市場調査・分析費
中小企業成長加速化補助金(2025年より新設)
2025年度に新設される注目の補助金です。
- 対象:売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業
- 補助率:1/2
- 上限額:5億円
主な要件
- 投資額1億円以上(税抜き)
- 売上高100億円を目指すビジョンの策定・公表
- 一定の賃上げ要件等を満たす3年間の事業計画書の策定・実行
中小企業省力化投資補助金
2025年度の中小企業省力化投資補助金は、「カタログ注文型」と「一般型」の2つの枠組みで実施されます。
カタログ注文型
対象:人手不足の状態にある中小企業等
補助対象:カタログに登録された製品等
補助率:1/2以下
補助上限額
- 従業員数5名以下:200万円(300万円)
- 従業員数6~20名:500万円(750万円)
- 従業員数21名以上:1000万円(1500万円)
※括弧内は賃上げ要件達成時の上限額
一般型(新設)
対象:中小企業等の個別の現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築等
補助上限額:従業員数に応じて750万円~8000万円(賃上げ要件達成時は1000万円~1億円)
補助率
- 中小企業:1/2
- 小規模・再生事業者:2/3
※補助金額1500万円までは1/2もしくは2/3、1500万円を超える部分は1/3
一般型では、業務プロセスの自動化・高度化、ロボット生産プロセスの改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、多様な省力化投資が対象となります。
事業承継・M&A補助金
事業承継・M&A補助金は、中小企業の生産性向上と持続的な賃上げを実現するため、事業承継やM&Aに関連する様々な費用を補助する制度です。
申請枠と主な変更点
- 名称変更:「事業承継・引継ぎ補助金」から「事業承継・M&A補助金」に変更
- 申請枠の再編:4つの支援枠が設定
- 補助上限額の引き上げ:最大2,000万円まで拡大
- PMI推進枠の新設:M&A後の経営統合支援を強化
1. 事業承継促進枠
- 対象:5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している事業者
- 補助上限額:800万円~1,000万円(一定の賃上げ実施で上限引き上げ)
- 補助率:中小企業1/2、小規模事業者2/3
- 補助対象:設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費等
2. 専門家活用枠
- 対象:M&A時の専門家活用に係る費用
- 補助上限額:最大2,000万円
- 補助率:買手支援類型1/3・1/2・2/3、売手支援類型1/2・2/3
- 補助対象:フィナンシャル・アドバイザー(FA)費用、仲介費用、表明保証保険料等
3. PMI推進枠(新設)
- 対象:M&A後の経営統合(PMI)に係る費用
- 補助対象:専門家費用、設備投資等
4. 廃業・再チャレンジ枠
- 対象:事業承継・M&Aに伴う廃業等に係る費用
- 補助上限額:150万円(一定の賃上げ実施で最大800万円に引き上げ)
- 補助対象:原状回復費、在庫処分費等
2025年の初回公募は2025年1月頃に開始される可能性があります。過去の情報を参考にすると、年間2~4回の公募が予想されます。
2025年度の事業承継・M&A補助金は、名称変更や新枠の設置、補助上限額の引き上げなど、大幅な改善が行われています。特にPMI推進枠の新設により、M&A後の経営統合支援が強化されました。事業承継やM&Aを検討している中小企業にとって、より活用しやすい制度となっています。
IT導入補助金
2025年度のIT導入補助金は以下の通りです。
通常枠
- 補助率:1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3)
- 上限額:450万円(業務プロセス4つ以上)
セキュリティ対策推進枠
- 補助率:1/2(小規模事業者は2/3)
- 上限額:150万円
インボイス枠
- 補助率:補助額50万円以下は3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超は2/3
- 上限額:350万円
推奨事項: これらの補助金を最大限に活用するために、スタートアップ企業は以下の点に留意してください
- 自社の事業計画がこれらのプログラムの目的や枠組みにしっかりと合致しているかを確認しましょう。
- 資金調達の専門家の指導を受け、民間資金および政府補助金を統合した包括的な財務戦略を考慮に入れましょう。
- これらの財政補助を単なる経済援助と見なすのではなく、スケーラビリティと市場での地位を強化するための戦略的ツールとして認識しましょう。
まとめ
2025年度は、スタートアップ企業にとって活用しやすい補助金・助成金が多数用意されています。特に新設される中小企業成長加速化補助金と中小企業省力化投資補助金の一般型は、大胆な成長を目指す企業にとって魅力的な制度といえるでしょう。またものづくり補助金もスタートアップにとって非常に魅力的な補助金です。
これらの補助金・助成金プログラムは、特にスタートアップや中小企業にとって、活用しやすい金融支援を提供します。特に新設される中小企業成長加速化補助金は、大胆な成長を目指す企業にとって非常に魅力的です。
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補助金申請のサポートも行っているため、専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な資金調達が可能になるかもしれません。
補助金・助成金の活用は、スタートアップ企業の成長を加速させる重要な手段の一つです。自社の事業計画や成長戦略に合わせて、最適な制度を選択し、積極的に活用することをおすすめします。