スタートアップ設立の手続き簡素化への道
日本政府は、スタートアップの設立を容易にするため、株式会社設立手続きの簡素化を目指しています。公証人による面前確認手続きをデジタル化し、設立手続き期間を短縮する案が含まれます。これにより、設立手続きの負担が軽減され、スタートアップの増加が期待されます。
株式会社設立手続きの簡素化
政府は、公証人が設立者の意思を確認する際に対面確認を不要とする方向で検討しており、意思確認を動画などで代替する案が提案されています。これにより、登記を含めた設立手続きの期間が従来の2週間程度から3日程度に短縮される可能性があります。
法務省の有識者検討会
法務省の有識者検討会では、2023年12月中にこの提案に関する提言をまとめる予定です。現行の公証人法では、設立者が定款を作成したことを対面で認め、公証人に確認してもらう必要がありますが、この法律を含む関連法の改正案が2025年にも国会に提出されることが検討されています。
定款認証の手続き
株式会社の設立には、名称や事業目的などを記した定款の認証が必要で、これは法相が任命する公証人が担当します。この手続きは、反社会的な勢力によるダミー会社の設立や犯罪への悪用を防ぐ目的もあります。
定款認証の手続きは年間約10万件あり、設立者は対面またはオンラインで公証人と面会する必要があります。面会は5〜30分程度ですが、公証役場への赴く負担を改善する要望があります。対面手続きを省略するために、設立者の意思表明を撮影した動画を提出させる仕組みや、本人確認をシステム上で行う方法が検討されています。これにより、起業の障壁を低くし、スタートアップの増加を目指しています。
提案内容
主な提案には、A案(民間システムまたはアプリによる自動化された定款作成と公証人認証の不要化)、B案(国の関与の下で開発されたシステムによる迅速な定款作成とファストトラック制度の導入)、C案(国が提供するシステムによる詳細な定款作成支援だが、認証手続きの軽減は含まず)が含まれています。
また、定款の作成についても、起業家の負担軽減策が検討されており、商号や事業目的などを入力するだけで作成できる「モデル定款」の導入などが考えられています。
岸田文雄首相は、創業環境の改善のために公証人による定款認証の見直しを指示しており、法務省の調査によると、審査で指摘を受けたのは約4割、最終的に認証に至らなかった事例は全体の0.5%であるとされています。
起業の手間と費用
日本の起業にかかる手続きの手間や費用は他国に比べて重いとされており、定款認証と登記の費用は税金も含め最低20万円ほどかかります。公証役場は全国に約300カ所、公証人は約500人います。
まとめ
これらの案は、起業時の法的手続きを簡素化し、起業家の負担を減らすことを目的としています。以上の改革により、スタートアップの設立がより容易になり、新たなビジネスの創出が期待されます。