静岡県のインバウンド需要を取る戦略
withコロナ時代の到来により、
また、
2020年にインバウンド観光客(訪日外国人)4,000万人という政府目標が掲げられている日本ですが、インバウンド観光客数は年々増加の一途を辿っており、静岡県下においても、インバウンドでの経済効果が出ています。
※流通ニュースより引用
インバウンド宿泊客消費 静岡県内の経済波及効果は3 3 2 億円
2012年以降右肩上がりとなるインバウンド観光客の消費は、
静岡県内の小売業や宿泊・飲食サービス業を中心に好影響をもたらし、
静岡県内の経済効果を生み出しています。
一般社団法人静岡経済研究所で、観光庁の公表資料をもとに2017年の静岡県内におけるインバウンド宿泊客の消費による経済波及効果の試算によると、インバウンド宿泊客の県内消費総額(総支出額)を推計は289億20百万円となっています。
このうち静岡県内産業が直接受け取る金額(直接効果)は216億45百万円となり、経済波及効果は1次・2次の合計で332億36百万円と推計しています(図表)。
※一般社団法人静岡経済研究所より引用
静岡県の県別ランキングは11位(2018年)
約3,000万人のインバウンド観光客の1%~2%程度が静岡県内に宿泊しています。
ランキング上位は東京・大阪・京都・北海道など。首都圏が不動の人気を誇っています。
静岡県下におけるインバウンド需要取り込みの課題
観光庁が発表した旅行・観光消費動向調査の2018年年次報告書によれば 2018年訪日外国人旅行消費額は4兆5,189億円と巨大なマーケットに成長していることがわかります。この需要をいかに取り込もうかと、どこの自治体・民間も考えている事でしょう。
訪日回数2回以上の外国人旅行者は全体の59.4%でその内、訪日回数10回以上が10.2%とリピーターは年々増加しています。リピーターは地方への訪問意欲が高いため、リピーターのみを集中して狙うのも面白いかもしれません。また、年間約3,119万人の訪日外国人観光客の内、韓国・中国・台湾・香港の訪日客が73.9%と人数が圧倒的に多いです。しかし、一人当たりの費目別消費額でいえば「飲食費」の最高額はスペインで 6.2 万円、 「買物代」の最高額は中国で 11.2 万円と旅行客の目的によって消費の比率が全く違います。インバウンドと一言で言ってもターゲットによっては一回目に訪れる人なのかリピーターなのか宿泊なのか、飲食なのか、体験なのか、さらに日本全国の既存マーケットと静岡の既存マーケットの違など、多角的に検証する必要があるといえます。
※旅行・観光消費動向調査の2018年年次報告書より引用
静岡県はモノもコトもポテンシャルが高いので、企画内容によってはどんなターゲットでも狙える可能性があります。
しかしながら現状の静岡県は自発的に外国人が訪れるというよりは、
ゴールデンルート(一般的に成田国際空港から入国して関西国際空港から出国する、または関空→成田などでの旅行日程)
の中間地点であることから、旅行代理店からも“仕方がなく”移動時のハブとして静岡を利用している”という事実も課題の一つです。
また、2020年のオリンピック・パラリンピック終了後も、
継続的な静岡への来訪者を増やしていくためには、
インバウンド需要に応えるだけではなく、
人口減少と言う大きな課題を抱えている日本国内でのファン化も必要となります。
静岡県内での具体的な取り組み
富士山静岡空港では韓国便を運航している会社LCC(格安航空会社)に変化したことをきっかけに、到着客を静岡県内各地へ導く導線が構築されてきています。
また、レンタカーなどへのカーナビの外国語対応(特に新製品で韓国語やタイ語にも対応)したことで、伊豆半島や富士山周辺、浜名湖などへのアクセス者も増えていることが確認されており、インフラについては取り組みが充実していることがうかがえます。
インバウンド需要取り込みへの提案
新幹線も通っており、静岡へのアクセスはとても便利であることから、
今後はまずいかに長く滞在してもらうか?、どの国からどんな人を呼ぶのか。
そしていかに顧客単価をいかに上げてお金を落としてもらうかが重要と考えられます。
静岡県下における宿泊地で人気が高いのは浜松市、小山町、静岡市などですが、いずれもビジネスホテルが中心でリゾートホテルや温泉旅館などは富士山周辺や伊豆・熱海などしかなく市街には少ない状況です。
また宿泊地周辺施設においても観光施設が少なく、
静岡県下の地場密着企業がプロデュースする体験施設やミュージアムなどがあると、より静岡が活況になっていくのではないかと感じます。
※旅行・観光消費動向調査の2018年年次報告書より引用
インバウントを取り込む方法は意外と難しくはない?
浜松市のホテルオーナーから興味深い話を聞くことが出来ました。
来日した外国人は東京~大阪間の移動の合間に静岡へ宿泊しますが、
新幹線の止まる駅で、静岡よりも浜松に宿泊する外国人(特に中国人観光客)が非常に多いそうです。
静岡と浜松では宿泊料の違いは少なく、また駅前のホテルの距離なども大差がありません。
なぜ浜松なのか?静岡駅になく浜松駅にあるものとは?
オーナーの話では『ビックカメラがあるから』ということでした。
ビックカメラは外国人観光客に人気のショップの一つですが、
たしかに都内の店舗では人も多く、また敷地面積が限られているため移動も不便です。
しかし浜松店では駅前ながら売り場面積も広く、悠々と買い物ができます。
地場産業で何かしなければならないというのは漠然としてますが、
こうした話を聞くと、意外ときっかけ一つで変わるのではないかと感じるものがあります。
『宿泊する理由』をつくる
ビックカメラのような人気ショップを静岡に誘致しようということではなく、
一つの施設がインバウンド観光客にとって『宿泊する理由』になり得ることを検証していく事が必要です。
大事なのは、今ある資源とリソース、土地や環境を活かした“企画・プランニング”が重要であり、地元の有識者や土地オーナーだけではなく、外部のプロ(など第三者)を入れて客観的に街づくりをすることが、静岡の「観光力」を上げる一因となります。
EXPACTでは、静岡県下において様々なテナント誘致や遊休地の企画開発を行えるプロが在籍しています。
静岡と言う街に何か有益なものを作りたい、
社会的意義のある何かを作りたいという方、
ぜひ1回ご相談下さい。
EXPACT COO
赤澤 宣明