【事業承継・引継ぎ補助金】最大600万円!M&Aを強力に支援する補助金4つの注意点とは?
事業再編・事業統合等に伴う中小企業者の経営資源の引継ぎを後押しするために「事業承継・引継ぎ補助金」があります。※令和3年度から「経営資源引継ぎ補助金」は「事業承継・引継ぎ補助金」となりました。
事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業や小規模事業者が円滑に事業承継やM&Aを行えるよう支援するための制度です。この補助金の独自の特徴と最新の公募情報について詳しく説明します。
目的
事業承継・引継ぎ補助金の主な目的は、事業承継を機に中小企業が新しい取り組みを始めたり、事業再編・統合によって経営資源を引継ぐ支援を行うことです。これにより、日本の中小企業の持続可能な発展と雇用維持を促進します。
補助対象
補助金は主に以下の3つの事業に分かれています:
- 経営革新事業:新しいビジネスモデルの構築や新製品開発を支援
- 専門家活用事業:M&Aや事業承継に必要な専門家の活用を支援
- 廃業・再チャレンジ事業:廃業に伴う費用や再チャレンジのための取り組みを支援
補助率と上限額
各事業には異なる補助率と上限額が設定されています。
- 専門家活用事業:補助率は2/3または1/2、上限額は600万円
- 経営革新事業:補助率は同じですが、上限額は事業内容に応じて変動
- 廃業・再チャレンジ事業:補助率は同じで、上限額も事業内容次第
事業承継・引継ぎ補助金の対象企業と補助額
申請類型 | 補助対象 | 補助率※1 | 補助上限 |
---|---|---|---|
①経営革新 | 経営資源引継ぎ型創業や事業承継(親族内承継実施予定者を含む)、M&Aを過去数年以内に行った者、又は補助事業期間中に行う予定の者 | 1/2・2/3 | ~600万円 |
1/2 | 600万~800万円※2 | ||
②専門家活用 | 補助事業期間に経営資源を譲り渡す、又は譲り受ける者 | 1/2・2/3 | ~600万円 ※M&A未成約の場合は~300 万円 |
③廃業・再チャレンジ | 事業承継やM&Aの検討・実施等に伴って廃業等を行う者 | 1/2・2/3 | ~150万円 |
※1補助率は、補助対象の要件により異なる。
※2一定の賃上げを実施する場合、補助上限を600万円から800万円に引き上げ。
対象となる経費
対象となる経費は多岐にわたります。例えば、M&Aに関連する専門家の費用、事業承継後の設備投資や販路開拓費用、さらには廃業に伴う費用などです。
特徴
- 既に事業承継を完了した企業も対象:承継後の事業再編や設備投資も支援対象となる場合があります。
- 専門家の利用が必須:M&A支援機関登録制度に登録された専門家を利用することが条件となる場合があります。
- 電子申請対応:全ての手続きは電子申請(Jグランツ)を通じて行われます。
支援体制
全国各地の「事業承継・引継ぎ支援センター」が補助金に関する相談や申請支援を行っています。これにより、事業者が直面する問題に迅速かつ適切に対応できます。
申請期間
この補助金は年度ごとに複数回の公募が行われ、それぞれ申請期間が設けられています。一度の公募で複数の事業を申請することも可能です。
10次公募の概要
2024年7月1日から10次公募が開始されました。今回の公募には以下の特徴があります。
- 専門家活用枠のみ実施:経営革新枠や廃業・再チャレンジ枠は設けられていません。
- 短い事業期間:補助事業期間は交付決定日から2024年11月22日(金)までと非常に短くなっています。
- 申請受付期間:2024年7月1日(月)から7月31日(水)17:00までです。
補助率と上限額
専門家活用枠
- 買い手支援類型(Ⅰ型):補助率は3分の2以内、上限600万円
- 売り手支援類型(Ⅱ型):補助率は2分の1または3分の2以内、上限600万円
- 廃業費上乗せ:いずれも廃業費として最大150万円の上乗せが可能
補助対象は、補助事業期間に経営資源を譲り渡す、又は譲り受ける者であり、M&A未成約の場合は~300万円となります。
9次公募の採択結果と考察
2024年6月4日に9次公募の採択結果が公表されました。以下はその概要です:
- 総採択件数:522件(申請853件中)
- 採択率:約61.2%
内訳:
- 経営革新枠:233件採択(申請388件、採択率約60.1%)
- 専門家活用枠:275件採択(申請440件、採択率約68.8%)
- 廃業・再チャレンジ枠:14件採択(併用申請25件中、採択率56.0%)
9次公募から垣間見える10次公募の考察
- 高い採択率:9次公募の全体採択率は約61.2%と高め。8次公募よりもやや上昇しています。
- 専門家活用枠の人気:専門家活用枠の採択率が最も高く、約68.8%となっています。10次公募でも専門家活用枠のみの実施が決定されたのは、この人気を反映しています。
- 短期集中型の10次公募:10次公募は非常に短い事業期間が設けられており、事業者はこの短い期間で確実に事業を完了できるか慎重に検討する必要があります。
- 採択のチャンス:過去の採択率を見ると、十分な準備を行えば採択される可能性は比較的高いです。競争率が上がる可能性も考慮して質の高い申請書を作成することが求められます。
- 専門家の活用:補助金制度の専門家や認定支援機関に相談することで、申請前後のサポートを受けられる可能性があります。これにより採択率を上げる効果が期待できます。
まとめ
事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業の事業承継や経営資源の引継ぎを支援する重要な制度です。10次公募に申請を検討している事業者は、以下の点に特に注意してください:
- 短い事業期間を考慮し、実現可能な計画を立てる:現実的かつ具体的な計画を練ることが重要です。
- 専門家活用枠の特徴を理解し、適切な申請を行う:補助金制度を最大限に活用するためには、詳細な理解が不可欠です。
- 過去の採択傾向を参考にし、質の高い申請書を作成する:競争率が高まる可能性もあるため、準備は入念に。
- 専門家や認定支援機関のサポートを受ける:成功率を高めるために、専門家の助けを借りることが推奨されます。
しっかりとした準備と計画があれば、採択の可能性を高めることができるでしょう。