
3つの法人印鑑の違いとは?
法人印鑑には、「実印」、「銀行印」、「角印」の3つがあります。実印は、代表者印、会社実印、法人実印、丸印などとも呼ばれ、契約書や法務手続きなどに使用されます。法人登記を変更することも可能なため、非常に重要な印鑑です。
銀行印は、取引口座を開設する際に必要な印鑑であり、金融機関届出印としても呼ばれます。また、法人銀行印には「会社名」と「銀行之印」という刻印が彫られます。角印は、社印とも呼ばれ、ビジネスシーンで日常的に使われます。
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起業して会社設立する際にどのような印鑑が必要になるのかというと、とりあえずは最低限一つの印鑑が必要となります。
設立登記の際に管轄法務局に代表者印(法人実印)の届出義務があるためです。
印鑑届出の目的
会社や法人の代表者(例:代表取締役、代表社員など)は、会社の本店がある場所を管轄する法務局に印鑑を届け出る必要があります。これは商業登記法(第20条)に基づく要件です。
法務局に提出された印鑑は「会社届出印」、「会社実印」、「代表者印」と呼ばれ、会社または法人の登記申請の際には、申請書に押印されます。印鑑とその詳細を法務局に提出することで、それが登録され、印鑑証明書が発行されるようになります。
ここでは一般的に用意しておくことをお勧めする3つの印鑑について利用目的や効力を解説していきます。
会社設立時に準備しておきたい法人印鑑
法人の届出印は、会社設立時に準備することが推奨されています。特に、実印(代表者印、会社実印、法人実印、丸印)、銀行印(銀行届出印、金融機関届出印)、角印(社印)の3つは、起業する際に最低限準備しておくべきです。
定款作成時に出資者個人(法人)の実印を使用し、設立後に使用する予定の法人印鑑は、法務局に申請する段階で使用します。
実印:(代表者印、会社実印、法人実印、丸印)
銀行印:(銀行届出印、金融機関届出印) 角印:(社印) |
起業して会社設立時に最低限準備しておくことをおすすめする印鑑は、実印、銀行印、角印の3つです。
代表印は丸、社印は四角というのは単なる慣例であり、角印も法律で形状が定められているわけではありません。印鑑は3cmの正方形に収まるもので、照合に適している必要があります(つまり、単純すぎたり複雑すぎるものは認められません)。
一般的には、直径が18mmまたは21mmの丸印が使用され、外側に会社名が彫られ、内側に代表者の肩書が彫られています。ただし、要件を満たす印鑑であれば、どれでも提出できます。
起業して会社設立する際には、とりあえず3つの印鑑(実印、銀行印、角印)を用意することをおすすめします。
今はECなどで3本セットで安く購入できますので、必要な方は探してみてください。
印鑑をデザインするSirusi
▼デザイン性の高いサイファー印も登場
「サイファー印」とは、デザイン性を重視した印鑑の一種であり、「cipher(暗号)」という意味を持ちます。
この印鑑は、文字同士が繋がりあい、円を作り、文字というよりも不思議な暗号のようなデザインが浮かび上がるようにデザインされています。サイファー印は、会社や事業の屋号で作成されることが多く、文字としての実体を隠しながらも、前衛的でアーティスティックな印鑑デザインとなっています。
「印グラフィー」という名称で販売されているこの印鑑は、モダンなタイポグラフィーを取り入れたデザイン印鑑であり、デザインはこれまでに50万本以上の作成実績があるデザイナー、またはその監修を受けたデザインのみが商品として提供されています。 また、この印鑑は実印や銀行印としても利用可能であり、印鑑作成前のデザイン確認ができ、印鑑10年保証が付いているそうです。
それでは、それぞれの利用目的や効力について詳しくみていきましょう。
実印(代表者印、会社実印、法人実印、丸印)
実印は、代表者印・会社実印・法人実印・丸印などとも呼ばれることがあり、本店所在地を管轄する法務局に登録してあるものが会社の実印になります。
法務局で会社設立の手続をする際に、登録手続をする。
形式的には、法人登記を変更することも可能なとても大切な印鑑であり、実印が押されている書類は、その会社が正式な意思決定に基づいて捺印したものとして扱われます。
実印は会社を代表して使う印鑑ではあるのですが、会社の代表者の個人名は入りません。
会社自体が存続している時に、会社の代表者が交代することもあるためです。
基本的には、丸い印面の中に2重枠で作られることが多いのですが、その外枠には会社名などが入れ、内枠には、代表取締役印といった一般的に定款に記載する代表者の役職名を彫刻することが一般的です。
実印には、18㎜の丸印を用いることが多いが、実印は丸で、後述する社印は四角というのは単なる慣例であり、法律で形状が決められているわけではありません。
とても重要な印鑑で、一般的には厳密に保管されています。
会社を経営する上で、法律上必ず必要とされている印鑑は実印だけですので、日常的に業務で使うために、他の印鑑を作ることをおすすめします。
銀行印(銀行届出印、金融機関届出印)とは?
銀行印は、取引口座を開設する際に、銀行(金融機関)に届け出る印鑑です。
銀行印は、銀行届出印・金融機関届出印などとも呼ばれます。
預金の払い出しは勿論のこと、小切手・手形の発行にも必要となる銀行印は、実印同様、とても大切な法人印です。
会社を設立したばかりで、自分一人で様々な手続きを行っているうちは会社実印と法人銀行印が同一のものでも困ることはないでしょう。
銀行印と通帳さえあれば、金融機関で預金の引き出しができるため、必要に応じて経理担当者に預けることもあるが、金銭的な不正を防ぐためには、「一定額以上の送金・出金手続には役員の承認が必要」等、厳しい内規を定めておくとよいですね。
また、会社の実印(代表者印)を銀行印として届出することももちろん可能ですが、一般的には、会社の実印とは別に銀行印をつくります。
会社実印と法人銀行印が同じものだと、その唯一の印鑑が紛失した場合、あるいは盗難にあった場合、会社としての意思決定も、会社のお金を管理することもできなくなってしまいます。
また、上述のように、会社の実印は極めて効力が大きい印鑑であり、銀行印と同一にしてしまうと悪用のリスクが高まるからである。
角印(社印)とは?
角印は、日常的に多く使う印鑑で、社印などとも呼ばれることがあります。
「○○株式会社之印」というように記載され、会社の「認印」というと、この印鑑のことをいうことが多いです。
領収書、見積書、請求書など、実印を押すほどではない書類に押印が必要な場合に利用されます。
認印とはいえ、契約書に角印を押印した段階でその契約は有効になるため、社内での保管、管理には注意が必要です。
社員の誰もが捺印できるものであってはなりません。
角印に決まった形式はありませんが、一般的には正方形の四角い形状をしていることが多いです。
法人印鑑の使い分けについて
法人印鑑の中でも、特に実印と銀行印の使い分けは重要です。実印は契約書や法務手続きなど、重要な書類に使用されますが、銀行印は取引口座開設や手形、小切手などで使用されます。実印は法人登記に必要であり、登録後にはその会社の実印になります。
一方、銀行印は金融機関に届け出る必要があり、外側の円には「会社名」、内側の円には「銀行之印」という刻印が彫られます。
角印は、会社名だけが刻まれたシンプルな印鑑で、日常的な書類に使用されます。ただし、実印や銀行印とは異なり、法的効力を持たないため、重要な契約書などに使用することは避けるべきです。
3つの法人印鑑、「実印・銀行印・角印」は、それぞれ異なる使い方や効力を持っています。
法人の届出印を作成の注意点
一般的な法的要件
印鑑の使用は、契約、証明書、その他の法的文書において、署名の代わりまたは補完として広く受け入れられています。しかし、印鑑の形状、サイズ、デザインには一般的な法的要件があります。
法人用の印鑑として登録しなければ、法人の印鑑としての効力を持ちません。どのような印鑑が法人用の印鑑に適しているかについては、上記記載の内容を確認してください。
以前は商業登記法第20条で印鑑届出書の提出が義務付けられていましたが、令和3年(2021年)2月15日に商業登記規則が改正され、オンラインで登記申請した場合は、印鑑届書の提出が任意になりました。一方で口座開設や銀行融資の際には必要となりますので作成と登録をしておくのが無難です。
印鑑の文字が読めなくても、法人印の効力には影響はありません。
印鑑は、法人の重要な契約や法的手続きなどで使用されるため、その存在自体が重要です。印鑑の文字は、印鑑登録をした際に彫刻されるため、読めなくても問題ありません。
重要なのは、印鑑が正式に登録されていることです。印鑑登録をすることで、法的な効力を持つ会社の実印となります。
印鑑の形状や彫刻される内容は、法人の種類や用途によって異なります。代表者印や会社銀行印など、さまざまな種類の法人印がありますが、文字が読めなくても正式に登録されていれば有効です。印鑑は3cmの正方形に収まるもので、照合に適している必要があります(つまり、単純すぎたり複雑すぎるものは認められません)。
一般的には、直径が18mmまたは21mmの丸印が使用され、外側に会社名が彫られ、内側に代表者の肩書が彫られています。ただし、要件を満たす印鑑であれば、どれでも提出できます。
ただし、印鑑の管理や保管には注意が必要です。印鑑の紛失や盗難による不正使用を防ぐため、適切な管理体制を整えることが重要です。
法人印鑑は通常5種類があり、それぞれの用途や形状が異なります。書類や手続きによって使い分けることが重要です。
会社を設立する際や法人成りをする際には、実印・角印・銀行印と呼ばれる印鑑3点セットを準備することが推奨されます。
金融業界における印鑑利用について
金融機関での印鑑使用に関する規制の詳細は以下の通りです:
- 銀行印は金融機関に届け出る必要がある、財産に関する重要な印鑑です。
- 金融機関が照合・確認した場合には、当該印鑑を適切に管理することが求められます。
- 銀行口座開設や手続きに使用される会社銀行印には、他の法人印鑑を会社銀行印として利用することもできますが、盗難や紛失リスクを避けるため、他の印鑑とは別に作成するのが一般的です。
- 例えば、実印は公的な第3者機関が認めている印鑑として、信頼性の点で他の印鑑を上回ることが確かです。この違いが契約後にトラブルが生じた際にどの程度影響するかはケースバイケースですが、重要な契約であれば認印ではなく実印を、印鑑証明書を添付の上用いることをお勧めします。
以上のように、金融機関での印鑑使用には、印鑑の適切な管理や届出が求められます。
医療業界における印鑑利用について
医療業界での印鑑使用に関する規制について、詳細を以下にまとめます。
- 医療記録や処方箋に使用される印鑑には、特定のガイドラインと規制が適用されることがあります。
- 医療機関で使用される印鑑には、医療法に基づく厚生労働省の指針に従って、医師の名前や所属医療機関名などが刻印されることが求められます。
- 医療機関で使用される印鑑には、印鑑登録が必要であり、登録された印鑑以外は使用できません。
以上のように、医療業界での印鑑使用には、特定のガイドラインと規制が適用され、印鑑登録が必要であることが求められます。
印鑑の素材のバリュエーションやコスパについて
印鑑の素材のバリエーションやコスパについては、以下を参考にしてください。
印鑑の素材のバリエーション
- 石材(銀行印や実印に使用されることが多い)
- 木材(和風のデザインに適している)
- 樹脂(軽くて扱いやすい)
- 金属(高級感があり、耐久性が高い)
- ゴム(手軽に作成できるが、耐久性には限りがある)
コスパ的におすすめの素材
- 樹脂やゴムの印鑑は比較的安価であり、シャチハタや社判など比較的重要性が低い、また初めての印鑑や予備の印鑑として適しています。
- 石材や木材の印鑑は、高級感や風合いがありますが、価格が高めです。
- 金属の印鑑は耐久性が高く、摩耗しないため長期間使用する場合におすすめですが、価格が高い傾向にあります。
以上の情報を考慮すると、コスパ的には樹脂やゴムの印鑑が安いです。
しかし、素材の選択は個人の好みや使用目的によって異なるため、自分に合った素材を選ぶことが重要です。
電子印鑑も選択肢の一つ
電子印鑑とは、パソコンなどからPDFファイルなどの電子文書へ捺印できる『印鑑データ』のことをいいます。クラウドで捺印することが可能になるため、時間や場所を選ばず、スムーズな捺印が可能になります。無料サービスも多数出ていますが、無料で作れるものは悪用が容易にされてしまうことや、認証能力が低いと判断されることもありますので、取引先の信頼を得るためにも有料サービスがおすすめです。
電子印鑑の制度は現在整備中でもあります。注意しておきたいのは、先に紹介した代表印や角印と法的効力に差はないとされているものの、印鑑の役割は、「本人性の証明」と「書類の非改ざん性の証明」であること、つまり契約なり受発注なり押印する書類内容を会社として認めるという証になりますので、ビジネスでのやり取りに使用する際にはセキュリティ面が担保された電子印鑑を使用しましょう。
無料でWordやExcel、PDF文書に電子印影を押印したい場合
WordやExcelの場合、オーソドックスな作り方はメニューの「挿入」から「テキストボックス」を選択し、テキストボックスに名字等文字を記載(印鑑と同様縦書きが基本です)。大きさなどを調整し再度「挿入」から「図形」に進み、楕円を選択すると、名字が印鑑の形になりますので、あとは色を入れて印鑑のように仕上げれば完成です。
PDFの場合、「Acrobat Reader」での押印が便利です。PDFファイルを開き、メニューにある「注釈」から「スタンプ」を選択して名字を登録するだけです。「スタンプ」機能の中に電子印鑑のひな型が用意されていて「承認済」などバリエーションが豊富なので、使い勝手が良いです。「スタンプパレット」機能を使えば、名前や社名などをカスタマイズして独自の印影も作成できます。
注意点
- 会社または法人に複数の代表者がいる場合、すべての代表者が印鑑を届け出る必要はありません。代表者のうちの1人が印鑑を届け出れば十分です。
- 複数の代表者が印鑑を届け出る場合、各代表者は異なる印鑑を届け出る必要があります。
- 印鑑(改印)届書に添付する印鑑証明書は、過去3か月以内に発行された原本でなければなりません。
- 印鑑を法務局に提出した後、印鑑証明書を請求するには「印鑑カード」が必要です。印鑑カードは、印鑑カード交付申請書に所定の事項を記入し、会社・法人の届出印を押したものを管轄の法務局に提出することで取得できます。
- 印鑑(改印)届書には、会社または法人の名前、本店の場所、代表者の資格、名前、生年月日などが記載され、本店の場所を管轄する法務局に提出されます。支店がある場合でも、支店の場所を管轄する法務局に印鑑を届け出る必要はありません。
まとめ
法人印は何のためにあるかというと、『証明』です。会社の設立や各契約や受発注の書類が本物であることの証明になるので、役所でも取引先でも相手に合わせた対応ができることが望ましいです。電子印鑑のみで対応しようと思っていても取引先が導入していなければ契約を交わすことができませんので、将来的には電子が中心になっていきそうではあるものの、紙でも電子でも対応できるよう会社設立時に準備出ていることがベストですね。
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