2022年・政府策定『デジタル原則』で注目。規制廃止をビジネスチャンスに変える事業とは?
2021年12月、官民で共通の指針となる「デジタル原則」が策定されました。デジタル社会の実現に向け『デジタル庁』が発足していますが、書面の提出や対面、目視を義務付ける規制や制度を廃止する方向で、法律や政省令、通達など4万件を点検し、今後3年間の集中改革期間に見直しを終える方針が発表されています。
そもそもデジタル原則とは
デジタル原則とは、デジタル社会の実現に向けた構造改革のための原則となります。
(1)デジタル完結・自動化原則
(2)アジャイルガバナンス原則
(3)官民連携原則
(4)相互運用性確保原則
(5)共通基盤利用原則
以上の5つから構成されます。2022年春頃を目途に、現在の規制業務の見直しやデジタル化への詳細が発表される見込みで、こういった変化に伴うニーズに対してスタートアップや中小企業などは新規事業戦略を考えるようになる可能性があります。デジタル原則は現在の規制の枠にとらわれずあらゆる事業活動についてデジタル化を前提に考えることを示唆しているため、根本的に業界構造が変わるような変化も今後見られそうです。
「デジタル原則」の示す書面提出や対面配信とは
例えば、ハローワークでの失業認定の場合、実際にハローワークに出向き、対面での会話、各種書類の提出を紙で、押印は印鑑で実施していました。これをオンライン面接や電子署名を活用し、取り掛かれるものは2022年1月から順次改め、規制や制度、法改正の方向性が取りまとめられます。
これはすでに民間や行政でも取り組みが進んでおり、比較的イメージしやすい内容かと感じます。
「デジタル原則」の示す目視義務付けの規制廃止とは
例えば、構造物(ビルやマンション、高速道路や橋など)の点検の場合、目視や打音による点検が行われており、必ず人が(資格者が監督し)点検することが義務付けられています。また工事現場などにも特定の資格を持った人を配置する決まりがあります。これを高精度カメラやドローン、人工知能(AI)による画像認識で解決する案が出ています。
「デジタル原則」による企業への影響とは
デジタル化による影響はすでにさまざまなところで出ていますが、今後より加速することが予測されます。
”AIによってなくなる仕事”などが一時期話題になりましたが、事務員や銀行員、警備員や建設作業員、コンビニ店員、タクシー運転手などの職業が挙げられており、2022年から早ければ人員削減などの影響が出るかもしれません。
「デジタル原則」をビジネスチャンスに変える
弊社ではドローン事業を展開していますが、前述の目視や点検事業において、大きなビジネスチャンスがあると感じています。ドローンの利活用においては土木・建築分野などでも強いニーズがあり、ドローン測量(ドローン空撮、対空標識+GPS測量、クラウド処理)を中心に、様々な現場で活用が始まっています。
ドローンの提供価値は、「省人化」による「コスト削減」、と「人間が見えないものを可視化すること」で、日本の労働人口は減少傾向である中で、人が行くと立ち入りが危険な場所にドローンが代わりに展開することで、危険作業や状況把握等を安全に遂行することが可能となります。
2021年のインプレス発表資料では、2020年度の日本国内ドローンビジネスの市場規模は1,841億円と推測され、2019年度の1,409億円から432億円増加しています。(前年度比31%増)。2021年度には前年度比25%増の2,305億円に拡大し、2025年度には6,468億円(2020年度の3.5倍)に達すると見込まれる成長市場となります。
農業、土木・建築、点検、公共といった分野では、ドローン活用の効果が明確化してきており、社会実装段階に進みつつあるとともに、点検領域においては、2025年度に1,625億円と最大の市場規模となっています。
今後は橋梁、鉄塔、基地局、発電施設、プラント、工場やビル、船舶といったインフラや設備点検の現場では引き続きドローンの活用が普及していくと見込まれており、インフラや設備点検分野での利用は拡大傾向となっています。
特に小型ドローンを活用した点検は、従来の人による点検が困難であった点検を可能にし、ドローンが専門的に行う新たな点検分野市場として大きな拡大が期待されています。
まとめ
新規事業やスタートアップにおいて、いま注目されている業種の一つが「ドローン」です。『デジタル原則』によってますます注目度が高まる産業となる可能性が高いです。
EXPACTでは、スタートアップ、ベンチャー企業のドローンでの新規事業支援、資金調達、事業拡大・効率化に伴うM&A、事業承継や事業再生などの助言業務を行っており顧客視点で最善のアドバイスを実施させていただきます。些細なことでも話を聞いてみたいという方は気軽にお問い合わせください。