地方創生のための企業・自治体向け補助金『地域活性化起業人(企業人材派遣制度)』とは
『地域活性化起業人』(企業人材派遣制度)という総務省が主導の企業向け助成制度があります。地方公共団体が、三大都市圏に所在する民間企業等の社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を活かしながら地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらい、地域活性化を図る取組を特別交付税措置となります。
今回は地域活性化起業人についての記事になります。
地域活性化起業人(企業人材派遣制度)とは
総務省が令和元年に発表した「地方創生の現状と今後の展開」の中で、少子高齢化と人口減少が進む日本において、東京圏への人口の過度の集中の是正、また地域での住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくためのまち・ひと・しごと創生を総合的に支援していくことが明文化されています。以前は「地域おこし企業人」というネーミングでしたが、内容に大幅なメスを入れ刷新されたものになります。
新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける地方への救援策にもなりそうで、ここ数年で急激にリモートワークやテレワークも定着していることから、若者の地方移住への関心も高まっており、地域活性化の課題解決として期待されています。
地域活性化起業人(企業人材派遣制度)の概要
三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)に勤務する企業の社員が、そのノウハウや知見を活かし、一定期間、地方自治体において、地域独自の魅力や価値の向上、安心・安全につながる業務に従事することに対し特別交付税措置を行い、地域活性化を促す支援を行うものです。
地域活性化起業人(企業人材派遣制度)の対象者
対象は”三大都市圏に所在する企業(の社員)”と”1429の地方自治体”です。
企業と自治体が契約を行い、民間企業の社員を自治体に派遣します。
自治体にとっては、民間企業で培われた専門知識・業務経験・人脈やノウハウを活用して外部の視点・民間の経営感覚・スピード感覚を得ながら地域の取組を展開できる点がメリットです。
企業にとっては多彩な経験を積ませることによる若手の人材育成やキャリアアップ、また経験豊富なシニア人材の新たなライフステージを発見できるなどのメリットがあります。三大都市圏に勤めながらも社会貢献マインドを持った社員の新しい働き方も見つかるかもしれません。
自治体向けの補助金はこちらも参照ください。
地域活性化起業人(企業人材派遣制度)の支援額は
〇派遣元企業に対する負担金など起業人の受入に要する経費
上限額:年間560万円/人
〇起業人の受入準備経費
上限額:年間100万円(措置率50%)/団体 (派遣元企業に対する募集・PR、協定締結のために必要となる経費)
〇起業人が発案・提案した事業に要する経費
上限額:年間100万円(措置率50%)/人
期限は6ヵ月~3年となっています。
地域活性化起業人(企業人材派遣制度)の実績は
受け入れ自治体数は令和2年度の実績では98となっています。
年度 | 受入自治体数 | 企業人数 |
---|---|---|
平成26年度 | 17 | 22 |
平成27年度 | 25 | 28 |
平成28年度 | 32 | 37 |
平成29年度 | 50 | 57 |
平成30年度 | 56 | 70 |
令和元年度 | 65 | 95 |
令和 2年度 | 98 | 148 |
また自治体でも栃木県矢板市や岩手県釜石市など多くの自治体で、「地域のデジタル化」や「観光まちづくり」を推進するための採用実績や募集をホームページで公表しています。
企業側も、リクルートやソフトバンクといった上場企業からスタートアップやベンチャー企業まで幅広い業種業態の企業で活用されています。