愛知県スタートアップエコシステム最前線
―ステーションAI、Central Japan、テックガーラを中心に―
愛知県は、世界有数の「ものづくり」集積地という強みを活かし、スタートアップを起爆剤とした新たなイノベーション創出に積極的に取り組んでいます。その中心となるのが、2024年に開業した「ステーションAI(STATION Ai)」、広域連携の「Central Japan Startup Ecosystem」、そして新たな国際イベント「テックガーラ(TechGALA Japan)」です。それぞれの特徴と、愛知が目指すスタートアップエコシステムの全体像を紹介します。
ステーションAI(STATION Ai)―日本最大級のスタートアップ拠点
2024年10月、名古屋市昭和区に国内最大級のインキュベーション施設「STATION Ai」が誕生しました。延床面積23,000㎡、地上7階建てのこの拠点には、すでに500社を超えるスタートアップと200社以上の大企業・VC・支援機関・大学が登録。2029年までに1,000社の入居を目指し、国内外のイノベーションプレイヤーが集うハブとなっています。
主な特徴
- スタートアップの創出・育成、地域企業とのオープンイノベーションを促進
- コワーキングスペース、個室、テックラボ、イベントスペース、宿泊施設、託児所など多彩な機能
- ソフトバンクグループが運営に参画し、グローバルネットワークとノウハウを活用
- 施設内の運営や設備にも、AI画像解析やデジタルツイン、サステナブル家具など最先端技術を積極採用
- 創業前からアーリーステージの起業家を支援する「PRE-STATION Ai」も2020年から稼働
STATION Aiは、愛知県が2018年に策定した「Aichi-Startup戦略」の根幹をなすプロジェクトであり、県内全域のパートナー拠点と連携しながら、スタートアップ・エコシステムの形成を推進しています。
Central Japan Startup Ecosystem ―中部広域連携と「J-Startup CENTRAL」
愛知・名古屋、浜松など中部圏は、「Central Japan Startup Ecosystem Consortium」を組織し、2020年には内閣府から「グローバル拠点都市」に選定されました。
特徴
- 中部経済連合会、名古屋大学、愛知県、名古屋市、浜松市など産官学が連携
- ものづくり産業と基礎研究の集積を活かし、ディープテック分野で世界水準のスタートアップ・エコシステムを形成
- 有望なスタートアップを「J-Startup CENTRAL」として選定し、2024年時点で44社を集中的に支援
- 大企業や投資家とのマッチング、PR支援、アクセラレーションプログラム優先参加など多面的なサポート
この連携により、愛知発のスタートアップがグローバルに羽ばたくための土壌が強化されています。
テックガーラ(TechGALA Japan)―新たな国際交流と発信の場
2025年2月4日~6日、名古屋市を中心に「TechGALA Japan(テックガラジャパン)」が初開催されます。
イベント概要
- Central Japan Startup Ecosystem Consortium主催
- 国内外の起業家・投資家・事業会社約300名が集結
- カンファレンス、ピッチコンテスト、ハッカソン、ネットワーキングなど多彩なプログラム
- 「地球の未来を拓くテクノロジー」をテーマに、先進技術・サステナビリティ・社会課題解決を議論
- 会場はSTATION Aiやナゴヤイノベーターズガレージなど、エコシステムのハブ施設
このイベントは、愛知・中部圏のスタートアップコミュニティを国内外に発信し、さらなる人材・資金・情報の流入を加速させる役割を果たします。
愛知県スタートアップエコシステムの今後
愛知県は「Aichi-Startup戦略」に基づき、県内全域でのスタートアップ・エコシステム形成を推進中。STATION Aiを中核に、パートナー拠点や支援機関が連携し、起業家の成長を地域全体で後押しする体制が整いつつあります。
- ステーションAIは物理的・人的ネットワークのハブ
- Central Japanは広域連携とグローバル展開の推進役
- テックガーラは発信と交流の新たな象徴
愛知県は、ものづくりの伝統と最先端テクノロジーを融合し、国内外から注目されるスタートアップエコシステムへと進化を続けています。今後も、多様なプレイヤーが集い、共創を生み出す「イノベーションの中心地」としての成長が期待されます。