「スタートアップの経営戦略」リバースイノベーションの意味とは?メリットや成功例もご紹介します!
「日本だけでなく海外でビジネスをしたい」「全国展開ではなく、海外展開も視野に入れている」
こうしたグローバルな考えをお持ちの起業家の方に向けて、スタートアップ経営の戦略の一つである「リバースイノベーション」をご紹介します。この記事では、リバースイノベーションとは何か、メリットや成功例についても解説しています。
これから起業を考えている方やスタートアップについて知識を深めたい方は、ぜひご覧ください。
リバースイノベーションの意味
「リバースイノベーション」とは、「規制のゆるい新興国や途上国に企業の拠点を持ち、そこで展開(開発)した事業や商品、サービスを先進国に輸入する」ことです。
この言葉は、2009年にダートマス大学のビジャイ・ゴビンダラジャン教授とクリス・トリンブル教授によって提唱されました。特にビジャイ・ゴビンダラジャン教授は、「最も影響力のある経営思想家」トップ50人を隔年で選出する、Thinkers50の中で第3位に選ばれている名誉ある思想家です。
リバースイノベーションは、「途上国で誕生した製品やサービスを先進国に逆輸入する」という意味で、従来のイノベーションのイメージを刷新した発想なんですね。
2000年代初頭まで、グローバル戦略の企業は「グローカリゼーション」という表現が主流でした。グローカリゼーションは、世界を意味する「グローバリゼーション(globalization)」と「ローカリゼーション(localization)」を組み合わせた言葉になります。世界的に売り出している商品(サービス)を、それぞれの国や地域に適応しながら販売する、という手法になります。
日本で言えば、任天堂が提供する「ポケットモンスター」が、キャラクターの名前を各国の言語に合わせていることが代表例に挙げられると思います。
2000年に突入すると、「グローカリゼーション」から「リバースイノベーション」に手法を変更する多国籍企業が増えていったのです。
リバースイノベーションのメリット
リバースイノベーションのメリットは主に3つ挙げられます。
1つ目は、国内企業として差別化できることです。
リバースイノベーションを取り入れることで、国内では生まれない新たな技術や商品、サービスを開発できます。この新しい発想は自社の強みとなり、他社と大きな差別化が図れます。
2つ目は、途上国や新興国の社会課題やニーズにより応えられることです。
国内で活動しているだけでは気づけなかったニーズを現地で把握することができ、効率的な経営が実現できるといえるでしょう。また、新興国に新たな雇用を生み出すことができ、経済市場の活発化や資金の有効な活用という観点からもより建設的に事業が展開できます。
3つ目は、海外向けの(多国籍企業)の成長戦略として適していることです。
国内で生産しそれを輸出する場合と比べて、より良質で低価格の商品を提供することができます。新たな技術や発想を得られるだけでなく、途上国や新興国のニーズにより応えられることができ、まさに「イノベーション」が期待できる戦略と言えるでしょう。またマーケットをグローバルに拡大することで企業価値向上にもつながると考えています。
リバースイノベーションの課題
メリットがある一方で、リバースイノベーションには課題も存在します。
1つ目は、既存の商品・サービスや事業戦略を転用しないことです。
既存の商品や戦略は、先進国のニーズを多く反映して開発されたものになります。そのため、リバースイノベーションでは、新たな資金や労力の発生を覚悟し、ゼロからイチを作り出すつもりで事業戦略を考えていくことが必要になります。
全く新しいアイデアを思いつくために、まずは、既存のスタートアップ企業がどのようなサービスを提供しているのか、調査するところから始めましょう。弊社が運営するSTARTUP LOGでは、資金調達を実施した企業がどんな事業を行っているか、要点を押さえてご紹介しています。twitterやfacebookからも手軽に見ていただけるメディアですので、スキマ時間にビジネスのヒントが得られます。ぜひご活用ください!
2つ目は、価格を下げるために機能性をカットしないことです。
新興国でのビジネス展開においては、完成されている商品・サービスを10分の1程度で売る必要があると言われています。しかし、コストを抑えるために単に機能を減らすことはリスクを伴います。価格を下げるために、機能を大幅にカットして低価格で販売した商品は顧客満足度も大幅に下がった事例もあり、現地で安く手に入る材料を応用して商品に組み入れたりするなどして、機能を出来る限り減らすことなくコストカットする手段を見つける努力が大切です。
3つ目は、対象国の文化や気候に配慮することです。
文化はその地域に深く根付いたものであり、人々のアイデンティティでもあります。日本で通用したことが海外でも応用できるとは限らないため、文化的背景に反しないよう気をつけるべきですね。また、雨や台風など、予測できない自然災害に見舞われることもあるでしょう。自然条件も考慮しながらプロジェクトを計画していくことが必要になってきます。
リバースイノベーションの成功例
次に、国内外の企業によるリバースイノベーションの成功例をご紹介します。
- 自動車部品メーカー大手の「デンソー」
デンソーは、ASEANに9割以上の現地人材で構成された開発拠点を設置しました。海外企業を含めた自動車部品業界の中で唯一のスタイルとなっています。地域に密着したコア技術の開発と、自社の現地人材を直接派遣した現地ニーズのヒアリングを実施しています。
具体的なサービスとして、渋滞の多い新興国の交通事情を考慮したバイク向けアイドリング機能や、高機能化のニーズを満たしたオート機能付きカーエアコンなどを提供しています。
(参考URL:https://fluphie.cloud/terms/5187)
- トイレ・お風呂などの水まわり製品を提供する「LIXIL」
ベトナムのハノイ建設大学と協力し、水を使わない循環型無水トイレシステム「エコ・サニテーション」の開発を進めています。水の確保が難しいベトナムの農村から着想を得て、し尿を安全に再資源化する仕組みづくりを試みているようです。
(参考URL:https://frontier-eyes.online/reverse-innovation/)
- ひげ剃り用のカミソリ”ジレット”を提供する「P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)」
P&Gは、アメリカでの市場シェアは80%以上と言われ、日本でもP&Gジャパンを展開しています。しかし、同社がインドに進出した際、低価格帯の製品をビジュアルを変えて販売してもヒットには至りませんでした。その理由を社内で調査したところ、「インドの男性が欧米の男性とは異なる方法でひげを剃っていること」を発見したそうです。
これを受けて、現地の人々に適応するような製品開発を進め、現地で製造することでコストを抑えました。さらに、現地の個人経営店を通じて流通する、インドの俳優をCMに起用するなどして、現地発の流通・販促を実施しました。
その結果、同社のインドでのカミソリのシェアは50%を超えることになったようです。
(参考URL:https://fluphie.cloud/terms/5187)
まとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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