スタートアップの新たな候補地、静岡県の挑戦
スタートアップを取り巻く環境は日々変化し、地方の新たな可能性が注目を集めています。そんな中、静岡県がスタートアップ支援に本格的に乗り出しました。2023年9月に「静岡県スタートアップ支援戦略」を策定し、県内でのスタートアップ創出・育成だけでなく、県外からの誘致にも力を入れる方針を鮮明に打ち出しています。さらに2024年5月に就任した鈴木康友知事は、スタートアップ支援を県政の重要施策と位置づけ、積極的に推進しているところです。
1. 充実する支援体制
静岡県では、スタートアップ支援の環境整備を急ピッチで進めています。特筆すべき取り組みとしては、次のようなものがあります。
- イノベーション拠点「SHIP」の開設
スタートアップや起業家、大学・研究機関、企業などが集まる拠点を整備。知見やネットワークを活かしたオープンイノベーションを促進する場となっています。 - スタートアップ支援ネットワーク「ふじのくに“SEAs”」の設置
県内外の企業や投資家、支援機関などが参加するネットワークで、連携・情報共有を通じてスタートアップをサポート。異業種同士のコラボレーションが生まれやすい仕組みづくりが進められています。 - スタートアップ ワンストップ相談窓口の開設
スタートアップに関する資金調達や販路拡大など、起業家が抱える様々な課題にワンストップで対応。起業準備から事業拡大まで、一貫して相談しやすい環境が整えられています。
県庁や市町が一体となったこれらの取り組みを通じて、静岡県は「スタートアップに選ばれる地域」への変革を急速に進めています。
2. 静岡県の魅力
スタートアップの拠点として、静岡県には多くの魅力が存在します。
- 豊かな自然環境
富士山、駿河湾、伊豆半島、浜名湖など、ダイナミックな自然環境が広がり、観光やレジャーはもちろん、農林水産業や観光関連のサービスとのコラボレーションも期待できます。 - 東京や名古屋、大阪からのアクセスの良さ
新幹線や高速道路で首都圏や関西圏とつながっており、ビジネスパートナーや投資家との接点が得やすい点も大きな強みです。 - 全国有数の「ものづくり県」としての産業基盤
楽器や自動車関連などの製造業で培われたノウハウを活かし、ハードウェア系のスタートアップや技術開発がしやすい環境が整っています。
こうした地域資源を活かして、静岡県ではスタートアップの実証実験を行いやすい環境を構築。地域課題の解決に取り組む起業家にとって、絶好のフィールドとなり得るでしょう。
3. 具体的な支援策
静岡県では、スタートアップの事業化を後押しするため、以下のような支援策を打ち出しています。
- Shizuoka Innovation DRIVE
県内フィールドを活用してビジネスアイデアの検証や試作品の実装支援を行う取り組み。地域企業との連携を図りながら、新サービスや新技術の社会実装をサポートしています。
- WAVES
自治体主催としては国内最大級の賞金額を掲げたビジネスプランコンテスト。優れたアイデアやビジネスモデルを有するスタートアップや個人を発掘し、資金面・ネットワーク面での支援を強化します。 - SDGsスタートアップ講座
環境ビジネスや社会課題解決型ビジネスの立ち上げ方を学べる講座を提供し、SDGs視点でのイノベーションを創出。世界的に注目されるサステナブルな取り組みを支援する仕組みも用意されています。
4. 鈴木康友知事のスタートアップ支援への取り組み
2024年5月に静岡県知事に就任した鈴木康友氏は、スタートアップ支援を県政の重要施策の一つとして位置づけています。
具体的には以下のような計画が進められています。
- ファンドサポート事業
新年度からスタートアップに対し資金を支援するファンドを立ち上げる方針。初期投資が必要な起業家にとっては、資金調達のハードルを下げる大きな一歩となります。 - 先端産業やスタートアップの誘致
県内各地の地域特性を活かした誘致策を展開。製造業とIT・先端技術が融合することで、新たな雇用創出と所得向上が期待されます。 - スタートアップエコシステムの構築
鈴木知事が浜松市長時代や山梨県で得たノウハウを活かし、県全体でエコシステムを形成。産学官金が連携し、スタートアップの創出からスケールアップまでを支える仕組みづくりを進めています。
5. 今後の展望
鈴木知事は「オールしずおか」で幸福度日本一を目指すビジョンを掲げ、その一環としてスタートアップ支援に力を注いでいます。今後はデジタル化やベンチャー企業の育成に注力しながら、静岡県の産業構造を転換し、競争力を高める戦略を推進していく見込みです。
スタートアップ支援が活発化している地方自治体は増えていますが、静岡県の強みは豊富な地域資源と製造業をはじめとした強固な産業基盤、そして鈴木知事のリーダーシップによる県の一体的な取り組みです。まだ取り組みは始まったばかりですが、これらの取り組みの相乗効果によって、近い将来、静岡県はスタートアップの新たな拠点として脚光を浴びることでしょう。
まとめ
- 静岡県がスタートアップ支援に本腰
2023年9月に「静岡県スタートアップ支援戦略」を策定し、支援拠点や相談窓口、ネットワークづくりを急拡大。 - 豊かな自然環境・高い製造業力・首都圏へのアクセスの良さ
スタートアップにとって魅力的な要素が揃っており、実証実験の場としても最適。 - 鈴木康友知事のリーダーシップ
2024年5月の就任以来、ファンドサポートや先端産業誘致、エコシステム構築などを推進し、「オールしずおか」での幸福度向上を目指す。
行政・産業界・地域社会が一体となって支援を行うことで、スタートアップ支援の“後進県”というイメージからの脱却を図る静岡県。今、地方から生まれるイノベーションに注目が集まっており、その最前線に静岡県が立つ日はそう遠くないでしょう。
スタートアップを目指す方々にとって、静岡県は今後ますます魅力的な選択肢となるはずです。ビジネスを創出・拡大するチャンスを探しているなら、ぜひ静岡県の取り組みにもアンテナを張ってみてはいかがでしょうか。