2025年に新設される子育て・育児関連の給付金とは?
2025年は、子育て世代にとって大きな転機となる年です。
共働きでも安心して育児に専念できるように設計された「出生後休業支援給付金」や、入学準備を力強くサポートする「セーブ・ザ・チルドレン 新入学サポート給付金」、さらなる拡充が予定されている「育児休業給付金」など――子どもを迎える家族や新入学を迎える子どもたちに向けて、新しい制度や給付金が次々と登場します。
今回は、2025年に新設・拡充されるこれらの給付金制度の概要や申請方法、支給要件などをまとめて解説。「知らなかった…」では済まされない大事なポイントが盛りだくさんです。制度を上手に活用して、家計や子育ての負担を少しでも軽くするきっかけにしてみませんか? ぜひ本記事を参考に、早めの準備で安心して2025年の新年度を迎えましょう。
セーブ・ザ・チルドレン 新入学サポート給付金 2025 New!
子どもの学ぶ権利を保障し、子どもたちが経済的な不安なく安心して新入学の時期を過ごせるように、新中学1年生と新高校1年生の新入学に関わる費用の一部を給付します(対象条件有)。
応募締め切り:2025年1月24日(金)正午
対象条件をご確認いただきお申し込みください。
給付金概要
- 新中学1年生:3万円
- 新高校1年生:5万円
- 募集人数:計1,000人
- 返還不要の給付金
申請期間
- 開始:2025年1月9日(木)正午
- 締切:2025年1月24日(金)正午
- 期間を過ぎた場合は一切受付不可
申請資格要件
基本条件
以下の3つすべてを満たす必要があります
- 申請時に日本国内在住で2025年4月に国内の学校へ進学予定
- 保護者の年間所得が設定された目安額以下
- 以下のいずれかの生活状況に該当
・本人または保護者に障害がある
・特定疾病の罹患
・きょうだいによる養育
・DV避難継続中
・年金受給なしで所得が基準の1/2以下
・日本語コミュニケーションが困難
・在留資格が不安定
・その他配慮が必要な状況
対象外
- 生活保護受給世帯
- 2025年4月以降に社会的養護下で生活予定の子ども
申請手続き
必要書類
- 住民票(子どもが記載されている世帯全員分)
- その他状況証明書類
申請方法
- 原則オンラインでの申請
- やむを得ない場合のみ郵送受付
出生後休業支援給付金 New!
2025年4月から新設される出生後休業支援給付金は、共働き・共育ての推進を目的とした新しい給付金制度です。これは、子供が生まれた直後の一定期間に、両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合に支給される新しい給付金です。
共働き世帯の増加を背景に、両親がともに育児に参加しやすい環境を整え、子供の健やかな成長を支援することを目的としています。
- 2025年4月から新設
- 産後パパ育休取得者が対象
- 休業終了日の翌日以降に申請可能
給付内容
- 休業開始前賃金の13%相当額を支給
- 育児休業給付金(67%)と合わせて給付率80%(手取り10割相当)
- 最大28日間の給付
支給要件
基本要件
- 休業開始前2年間にみなし被保険者期間が12ヶ月以上必要
- 賃金支払基礎日数が11日以上または就業時間が80時間以上の月が12ヶ月以上
取得期間と取得条件
- 男性:子の出生後8週間以内
- 女性:産後休業後8週間以内
- いずれも14日以上の取得が必要
男性の場合
- 子の出生後8週間以内に14日以上の育児休業取得が必要
- 28日を上限に2回まで分割取得可能
女性の場合
- 産後休業後8週間以内に14日以上の育児休業取得が必要
申請手続き
申請方法
- 原則として育児休業給付金または出生時育児休業給付金と併せて申請
- 休業終了日の翌日以降から申請可能
必要書類
- 配偶者の出生後休業取得証明書類
- 特例措置該当の場合は証明書類
- 休業開始時賃金証明関連書類
特例措置の詳細
以下の場合は配偶者の育休取得が不要です
- 配偶者が専業主婦(夫)
- ひとり親家庭
- 配偶者が自営業やフリーランス
支給スケジュール
申請期限
- 該当する休業の翌日から
- 子の出生日(出産予定日前の出生の場合は出産予定日)から2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで
育児休業給付金 New!
2025年4月からの新制度では、給付内容が大幅に拡充されます。
- 育休期間中の給付
- 2025年4月以降は申請期間が拡大
給付率と期間
- 休業開始から180日目まで:賃金の67%
- 181日目以降:賃金の50%
- 2025年4月から一定条件下で最大28日間は手取り10割相当に
実質手取りの計算根拠
- 給付金が非課税扱い
- 社会保険料が免除
- 上記により実質手取り約8割となる
申請手続き
必要書類
- 育児休業給付受給資格確認票
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 賃金台帳・出勤簿
- 母子健康手帳の写し
申請期限と頻度
- 初回申請:育休開始から4ヶ月以内
- 定期申請:2ヶ月ごと(希望により毎月可能)
支給条件と注意点
支給停止となる条件
- 就業日数が月10日超
- 就業時間が月80時間超
- 休業前賃金の8割以上の支払いがある場合
支給までの流れ
- 申請書類提出
- ハローワークでの審査(約2週間)
- 支給決定通知の発行
- 通知から約1週間で指定口座に振込
2025年4月からの変更点
- 給付率の引き上げ:最大28日間は手取り10割相当に
- 申請期間の拡大
- 延長申請手続きの厳格化
育児時短就業給付 New!
2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をしている人が対象の給付金です。仕事と育児の両立を支援し、より多くの人が働き続けられる環境を作ること、育児と仕事の両立を支援し、「共働き・共育て」を推進することを目的としています。
育児時短就業給付は、2歳未満の子を養育するために時短勤務を選択した従業員の収入減を補填する新しい給付制度です。
支給要件
以下のいずれかの条件を満たす必要があります:
- 基本要件
● 2歳未満の子を養育するために時短勤務を行っていること
● 時短勤務開始前2年間にみなし被保険者期間が12か月以上あること - 代替要件
● 育児休業給付金または出生時育児休業給付金を受給していた場合、その休業終了後に引き続き育児時短就業を開始すること
支給額
支給額は以下のように計算されます
- 時短勤務中の賃金が時短前の90%未満の場合:時短勤務中の賃金額の10%
- 時短勤務中の賃金が時短前の90%以上100%未満の場合:厚生労働省令で定められた逓減率を適用
具体例
時短勤務で基本給が225,000円の場合:
225,000円×10%=22,500円が給付金として支給
申請手続き
- 申請は原則として事業主を通じて行います
- 初回申請は支給対象月の初日から4か月以内に行う必要があります
- 育児休業給付から継続して申請する場合は手続きが簡素化されます
物価高騰支援給付金 New!
物価高騰支援給付金は、物価高騰による低所得世帯の負担を軽減するための給付金制度です。詳しくはこちら↓
基本給付額
- 1世帯あたり3万円の基本給付
- 18歳以下の子どもがいる世帯には1人につき2万円の加算
対象世帯
以下の要件を満たす世帯が対象となります:
- 令和6年12月13日時点で自治体に住民登録がある
- 世帯全員の令和6年度住民税が非課税である
対象外となる世帯
- 住民税課税者から税法上扶養されている者のみで構成される世帯
- 他自治体より同様の給付金を受給した世帯
申請方法
- 対象となる世帯には自治体から確認書が郵送される
- 原則として世帯主名義の口座に振り込まれる
- 申請期限は自治体によって異なるため、居住地の自治体に確認が必要
注意事項
- 給付金は課税対象外
- 生活保護の収入認定の対象外
- 差押えは禁止されている
高額療養費制度の改正 New!
医療保険制度の持続可能性確保と現役世代の保険料負担軽減が目的です。高額療養費制度は2025年8月から以下のように改正されます。
自己負担限度額の引き上げ
- 2025年8月から3段階で自己負担限度額を引き上げ
- 2025年8月段階では5つの所得区分を維持し、2026年8月から13区分に細分化されます
これにより、全ての所得区分で負担が増加し、特に高所得者ほど引き上げ幅が大きくなります。
所得区分別の引き上げ率
- 年収1,160万円以上:15%増
- 年収770万円~1,160万円:12.5%増
- 年収370万円以下:5%増
- 住民税非課税世帯:2.7%増
改正の目的
- 医療保険制度の持続可能性を確保
- 現役世代の保険料負担の軽減
- 負担能力に応じたより公平な負担の実現
この制度改正は子どもに特化したものではなく、全年齢層を対象とした制度変更です。むしろ、高所得者ほど引き上げ率が高く設定され、負担が増加する制度改正となっています。なお、子どもの医療費助成については、各自治体が独自に実施する制度において所得制限撤廃の動きが進んでいます。
子どもの医療費助成制度の最新動向
子どもの医療費負担を軽減し、安心して医療を受けられるようにすることを目的としています。
所得制限撤廃の進展
- 大阪市は2024年4月から18歳までの全てのこどもを対象に所得制限を撤廃
- 相模原市は2024年8月から中学3年生までの所得制限を撤廃し、高校生世代まで対象を拡大
- 仙台市は2023年4月から中学3年生までの所得制限を撤廃済み
- 川崎市は2023年9月から中学3年生までの通院医療費助成の所得制限を撤廃
制度拡充の背景
社会的要因
- 少子化対策
- 新型コロナウイルスの影響
- 物価高騰による子育て世帯への経済的影響
制度の課題
- 共働き世帯の増加による所得制限の問題
- 医療費負担による受診抑制の懸念
- 自治体間での制度格差
今後の展望
制度拡充の動き
- 札幌市は2024年4月から通院を中学3年生まで、2025年4月から通院・入院ともに高校3年生まで拡大。
- 広島市は2025年1月から通院を中学生まで助成予定
この動きは、安心して子育てできる環境を持続的に確保するための全国的な流れとなっています。
お問い合わせ
詳しくは、弊社の社労士等の専門家にご相談ください。
より詳しい情報は以下のサイトで確認できます。
- 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/
- 独立行政法人 労働者健康安全機構:https://www.jisha.or.jp/