こんにちは、EXPACT株式会社のWEB担当、遠藤です。
本日は、個人事業主やSOHOワーカーが退職金をつくることができる制度、『小規模企業共済』についてです。
個人事業主やフリーランスとして独立すると、当然『退職金』という概念はなくなりますよね。そういった意味では、勤め人の頃より退職後に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。独立したら退職後の生活は100%自分で守らなければなりません。そんな個人事業主やフリーランスのために、国の機関が運営する退職金制度がありますので、ご紹介したいと思います。意外と知らない人も多い制度なので、要チェックです。
小規模企業共済
小規模企業共済という制度をご存知でしょうか。国の機関である中小機構が運営する小規模企業共済制度は、個人事業主やフリーランスなどのために作られた積み立てによる退職金制度です。
退職後に共済金を受け取るときは、最大で120%相当額が戻ってきます。つまり、個人事業主もお得に退職金をもらえるようなシステムが作れますよ、ということです。
現在、全国で約133万人の方が加入されているようです。後ほど詳しく書きますが、掛金は全額を所得控除できるので、高い節税効果があります。将来に備えつつ、契約者の方がさまざまなメリットを受けられる制度です。
それでは具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット1 掛金の金額が所得控除
小規模企業共済のメリットは、なんといっても節税効果だと思います。仮に手元に残った所得を銀行で積み立てていた場合、当然ですがその元本には所得税が課税されているわけですよね。しかしこの小規模企業共済の場合は、確定申告の際にその全額を【課税対象所得】から控除できるため、高い節税効果があります。ちなみに月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額ができる仕組みとなっています。掛金の納付方法は、月払い・半年払い・年払いから選択でき、前納することも可能です。前納をした場合は、一定割合の前納減額金を受け取ることができます。
メリット2 共済金の受取りには、一括と分割を選択可能
コツコツ積み立てた小規模企業共済の共済金は、退職や廃業した際に受け取ることが可能で、受け取る際に一括と分割を選択することが可能です。つまり一般企業のサラリーマンのように一括で受け取ることもできますし、年金のように分割で受け取ることもできるということです。一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなり、税制メリットもあります。
メリット3 中小機構からの貸付制度を利用することができる
3つ目は個人事業主やフリーランスにとってはとても嬉しいメリットで、掛金の納付期間に応じた貸付限度額の範囲内で、事業資金等を借り入れることができるというものです。例えば小規模企業共済に加入して、月々30,000円を5年間積み立てていたとしましょう。この場合、3万×12ヵ月×5年間で、180万円積み立てていることになりますよね。もしあなたの事業が経営的に厳しい状態になったり、例えば新しく何かプロジェクトを始めたいときに、180万円までなら問答無用に資金を借りることができます。なかなか融資を受けるのには高いハードルがある個人事業主やフリーランスにとっては、とても嬉しいメリットですよね。ちなみに提供されている貸付制度は以下の通りです。
〇一般貸付け 〇 緊急経営安定貸付け 〇傷病災害時貸付け 〇 福祉対応貸付け 〇 創業転業時・新規事業展開等貸付け 〇 事業承継貸付け 〇廃業準備貸付け
共済金の受取りについて
共済金の受取りについてですが、共済金契約者の立場や請求する理由によって、受け取る共済金の種類が変わります。
代表的な例として、
〇共済金A
・・・■個人事業を廃業した場合 ■共済契約者の方が亡くなられた場合
〇共済金B
・・・老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)
など、解約する理由によって受取り区分が、というかつまり受取れる金額が変わってきます。それでは簡単にシュミレーションしてみます。
(例) 2018年4月に30歳で独立し、小規模企業共済に加入。月々30,000円を積立て、60歳になる2048年3月に解約し、共済金を受け取る場合の例。 共済金Aの場合・・・13,044,000円 共済金Bの場合・・・12,635,400円 となります。 |
※あくまで一定条件下のもとでのシュミレーションですので、ご注意ください。
単純に毎月3万円を30年間積み立てたら、3万円×12ヵ月×30年間となり、10,800,000円となりますので、かなりお得なうえに節税効果まで見込めるわけです。
デメリット
デメリットは、『元本割れリスク』。これにつきます。運営団体のWEBサイトをみても、掛金納付月数が240ヵ月(20年)未満の場合は元本割れとなることが書かれています。例えば何らかの事情で、積立て開始してから20年未満で解約することになってしまった場合、元本割れするということになりますね。ご自分の今後の財政プランに取り入れる際は、そういったデメリットにも十分注意しましょう。
加入資格
小規模企業共済への加入資格は、以下の通りです。
■建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員 |
まとめ
節税効果を受けながら、個人事業主でも退職金を受け取ることができる制度【小規模企業共済】の解説でしたが、いかがでしたでしょうか。使うか使わないかは別として、こういった制度があるということを知っているだけでも、ご自分のライフプランの選択肢が広がりますよね。是非、検討してみてはいかがですか!?