新総裁に石破茂氏が選出
9人の候補者が立候補した総裁選は、1回目の投票で過半数を獲得した候補者がいなかったため、1位の高市早苗経済安保相と2位の石破茂元幹事長による決選投票が行われました。決選投票の結果、石破氏が 215票 を獲得し、高市氏の 194票 を上回って第28代総裁に選出されました。石破氏は10月1日に召集予定の臨時国会での首相指名選挙を経て、第102代首相に就任する見通しです。
5つの「守る」を柱とした政策方針
石破首相は演説で、「すべての人に安心と安全を」との決意を示し、以下の5つの「守る」を政策の柱として掲げました。
- ルールを守る
- 日本を守る
- 国民を守る
- 地方を守る
- 若者・女性の機会を守る
デジタル化の推進とイノベーション促進
石破氏は総裁選の政策集で、「AIの研究・実装がしやすい『世界一AIフレンドリー』な日本を堅持します」と述べており、日本のデジタル化とイノベーション促進を重視しています。スタートアップはイノベーションの源泉であり、デジタル化を牽引する存在として位置づけられるでしょう。
スタートアップ支援の基本方針
日本経済の活性化と成長を加速させることを目指し、スタートアップ支援策の強化を明確に打ち出しています。これは、政府の「スタートアップ育成5か年計画」を着実に推進することで、アジア最大のスタートアップハブの実現を目標としています。
地方創生とスタートアップ
石破氏は地方創生を「日本経済の起爆剤」と位置づけており、地方のデジタル化によって都市との情報格差を解消し、人材を確保する方針を示しています。地方でのスタートアップ支援にも力を入れると見られます。
地方創生とスタートアップ支援の連携は、地域活性化の重要な鍵として、多様な取り組みが展開されています。その連携の進め方について、以下の点を踏まえて解説します。
地方創生におけるスタートアップの役割
スタートアップは、革新的な技術やアイデアを持つことで、地域経済の活性化、雇用創出、地域課題の解決に貢献する大きな可能性を秘めています。
特に、既存産業の少ない地域においては、新たな産業の創出という点で、スタートアップの役割はより重要性を増しています。高齢化や人口減少といった地方特有の課題に対し、柔軟な発想と迅速な行動力を持つスタートアップは、効果的な解決策を生み出すことが期待されています。
連携の具体的な進め方
自治体とスタートアップのマッチング
自治体は、地域課題の解決に繋がる適切なスタートアップを発掘し、連携していく必要があります。インターネットやセミナー、イベントなどを活用した情報収集に加え、自治体独自のニーズに合ったスタートアップを選定するためのマッチングイベントなども有効です。
資金調達支援
スタートアップにとって、資金調達は大きな課題です。自治体は、国からの補助金や、地域金融機関との連携による融資支援などを通じて、スタートアップの資金調達をサポートすることができます。
規制緩和・特区制度の活用
革新的な事業を展開するスタートアップにとって、既存の規制が障壁となる場合があります。自治体は、規制緩和や特区制度の活用を通じて、スタートアップが円滑に事業を展開できる環境を整備する必要があります。
実証実験の場の提供
新たな技術やサービスの実証実験を行うためには、適切な環境が必要です。自治体は、地域資源や公共施設などを活用し、スタートアップに実証実験の場を提供することで、実用化を促進することができます。
大手企業との連携促進
大手企業の持つリソースやノウハウと、スタートアップの革新性を組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。自治体は、大手企業とスタートアップの連携を促進するためのプラットフォーム構築やマッチング支援を行うことができます。
人材育成・交流促進
スタートアップの成長には、優秀な人材の確保が不可欠です。自治体は、地域の人材育成や、都市部からの移住・交流促進などを通じて、スタートアップの人材確保を支援することができます。
成功事例の共有と横展開
地方創生とスタートアップ支援の連携においては、成功事例の共有と横展開が重要です。それぞれの地域特性に合わせたカスタマイズを行いながら、効果的な連携モデルを全国に広げていくことで、地方創生を加速させることができます。
継続的な関係構築
連携は一過性のイベントではなく、継続的な関係構築が必要です。定期的な意見交換や情報共有を通じて、相互理解を深め、信頼関係を築くことが、長期的な連携の成功に繋がります。
社会課題解決型のスタートアップ支援
石破首相は就任後のイベントで、「社会課題の解決に向けたスタートアップへの投資を促す」と述べました。社会課題の解決に取り組むスタートアップへの支援を強化する姿勢がうかがえます。
金融所得課税とスタートアップへの影響
石破氏は一時、金融所得課税の強化に言及しましたが、その後「新NISA等で所得を上げていく方々に課税強化するなどということは毛頭考えていない」と釈明しています。創業者利益への課税強化はスタートアップ促進に逆行するため、慎重な姿勢を示したと言えるでしょう。
石破新総裁は、デジタル化の推進やイノベーション促進、地方創生の観点から、スタートアップ支援を重視する姿勢を示しています。社会課題解決型のスタートアップ支援にも前向きです。一方で、金融所得課税については慎重な立場を取っており、スタートアップへの悪影響は避けたい考えのようです。今後、具体的な政策の打ち出しが注目されます。
経済政策
デフレ脱却を最優先課題と位置付け、物価上昇を上回る賃上げの実現に決意を示しました。また、地方創生のための交付金を当初予算ベースで倍増することを目指す方針を打ち出しました。
経済政策の重点
- デフレ脱却を最優先課題に位置付け、物価上昇を上回る賃上げの実現を目指す
- 「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現を目指す
- 地方創生のための交付金を当初予算ベースで倍増することを目指す
- 「地方創生2.0」として取り組みを再起動させる方針
- 「物価高の克服」「日本経済・地方経済の成長」「国民の安心・安全」の三つを柱とした総合経済対策の策定を閣僚に指示
地方創生に力点
地方でのスタートアップ育成を推進し、東京一極集中の是正を図ります。地方における事業承継やスタートアップへのインセンティブ整備も進め、地方経済の活性化を目指します。地方創生の交付金を倍増させる方針も打ち出しています。デジタル化による都市部との情報格差解消や地方への人材確保も重要な要素です。
- 地方創生のための交付金を当初予算ベースで倍増することを目指す方針を表明
- 「地方創生2.0」として取り組みを再起動させると言明
- 「地方こそ成長の主役」と述べ、少子化や人口減少に対応するため「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設し、今後10年間集中的に取り組む基本構想を策定する
デジタルプラットフォームの構築や官民連携の強化、ブロックチェーンなどの新技術の活用促進を通じて、デジタル化を推進します。
総合経済対策の策定を指示
- 「物価高の克服」「日本経済・地方経済の成長」「国民の安心・安全」の三つを柱とした総合経済対策の策定を閣僚に指示
- 林芳正官房長官は、具体的な施策の検討を進め、衆院選後に速やかに決定して補正予算案を国会に提出すると説明
- 経済対策では、物価高の打撃を大きく受ける低所得層を重点的に支援する考えを示した
その他の経済政策
- 2020年代に最低賃金を全国平均で時給1500円に引き上げるよう努力する
- 日本銀行の金融政策については直接言及せず
石破首相は、岸田前政権の経済政策路線を基本的に継承しつつ、地方創生に独自色を打ち出す姿勢を鮮明にしました。デフレ脱却を最優先に掲げ、賃上げと投資主導の成長を目指します。
一方で物価高対策として低所得層支援に重点を置く方針も示しました。地方の活性化を後押しする姿勢は、石破首相の出身地への思いの表れとも言えるでしょう。金融政策には言及を避けましたが、日銀との連携のあり方が注目されます。
地方創生の一環としてのスタートアップ支援
石破氏は地方創生を「日本経済の起爆剤」と位置づけており、その一環としてスタートアップ支援に力を入れる方針です。具体的には、企業の地方進出を後押しし、地方でのスタートアップ創出を促進するとしています。デジタル化によって都市との情報格差を解消し、地方に人材を確保することで、地方発のイノベーションを生み出していく考えです。
イノベーション促進とスタートアップ支援の強化
石破氏は、日本のイノベーション力強化のため、スタートアップ支援策を引き続き強化していく方針を示しています。政府の「スタートアップ育成5か年計画」を着実に進め、日本を「アジア最大のスタートアップハブ」にすることを目指しています。
またAIの研究開発・実装がしやすい「世界一AIフレンドリー」な環境を整備し、政府のAI政策の司令塔機能を強化することで、イノベーションを促進します。
また、省エネ型のAI社会を目指します。石破新総裁は、地方創生とイノベーション促進の両面から、スタートアップ支援を重要な政策課題と捉えており、その育成・強化に注力していく姿勢を鮮明にしています。地方への投資拡大とあわせ、日本経済の新たな成長エンジンとしてスタートアップを位置づけている点が特徴的だと言えるでしょう。
石破茂氏は、経済政策の柱の一つとして「地方創生」を挙げており、中小企業や地方に「高付加価値の商品やサービスを生み出す潜在力がある」として、情報技術(IT)や人工知能(AI)を利用したイノベーションや起業、移住などを進めていくべきだとの考えを示しています。石破新総裁は選挙公約の中で、スタートアップ企業への支援強化に言及しています。具体的には以下のような政策を掲げています。スタートアップ関連の税優遇が拡充にも言及されています。
地方創生を経済成長の核に
地方創生を「日本経済の起爆剤」と位置づけ、大規模な対策を講じる方針です。「日本を守り、国民を守り、地方を守る。地方の発展なくして日本の発展はない」という考えのもと、農業、漁業、林業などの力を十分に発揮することで、地方から新しい日本をつくることを目指します。
- デフレ脱却を最優先とした経済・財政運営
- 成長分野への官民投資促進
- 早急な経済対策の策定と成長戦略の取りまとめ
- 内閣官房に経済・金融危機対応組織の創設
- 中小企業の賃上げ実現
- スタートアップ企業支援の強化
デフレ脱却と賃金上昇
デフレを完全に止めることを重要課題とし、そのために個人消費の拡大と実質賃金の上昇を目指します。単なる物価上昇ではなく、実質的な賃金上昇を実現することで、経済の好循環を生み出します。
地方の価値最大化と人材確保
- 「地方創生2.0」構想を掲げ、次世代インターネット技術「Web3.0」を活用して地域間の情報格差をなくし、地方への企業進出を後押しする計画があります。
- ブロックチェーン技術・NFT等を活用し、食や観光体験等地域の持つ多様なアナログの価値を世界価格に引き直し最大化します。
- ネット環境の整備とデジタル化によって情報格差ゼロの地方を創出し、遠隔教育や医療、ビジネスなどの分野における地方の人材確保を進めます。
- 付加価値の低い労働をデジタル技術で代替し、付加価値の高い労働にマンパワーを割けるよう、デジタルインフラの整備やリスキリングを推進する方針を示しています。
産業構造の転換と移住促進
- 半導体・AIといった輸出企業を中心としたサプライチェーンを国内で整備します。
- 内需中心の地域分散型、少量多品種・高付加価値型の経済への移行を目指します。地方の農林水産業、建設業、観光・サービス業などの潜在力を最大化し、魅力的な地方へ都市部からの300万人移住を実現します。
資源・エネルギー政策
豊かな海底資源の活用により、資源・エネルギー大国を目指します。これらの政策を通じて、地方の活性化と経済成長の両立を図り、新しい日本の姿を実現することを目指しています。石破氏はスタートアップ企業を後押しし、地方のスタートアップ支援により、地方創生と内需主導の経済への転換を図る方針です。
災害対策
- 令和8年度中に「防災庁」創設、「防災省」への昇格検討
- 「災害関連死ゼロ」を目標とした官民連携体制の構築
期待される効果
- 地域経済の活性化と雇用創出
- イノベーションの促進による産業競争力の強化
- 地方における若者・女性の起業機会の拡大
今後の注目点
石破総理のスタートアップ施策は、日本経済の活性化に大きな期待が寄せられています。しかし、その実現にはいくつかの課題も存在します。これらの課題を克服し、政策を着実に実行していくことで、日本経済の持続的な成長と地方創生の実現が期待されます。今後の政策展開に注目していく必要があります。
石破新総裁には、想定される経済対策の規模・内容などが注目されます。コロナ禍からの経済回復と新たな成長戦略の実現に向けた石破新政権の舵取りが問われることになるでしょう。
石破新総裁の支持基盤
石破氏は決選投票で高市早苗氏に勝利しましたが、これは小泉進次郎氏や岸田文雄氏など他の有力候補の支持を取り付けたためと見られています。
石破氏の支持基盤は以下のようになるでしょう。
- 小泉進次郎氏など若手議員の支持を得ている
- 岸田文雄氏、林芳正氏、上川陽子氏など岸田派の支持を得た
- 一般国民からの人気が高い
一方で、石破氏は党内基盤が弱いとも指摘されており、麻生太郎氏など一部のベテラン議員からの支持は得られていないようです。石破新総裁は党役員人事に着手しており、幹事長などの党4役を固めることが焦点となっています。石破新総裁は30日に新執行部を発足させる予定で、党内の結束を高めつつ「政治とカネ」の問題で失った党の信頼回復に努める方針です。
脱派閥の姿勢
- ほとんどの派閥が解散を決めたことを受け、石破氏は「どの派閥から何人」という起用は考えないと述べており、脱派閥の姿勢を示している
小泉進次郎氏を選対委員長に起用する意向を固める
石破新総裁は、今回の総裁選挙で争った小泉進次郎氏を党の選挙対策委員長に起用する意向を固めました。石破新総裁としては、党内で一定の支持を集めた小泉氏を起用することで党内融和を図るとともに、高い知名度や発信力をいかし、政権運営に弾みをつける狙いもあるものとみられます。
林官房長官が続投へ 石破新総裁が意向固める
自民党の石破新総裁は、来月1日に発足させる新内閣で、今回の総裁選挙で争った林芳正・官房長官を続投させる意向を固めました。
石破新総裁の決意表明
選出後のあいさつで石破新総裁は、「国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語り、この日本をもう一度、皆が笑顔で暮らせる安全で安心な国にするために、全身全霊を尽くしていく」と力強く決意を表明しました。また、「自民党が生まれ変わるように、もう一度国民の信頼を取り戻せるように決断した。私どもは一丸となってそれに応えていかなければならない」と述べ、党の刷新に意欲を示しました。
石破内閣
内閣総理大臣
- 石破 茂
内閣官房長官
- 林 芳正
沖縄基地負担軽減担当
拉致問題担当
内閣府特命担当大臣
金融・財務関連
- 加藤 勝信
金融担当
財務大臣
デフレ脱却担当
経済産業関連
- 武藤 容治
原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当
経済産業大臣
原子力経済被害担当
GX実行推進担当
産業競争力担当
環境・防災関連
- 浅尾 慶一郎
原子力防災担当
環境大臣
デジタル・行政改革関連
- 平 将明
規制改革担当
デジタル大臣
行政改革担当
国家公務員制度担当
サイバー安全保障担当
安全保障・国土関連
- 坂井 学
防災担当
海洋政策担当
国家公安委員会委員長
国土強靱化担当
領土問題担当
社会政策関連
- 三原 じゅん子
こども政策担当
少子化対策担当
若者活躍担当
男女共同参画担当
共生・共助担当
女性活躍担当
共生社会担当
経済政策関連
- 赤澤 亮正
経済財政政策担当
経済再生担当
新しい資本主義担当
賃金向上担当
スタートアップ担当
全世代型社会保障改革担当
感染症危機管理担当
防災庁設置準備担当
戦略・科学技術関連
- 城内 実
クールジャパン戦略担当
知的財産戦略担当
科学技術政策担当
宇宙政策担当
経済安全保障担当
地方創生・文化関連
- 伊東 良孝
沖縄及び北方対策担当
消費者及び食品安全担当
地方創生担当
アイヌ施策担当
新しい地方経済・生活環境創生担当
国際博覧会担当