商号決定について
こんにちは、WEB担当の遠藤です。本記事も『会社設立準備』についてです。これから会社を設立しようと考えの方の参考になれば幸いです。
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本日は『商号』について。商号とは、会社の「名前」「名称」です。会社名(商号)の決定は会社設立の手続の中で一番最初にすべき事項の一つです。商号は、その会社を印象づける、いわば「顔」ともいえる重要なものなので慎重に決めていきましょう。
会社名を決めるための注意点
商号は基本的に自由に決めていいのですが、以下のことに注意して決める必要があります。
①会社名のなかに「株式会社」や「合同会社」を必ず入れる
○○商事株式会社
株式会社○○商事
など、社名の前後または中間に「株式会社」等の文字を入れなければいけません。
②他の法人組織名称(有限会社や医療法人)といった文字を使用しない
有限会社ナカムラ商事株式会社
株式会社なかむら商店合同会社
といったように「有限会社※」「合資会社」「合同会社」「合名会社」等の会社組織名や「社会福祉法人」「医療法人」「財団法人」といった法人組織名称を会社名に使用することはできません。上の「有限会社ナカムラ商事株式会社」を例に取ると、有限会社なのか株式会社なのかが社名を見るだけでは判断できませんね。非常に紛らわしいためです。
※有限会社(ゆうげんがいしゃ)とは、日本において過去に設立が認められていた会社形態の1つである。2006年(平成18年)5月1日の会社法施行に伴い根拠法の有限会社法が廃止され、それ以降、有限会社の新設はできなくなった。
③有名な会社の商号は使用しない
類似商号に該当しなくても、「三井」「三菱」「ソニー」など、有名な会社の商号の使用は認められていません。使用してしまうと20万円以下の罰金に処せられることもありますので注意してください。
それでは、有名な会社とは?と言われると、曖昧なので非常に困るのですが、少なくとも一般的に知られた誰でも知っていると思われるような会社名は避けることをおすすめします。
④会社の一部門を表す文字は使用できない
商号の中に「○○支店」「○○支社」「○○支部」など、会社の一部分を表すような文字は使用できません。ただし、「代理店」「特約店」の文字は使用することができます。
□□商事株式会社大阪支店 (×)
△△商事株式会社営業部 (×)
○○商事株式会社☆☆代理店 (○)
⑤法律で使用が禁止されている文字を使わない
銀行業や信託業を行う会社以外は、「銀行」「信託」といった文字の使用が法律で禁止されています。(銀行法第6条2項)
その他、他の法律で使用が禁止されている文字は・・・・「財団」「病院」「大学」「信用保証会」
などがあります。また、公序良俗に反する名称は認められません。
⑥同一の住所に同じ会社名(商号)は使用出来ない
実際、滅多にないことですが、東京都渋谷区恵比寿1丁目2番22号で「有限会社ナカムラ」が存在する場合、同じ住所で「有限会社ナカムラ」を設立することは出来ません。可能性としては非常に少ないケースですが、バーチャルオフィスなど多くの会社が同一の住所を利用するケースがあります。同一の会社名が無いかチェックしておく必要があります。
⑦使用出来る文字には制限がある
会社名(商号)に使用できる文字には制限があります。実は、法律で以下の文字以外は使用できないという決まりがあります。例えば、「AAA株式会社」のようにローマ字だけの会社名や「777株式会社」のように数字だけの会社名にすることは法律上可能です。
会社名(商号)に使用できる文字
・漢字
・ひらがな
・カタカナ
・ローマ字(大文字・小文字)
・アラビア数字(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9)
・一定の符号「&」(アンバサンド)「’」(アポストロフィー)
・「,」(コンマ)「-」(ハイフン)「.」(ピリオド)「・」(中点)
商号を決める時に気にしたい3つのこと
①ドメイン取得出来るかにチェックしよう
最近では、WEBサイトが重要な役割を果たす会社も非常に多いです。会社名にまつわるドメインが使用できるか事前にチェックしておきたいところです。その企業のWEBサイトの顔であるドメイン名は、とても重要な要素のひとつです。ドメイン名ひとつで、その企業のイメージが決まってくると言っても過言ではありません。
こちらからご確認を ⇒ お名前.com
②商標を登録しよう
会社名のブランドを保護するため、特許庁へ出願するのが「商標」です。 会社を設立する上で、商号は必ず必要になりますが、商標として登録するか否かは自由に選択できます。逆に言えば、すでに商標登録されているネーミングを会社名や店名として使用した場合、商標侵害として法的なトラブルに巻き込まれるおそれもあります。
会社を設立したり、お店の名前を決めるときは、商標侵害に該当しないよう、その事業の大小にかかわらず、事前に弁理士や弁護士、知的財産権の専門家に相談しておきましょう。
こちらからご確認を ⇒ J-PlatPat(特許庁)
③覚えにくい社名は出来るだけ避け、社名の由来をすんなり答えられるようにする
会社名は出来る限り覚えてもらいやすい方がいいですよね。実際に声に出して会社名を読み上げた時に、あまりに長く感じたり発音がしにくいと感じた会社名は、覚えてもらいにくい会社名の典型的な例です。短く、発音しやすくインパクトのある会社名が良いでしょう。
また会社を設立すると、必ず「なぜ、その会社名にしたのですか?」と聞かれることがあるでしょう。その際に、とてもユニークで「なるほど!」と思えるような回答が出来れば相手に会社名を覚えてもらえます。社名の由来をどのように説明するのかという視点も意識して社名を決められるとそういったケースに上手に説明できるでしょう。
一度会社名を決めると、その名前が多くの人に認知されていくことになります。会社名は後から変更もできますが、出来ることなら最初から長く使っていきたいですね。そして、多くの方に会社が認知されていくためにも、しっかりと時間をかけて、最もしっくりくるものにしましょう。