【2021年広告市況まとめ】スタートアップがPRで成功するためのヒント
スタートアップの悩みはさまざまありますが、「宣伝・広告」も大きな課題の一つではないでしょうか。いい商品・サービスを開発し、世の中に広めていく意味で宣伝・広告はとても重要です。
商品開発をして、何もしなくても口コミや紹介だけで広がっていくのは理想でありますが、プレスリリースや発表会、SNS運用などPR(パブリック・リレーションズ)を通じた話題作りや情報の流通に加えて、ターゲット層にきちんと認知・理解を深めてもらう行動はスタートアップとしては意識していきたいところです。
一方で、スタートアップで潤沢な広告宣伝費が準備できるという企業もあまり多くないというもの事実です。
では、スタートアップはどのように宣伝広告の戦略を組み立てればよいのか?
広告業界全体を見ながらヒントとなる情報をお伝えできればと思います。
広告業界全体の動き
電通が毎年3月ごろ発表している「日本の広告費」の最新版を見てみましょう。
2020年は広告業界の市場規模が6兆1千億円程度となっています。前年度対比で下がっているのはコロナの影響とみて間違いなさそうです。
2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響により、国内外の人の動きが制限され、2020年4月に発出された緊急事態宣言以降に日本経済は大きく減速しました。前年までのインバウンド消費がほぼ無くなり、外出自粛により、外食、交通・レジャーを中心に大きなダメージを受け、広告業界もその余波を受けています。政府や自治体主導の経済・感染症対策がとられていく中、7月以降は徐々に回復の兆しを見せ始め10〜12月には前年並みに戻りつつありましたが、通年では前年を大きく下回る結果となりました。
またプロモーションメディア広告費は、「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)」「 東京2020パラリンピック競技大会」(以下、「東京2020オリンピック・パラリンピック」)をはじめ各種イベント、展示会、従来型の広告販促キャンペーンの延期・中止に伴い大幅に減少しました。また、それらに付随した広告展開を担うマスコミ四媒体広告費も大幅減となりました。
結果的に、2020年は、東日本大震災の2011年以来9年ぶりのマイナス成長。かつリーマン・ショックの影響を受けた2009年以来、11年ぶりの2桁減少となり、1947年「日本の広告費」統計開始以来、2番目の減少幅となりました。
一方で外出・移動の自粛により、巣ごもり需要が活発化しました。デリバリーやネット通販、オンライン会議やオンラインイベント・セミナー(以下、ウェビナー)、リモートワーク、キャッシュレス決済など、社会生活におけるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が一気に加速。それに伴い、インターネット広告費が先行して回復し、通年でプラス成長となった。マスコミ四媒体由来のデジタル広告費も前年に続き2桁成長。デジタル起点の広告販促活動がさらに進化・成長した1年となりました。
広告費を構成する要素として5マス(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ・インターネット)が挙げられますが、注目のポイントはテレビ広告費よりもインターネット広告費が上回っている点にあります。
2015年の広告業界の市場規模もおおよそ6兆1千億円程度ですが、テレビ広告費は1兆9千億円、インターネット広告費は1兆1千億円程度でした。
よく見てみると、新聞・雑誌・ラジオのメディアも「デジタル媒体」が伸長しています。
今さらではありますが、時代はインターネット広告が中心とみてよさそうです。
スタートアップにおいてはターゲット層や商材によって異なるとは思いますが、インターネット広告は避けて通れないものになるでしょう。
若者のテレビ離れが加速
またスマホが普及したことで動画視聴がテレビからウェブにシフトしてきていることがあげられます。博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の行った調査によると、この10年でテレビ視聴をするユーザーは半分以下に減り、ネット視聴を行うユーザーは約8倍の数に増えています。そのため、ウェブが動画広告の媒体として見逃せないものになっています。テレビ番組でさえもウェブで視聴することが可能になっていて、ウェブ上にはネット限定の動画やライブ配信、さらにYouTubeなどの動画投稿サイトまであり、ユーザーはウェブで動画を視聴する機会が増えています。
通信環境の高速化
モバイルデータ通信の高速化やWi-Fiの充実化が進み、ウェブ動画を外出先でも快適に視聴できる環境が整っています。そして、動画広告を配信すればYoutubeなど様々な動画媒体を通じてユーザーに接触できる機会が増えています。それらにより、スマホで動画を見る際に読み込みにかかる時間も短縮することが可能になりました。サクサクと動画を閲覧できるようになれば、より多くのユーザーが動画を見る機会も増えていくことが期待されます。通信環境の高速化によって、動画がますます注目されているのです。
注目は動画広告
いかにスマホ最適な動画クリエイティブをつくれるか?は意識したいところです。
『広告』ではなく『コンテンツ』が重要
こちらのグラフをご覧下さい。
これは何かというと、テレビ録画した人のCMスキップ率をデータ化したものです。
またテレビに限らず、スマホにおいても「広告」と視認したものはスキップされる傾向にあります。
調査概要
・【調査対象】20歳~69歳の男女を対象に実施
・【調査方法】アンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWebアンケート
・【調査期間】2020年12月23日~24日
・【有効回答数】1,000名
スマホを開くと何度も同じ広告が当たっていやだな、という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
動画で情報を届ければければならない一方で、広告色が強いものは見られない、ということになります。すべての広告が嫌われているわけではないと思いますが少なくとも「動画視聴者は見たくないもの」を見せられていると感じるのが動画広告の現状です。
では、どのように動画をつくればよいのか?
それは「動画視聴者は見たくなるもの」=コンテンツにして情報を届ける必要があります。
ターゲット層となる方の「興味のある情報」として届けてあげる必要があるので、表現や切り口など考えいく必要があります。
まとめ
①情報を届ける手段はインターネット中心で特にスマホ
→スタートアップの場合は、SNSやWEBマーケティングを中心に予算にあった仕掛けを考える必要があります
②「広告」ではなく「コンテンツ」制作が重要
→広告ではスキップされてしまうなどの懸念が大きいため、いかにターゲット層が見たくなるか?を意識してクリエイティブ制作する必要があります
③いかにスマホ視聴に最適な情報の届け方ができるか