
「アントレの法政」から羽ばたく起業家たち
―多彩な業界で輝く卒業生と最前線のスタートアップ教育―
1. 法政大学が”起業家の揺りかご”と呼ばれる理由
日本ベンチャー学会発祥の地として第16代総長・清成忠男氏が「ベンチャービジネス」という言葉を定着させた歴史。
2024年11月に始動したアントレプレナーシップ教育研究所は、システムデザイン学科と経営学部を横断し、実践型プロジェクトに卒業生起業家も巻き込む新拠点です。設置期間は2024年11月1日~2029年3月31日までの約4年5ヶ月間となっています。
東京都と連携する「東京の未来を拓く起業家教育循環システム」は2024年4月から3年間実施され、小学生〜大学生を一貫して育成し、大学生が高校生以下のメンターを務める多層構造を採用しています。
このような環境が、全国社長出身大学ランキングで6位という屈指の実業界ネットワークを生んでいます。
なお、最新の2024年のランキングでは法政大学は6位(5,948人)となっています。
2. 主な分野別起業家
分野 | 代表的な卒業生 | 企業・実績(抜粋) |
---|---|---|
マネジメント/ サービス | 元谷芙美子 | APAホテル社長。法政大学人間環境部卒業後、早稲田大学大学院公共経営研究科に進学20 |
伊藤喜美 | スーパーマーケット「バロー」創業者 | |
平林実 | 三光マーケティングフーズ創業者 | |
韓昌祐 | パチンコチェーン「マルハン」創業者 | |
テクノロジー | 赤坂優 | 株式会社エウレカ創業 → マッチングアプリ「Pairs」をIACへ売却。現・franky CEO/エンジェル投資家 |
遠藤健治 | ガイアックス創業メンバー(在学中に上場への礎を築く) | |
青木貴博 | インターネットラジオ radiko 社長 | |
棚橋智 | 学生向け広告モデル「タダコピ」を起業。後にデロイトトーマツの執行役員へ | |
髙地耕平 Kohei Takachi | EXPACT株式会社 CEO / Happy Quality CFO / SVSA 理事 スタートアップ支援を行う | |
ソーシャル | 加治木基洋 | 連続起業家としてSNSを軸に法政ネットワークを拡大 |
グローバル | 熊谷芳太郎 | 1969年法政大学工学部機械学科卒業。シリコンバレーでFitbitなど多くの事業を手がけた連続起業家 |
3. 起業家ネットワークとコミュニティ
名称 | 概要 |
---|---|
法政アントレ校友会 | 2024年1月にFacebookで発足。起業家、二世経営者、起業予定者および起業支援者のOBの方々のネットワークづくりを進めており、2025年1月29日に新年会を開催し約25名の参加者を見込む |
法政アルムナイ交流会 | 2024年11月22日に法政大学校友会と共催。「経営者、起業家、事業主として活躍する法政大学出身者が集い、相互に応援し合えるコミュニティをつくりたい」という想いから企画され、約50名がオフラインで参加 |
企業家養成コース OB・OG「オレンジ会」 | 1992年の開設以来、250人を超える修了生を輩出している企業家養成コースのOB・OG会。2024年1月27日に開催され、人的ネットワークの構築、継続的な知識のインプット機会の創出、メンバー同士の助け合いを目指している |
これらのコミュニティが現役学生のメンタリングにも直結し、大学の教室と実ビジネスの距離を縮めています。
4. 法政のスタートアップ教育プログラム(ハイライト)
プログラム | 特徴 |
---|---|
START プログラム | 2022年度から産学連携で実施されているSDGsを題材としたアクティブラーニング。「ゼミナール編」(対話・プレゼン・フィールドワーク等を通じた実践)と「思考力養成編」(理論的・体系的な知識の習得)の二層構造で、課題発見力や実践力、学際的な思考力を養う |
アントレサマーキャンプ | 高校生を対象とした2日間のプログラム。株式会社マイナビより講師を招聘し、法政大学学部生をメンターとして各チームに配置。高校生のアントレプレナーシップ育成を目的に2024年7月29日・30日に開催 |
起業家教育循環システム | 東京都との3年プロジェクト(2024年4月~)。小学生から大学生までを対象とした一貫したアントレプレナーシップ教育を実施。総事業費(見込み)3.8億円 |
5. 法政大学の卒業生が運営するスタートアッププログラム
法政大学卒業生の髙地耕平が運営・関与する主なスタートアッププログラムは以下の通りです。
その他追加情報がございましたら、お気軽にご連絡くださいません。
プログラム名 | 開催時期 | 概要 | 役割 |
---|---|---|---|
Startup Weekend熱海 | 2025年6月頃 | 熱海初の週末起業体験イベント。GeNSEn Labにて14名が参加し、3チームが結成されてビジネスアイデアを競った https://swatami.doorkeeper.jp/ | オーガナイザー兼スポンサー企業(EXPACT)代表 |
Startup Weekend静岡 | 第9回: 2025年9月 | 静岡市での週末起業体験イベント。金曜日の夜から日曜日までの54時間で新しいアイデアを形にする https://swshizuoka.doorkeeper.jp/ | リードオーガナイザー兼メインスポンサー企業代表 |
「令和7年度 次世代起業人材育成事業運営業務」 | 2025年度(予定) | 静岡市公募事業として2年連続で採択された若手起業家育成プログラム https://next.startup.shizuoka.jp/ | 運営責任者 |
「TOMOLプロジェクト」 | 通年プログラム | 静岡の未来を切り拓くチャレンジをテーマにした若手向けプログラム。課題先進地ツアー(熱海・下田)などを実施 https://project.tomol.jp/ | 企画・運営 |
「アントレプレナーの思考法」セミナー | 開催実績あり | Startup Weekend熱海関連のセミナー | 講師 |
髙地氏は2018年7月にEXPACT株式会社を設立し、静岡を拠点に地方スタートアップの支援を行っています。特に資金調達支援において、補助金を活用した支援総額は7年弱で40億円を突破しています。2024年には一般社団法人静岡ベンチャースタートアップ協会理事にも就任し、地域のスタートアップエコシステム構築に尽力している。
6. 法政大学におけるアントレプレナーシップ教育の最新動向
2024年11月1日に法政大学アントレプレナーシップ教育研究所が正式に発足しました。姜理惠教授(デザイン工学部システムデザイン学科・同大学院教授)が所長を務めるこの研究所は、パンデミック後の急速に変化する社会環境に対応するため、革新的な発想と行動力を育む場として設立されました。
研究所では、実際のビジネスに現役の起業家とチャレンジするリアルなプロジェクト体験など、「実践」を重視したプログラムを提供しています2。この取り組みは、単に会社を設立することだけでなく、新しい価値をもたらす考え方と行動、そのマインドセット全体を育むことを目指しています。
また、2024年4月からは「東京の未来を拓く起業家教育循環システム」プロジェクトが始動しました。これは東京都の「大学研究者による事業提案制度」事業として、法政大学デザイン工学部システムデザイン学科と経営学部の教員を中心に、東京都の小学生から大学生まで一貫したアントレプレナーシップ教育を行うもので、3年間実施される予定です5。
このプロジェクトは都民投票で4000票余を獲得して採択され、システムデザイン学科のクリエーション、テクノロジー、マネジメントの三位一体教育20年超の実績を背景に、東京都の次世代イノベーション人材育成を進めています。
7. 法政アントレ校友会の活動
法政大学では卒業生の起業家ネットワーク構築も積極的に進められています。「法政アントレ校友会」は、起業家、二世経営者、起業予定者および起業支援者のOBの方々のネットワークづくりを目的として設立されました。
2025年1月29日(水)には法政アントレ校友会の新年会が開催される予定で、以下のようなプログラムが計画されています
2024年11月に発足したアントレ教育研究所の紹介
2024年12月に発足した付属校の高校生による「法政アントレ生徒会」の紹介
現役法政大学学生起業家2名による事業紹介プレゼンテーション
懇親会
この新年会には約25名の参加が見込まれており、教員、大学院生、大学生、高校生がアントレプレナーシップに関係する校友との交流を深める場となります。
8. 東京都との連携プロジェクト
法政大学は東京都と連携し、「東京の未来を拓く起業家教育循環システム」プロジェクトを推進しています。このプロジェクトは以下の特徴を持っています
事業期間:3年(2024年4月から)
総事業費(見込み):3.8億円
提案代表者:姜理惠教授(法政大学デザイン工学部システムデザイン学科)
共同提案者
土屋雅人教授(法政大学デザイン工学部システムデザイン学科)
田路則子教授(法政大学経営学部)
山田泰之准教授(法政大学デザイン工学部システムデザイン学科)
このプロジェクトでは、起業家教育の課外活動を小学生から高校生まで一貫して実施し、大学生はメンターとして教えながら自身も起業家として成長するという「循環システム」を構築しています。
9. 卒業生起業家への呼びかけ
姜理惠教授は、起業家として活躍中の卒業生に対して、後輩の学生に経験を共有するよう呼びかけています。「法政は女子学生が増え、皆様が卒業された頃と随分違う雰囲気になっていると言われることがありますが、独立心やダイバーシティ、そして実践知の学風は何一つ変わっていません」と述べ、卒業生の起業・経営経験を必要としている後輩たちがいることを強調しています。
2025年度春からは様々なプログラムが開催される予定で、メンターや卒業生講演、インターン受け入れなどでの参画を呼びかけています。
法政大学のアントレプレナーシップ教育は、大学内の教育にとどまらず、卒業生や東京都との連携を通じて、実社会との接点を重視した実践的な取り組みとなっています。この「実践知」の精神は、法政大学の伝統であり、今後も多くの起業家を輩出する原動力となるでしょう。
10. 法政ブランドが生み出す”連鎖する挑戦”
厚いOB・OGネットワーク
– 卒業後も互いに投資・協業・メンタリングを行う循環型コミュニティ。
実践知を磨く教育インフラ
– 学際×実装を軸に、研究所とプロジェクトが次々にアップデート。
地方にも波及する支援モデル
– EXPACT 髙地が地方発エコシステムの旗振り役を担う。
「自由な学風と進取の気象」を掲げる法政大学は、今後もマネジメント・デザイン・テクノロジーの3大部門を越境しながら、新たな産業と社会課題解決型ビジネスを次々に世に送り出すでしょう。
次に続くのは、あなたかもしれません。